[ 目次 | 概要 | 本文 | (検討の趣旨) | 第1章 | 第2章 | 第3章 | (おわりに) | (参考) ]

自由・公正・透明な情報通信市場の実現に向けた提言
― 経済活性化と構造改革を目指して ―

(検討の趣旨)


21世紀に向けて、国際的な大競争の激化、急速な少子化・高齢化や経済の成熟化が進行している中で、経済活力の維持・発展ならびに国際競争力の維持・強化を図り、国民の雇用機会を確保することは喫緊の課題である。わが国としては、従来の経済社会システムを改革し、高コスト構造を是正するとともに、既存産業の高度化や新たな成長産業の発展を図らなければならない。

そうした経済社会の構造改革を推進する原動力として情報通信への期待は大きい。情報通信技術の高度利用により、コスト削減、意思決定の迅速化、グローバルな活動の円滑化や事業機会の拡大等が可能となるからである。また、情報通信産業は、幅広い産業分野の発展を牽引する21世紀のリーディング産業の中軸として期待されている。

経団連でも、かねてより、利用者の立場から、情報通信市場の活性化ならびに企業・行政・社会の情報化の促進、という情報通信の供給・需要両面の環境整備に取り組んできた。最近でも、昨年7月に「情報化の推進に関する提言」をとりまとめ、産業の情報化のための環境整備、行政をはじめとする公的分野の情報化等を働きかけている。供給側についても、96年1月の「今後の情報通信市場のあり方に関する見解」、同年10月の「通信市場における競争の促進に向けた課題」等をはじめ、情報通信市場の規制緩和、公正競争条件の整備等に取り組んできた。情報通信市場においては、1985年の通信自由化以来、漸次進められてきた規制緩和や接続の基本ルール決定等を背景に、競争が進展してきたことは評価できる。

現在、1999年のNTT再編成や本格的なグローバル競争時代の到来を控え、通信業界内での合従連衡や多様なサービス開発に向けた動きが強まり、また、技術革新を背景とする通信と放送の融合も本格化するなど、いわゆる情報通信ビッグバンが起こりつつある。一方、景気低迷が続く中で、企業、行政、国民生活における改革を促し、経済活性化を推進する情報通信への期待はますます高まっている。さらに、時間、距離の制約を克服する情報通信は、地域の自立、地域の活性化を通じて豊かな国土づくりにも資するものである。 そこで、今般、わが国情報通信産業が利用者の期待に応えつつ力強く発展していくための方策のあり方について、とくに電気通信分野の競争のあり方を中心に、利用者の立場から検討した。


日本語のホームページへ