世界経済はアジア諸国等が牽引役となり成長路線に回帰しつつある。わが国は、デフレ傾向と厳しい雇用情勢に直面し、少子高齢化による人口減少、危機的状況にある財政赤字等から経済社会の将来展望が描けない状況にあり、輝く未来を築くため、産業の国際競争力を強化し、アジアとともに成長路線を築く必要がある。
2010年度は、自ら成長分野を切り拓く気概を持って、経済・産業・社会・経営労働・国際等の各分野で、以下の通り、民間活力による経済成長及びグローバル化への対応に取り組む。
また、公益法人制度改革に対応した組織のあり方等を検討する。
総会決議等、日本経団連としての基本的な活動方針を検討・策定する。
政策提言の内容、働きかけ、実現状況を検証・評価して対応を検討する。
マクロ・ミクロ両面における経済情勢の変化を的確かつ迅速に把握し、関係委員会との連携のもと、政府の新成長戦略の具体化に向けた取り組みを進める。
税・財政・社会保障一体改革の実現に向け、歳出合理化と安定的な歳入構造の確立等を目指し、政府の新成長戦略や中期財政フレーム等への意見反映を図る。
税・財政・社会保障の一体改革の実現に向け、医療・介護・年金制度の改革を働きかける。
資本市場の活性化と競争力強化を目指す。あるべき開示について検討し、株主や投資家にとって真に必要な情報が開示されるよう努める。
上場会社への規制強化や民法(債権関係)の法改正に対応し経済界の意見を反映させる。公正取引委員会の審判制度の廃止や審査手続の適正化に向けた独占禁止法改正の早期実現を働きかける。国際会計基準の円滑な導入を図る。
新たな需要を創出するとともに行政手続の簡素化による国民負担の軽減を図るため、規制改革をさらに推進する。
道州制と地域主権の実現に向け、道州制特区や広域連合を活用する。加えて、国民の視点からの議論を喚起するための広報活動を展開する。
産業競争力の強化に向けた活動を展開するとともに、産業別労働力需要を展望する。次代のわが国経済・産業を担う新産業・新事業の創出に向けた検討を進める。
企業のグローバルなサプライチェーンの構築に対応した港湾・空港・道路の整備、貿易円滑化とセキュリティ強化が両立する通商制度の構築を図る。
提言「新たな食料・農業・農村基本計画に望む」(2010年2月)のフォローアップを行う。農商工連携の機運の維持・向上を図る。
提言「わが国の持続的成長につながる大胆な都市戦略を望む」(2010年3月)、提言「住生活の向上につながる成長戦略を求める」(2010年3月)で取り上げた意見が政府の新成長戦略に反映されるよう働きかける。
国内旅行および訪日外国人旅行の振興に必要な施策を検討し、その実現を図る。ニューツーリズムの具体化を検討する。
「科学・技術・イノベーションの中期政策に関する提言」(2009年12月)に基づき、政府が年度内に策定予定の第4期科学技術基本計画や政府の新成長戦略に意見が反映されるよう働きかける。
提言「『イノベーション立国』に向けた今後の知財政策・制度のあり方」(2010年3月)の実現を働きかける。国際標準化活動の強化に向けて、官民で具体的に取り組むべき分野や人材育成を中心に議論を深める。
提言「新しい社会と成長を支えるICT戦略のあり方」(2010年3月)の実現や社会保障と税の共通番号制度の早期実現を働きかける。電子行政推進法や強力な推進体制の確立を求める。
「総合的な海洋政策の実施に向けた提言」、「国家戦略としての宇宙開発利用の推進に向けた提言」を取りまとめる。防衛技術・生産基盤の強化に向け、「防衛計画の大綱」及び「中期防衛力整備計画」に意見の反映を図る。
グリーン・イノベーションによる経済成長と雇用創出を目指す。「日本経団連 低炭素社会実行計画」をとりまとめるとともに、すべての主要排出国が参加する公平かつ実効あるポスト京都議定書の国際枠組の実現を目指す。廃棄物の適正処理とリサイクルの推進を図る。
3E(安定供給、経済性、環境配慮)の実現に向け、省エネ・新エネの推進、原子力の活用、資源・エネルギー外交や技術開発の強化の実現を求める。
日本経団連の政策提言等の内容や背景等を、(財)経済広報センターと協力しつつ、各種媒体を通じて広く訴え、幅広い国民の理解と支持を得る。
