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新産業・新事業委員会企画部会報告書

「日本型コーポレート・ベンチャーを目指して」

<おわりに>


我が国に漂っている閉塞感を払拭し、大競争時代、本格的な高齢化社会においても豊かな国民生活を確保するためには、規制緩和、行財政改革などの構造改革を推進すると同時に、21世紀の日本経済を牽引し、安定的な雇用の場を提供する新産業・新事業を発展させることが不可欠である。独立ベンチャー企業を育成することは非常に重要であるが、同時に既存の大企業が自らの力で再活性化を図らなければならない。

大企業では、新産業・新事業の開拓に向けて、コーポレート・ベンチャーの推進、独立ベンチャー企業との連携、あるいは株価・業績連動型役員報酬型ストックオプションの工夫などを行っている。また、海外におけるベンチャー企業の立ち上げ、あるいは海外のベンチャー企業との提携など、新事業への取り組みはグローバル化している。こうした経験から、我が国の企業風土や法制度が新産業・新事業の制約要因となることも多いことが明らかになっている。これを放置しておくと、経済社会はますます停滞し、若者が希望を持てる社会は期待しえなくなる。

今後、企業としても、さらに個性・創造性を活用するための社内規制の緩和ならびにトップのリーダーシップの発揮による社内改革を推進する必要がある。同時に企業の自助努力を阻害している制度的な要因を取り除く環境整備の観点から、政府規制の緩和、税制改革などが不可欠である。

特に、次の措置は急務である。

  1. 法人の実質租税負担の軽減と連結納税制度の導入
  2. 純粋持株会社規制の緩和
  3. ストックオプションのための自己株式取得規制の緩和
  4. 労働者派遣事業の原則自由化、職業紹介事業の原則自由化
  5. 迅速な子会社設立のための商法の見直し
    (商法上の現物出資規制の緩和、登記事務の迅速化など)
  6. 情報通信、医療・福祉など成長が期待される分野における規制緩和
    (電気通信事業法における事業区分の見直し・料金規制の緩和・役務規制の緩和、営利法人による病院経営・介護支援センター等への参入の解禁、介護切符制度の解禁など)

こうした企業の自助努力と行政による環境整備とが調和すれば、我が国は新産業・新事業が相次いで登場する経済社会に生まれ変わることができよう。


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