トップセミナーや企業倫理担当者研修会の開催を通じて、「企業行動憲章」の遵守や企業倫理の徹底に努める。「企業行動憲章実行の手引き」を改訂する。実効ある消費者政策の推進を働きかける。
「2009年度社会貢献活動実績調査」を行う。寄付金税制等の必要な基盤の整備を検討する。
政策本位の政治の実現に向けて、経済界と政治の関わり方につき、検討を進める。政府・政党との政策対話を深めるとともに、個人や企業の政治参加促進に向けた諸課題を検討する。
社会人に求められる知識や職業能力・意識を身につけられるよう、経済界の要望を教育界に伝え、積極的な取り組みを促す。教育現場での企業の取組みを支援する。
提言「首都直下地震にいかに備えるか」(2009年3月)の実現に向け、総合的な防災・減災体制の整備・充実や危機管理能力の強化を会員企業に促すとともに、国・地方公共団体と意見交換を行う。
企業の存続・発展に向けて、総額人件費管理の徹底を図りつつ、付加価値を高める観点から、次期労使交渉・協議に臨む経営側の基本的な考え方を取りまとめる。
公的職業訓練期間中の生活支援給付を行う恒常的な仕組みの創設や、雇用保険二事業の財政健全化に取り組む。改正労働者派遣法政省令の審議にあたり企業実務を踏まえた意見の反映に努める。ILOを中心とする国際労働分野におけるルール作成や議論に参画する。
企業実務の観点から、有期労働契約の諸課題等の労働関連法制を検討し、審議会等の動きに対応する。職場における受動喫煙防止対策、化学物質管理、均衡・均等処遇に関する諸課題について対処する。
企業と従業員の関係のあり方や、新たに生じている人事労務マネジメント上の課題への対応について検討し、報告書を取りまとめる。
中小企業に焦点を当てた人材の確保、定着、育成に向けた施策のあり方について報告書を取りまとめる。
強毒性新型インフルエンザの発生に備えた対策の再構築に向け、政府に働きかける。政府の新型インフルエンザ対策の進捗状況について情報提供する。
政府における新たな次世代育成支援のための制度設計や子ども手当を含む少子化対策のための財源に関する検討に際し、意見反映に努める。
WTOドーハ・ラウンド交渉の2010年内妥結を目指す。投資協定や社会保障協定の締結推進を図る。実効ある安全保障貿易管理に向けた制度の再構築を働きかける。
主要国とのEPA・FTAの早期実現に取り組むとともに、既に締結されたEPAの活用促進を図る。原産地証明書発給手続のさらなる改善等を働きかける。
ODAの抜本的見直しを検討し、その実現を働きかける。
OECDの貿易・投資の自由化等に関する取組みにわが国経済界の考えを反映させるためBIACの活動に積極的に参画する。特にOECD多国籍企業行動指針の改訂にわが国経済界の見解が反映されるよう働きかける。
第5回G8ビジネス・サミットに参加し、意見交換するとともに共同宣言を取りまとめ、G8サミットならびにG20サミットに経済界の見解の反映を図る。
米国及びカナダとの経済連携の強化に向け、日米EPAの実現や日加間の貿易・投資の自由化を働きかける。
提言「日・EU経済統合協定交渉の開始を求める」(2009年11月)の実現を働きかける。ミッションを中東欧に派遣する。
ハード・ソフト両面での包括的なインフラ整備や域内金融協力のあり方を検討し、アジア総合開発計画の取りまとめに協力する。APEC CEOサミットを主催する。第2回アジア・ビジネス・サミットの開催を検討する。
中南米諸国との間で、各国要人との懇談等を通じ経済関係の強化を図る。
中東・北アフリカ諸国との間で、エネルギー分野をはじめ多分野にわたる重層的な関係の構築に努める。
第11回日本ロシア経済合同会議の開催、ロシアへのミッション派遣を行うとともに、資源・エネルギー分野での協力推進、ロシアのビジネス環境の整備に努める。第3回日本ウクライナ経済合同会議等を開催する。
地方別経済団体との交流拡大と連携強化を図る。
日本経団連事業サービス、経済広報センター等の主要関連団体や、ユナイテッド・ワールド・カレッジ(UWC)日本協会、国際文化教育交流財団(石坂財団)等の奨学事業に対する協力を行う。
公益活動を行う機関等が、経済界に資金援助を求める、いわゆる「経済界募金」に対して協力する。