Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2014年2月27日 No.3167  「日中関係の現段階と前途」

講演する天児教授

経団連は5日、東京・大手町の経団連会館で常任幹事会を開催し、早稲田大学国際学術院の天児慧教授から、「日中関係の現段階と前途」と題する講演を聞いた。講演の概要は次のとおり。

■ 習近平政権の対外政策

中国は、習近平の総書記就任以降、米国に対し「21世紀の創造的な新タイプの大国関係の形成」を呼びかけ、大国の役割を果たそうとしている。また、国際社会に対して、国際協調、平和協力の推進を強調している。その一方で、中国は、軍事力の持続的な増強を背景に、2009年に「韜光養晦」路線の慎重な外交を放棄し、権威を重視する強硬な大国主義外交を推進している。10年の尖閣諸島沖での中国漁船衝突事件、12年の尖閣「国有化」後の反日大暴動は、中国の外交方針の転換を象徴する出来事であり、日本では対中脅威感が高まっている。

中国の対日強硬戦略は、「一つの引き締め、二つの突破」である。「一つの引き締め」とは国内の引き締めであり、尖閣問題をめぐる反日暴動によって日系企業が徹底的に破壊され、日系企業で働く中国人従業員らも巻き込むことで、一般国民が日本に好感を持つことは危険だという感情を植えつけている。

一つ目の「突破」は、日中関係の突破である。中国は、前述の外交方針の転換により、「日本の尖閣領海論」を実力で突破し、日中関係について、新型のグローバルな米中二大国間関係の下にある部分的に重要な「普通の二国間関係」と認識させようとしている。二つ目の「突破」は、「アジア太平洋海域への勢力拡大という突破」である。中国は、あらためて世界の中心を目指すべく、中国の強い影響下での政治・経済・文化共同体である「大中華圏」の勢力圏を拡大させている。

■ 大国主義外交の特徴

習近平政権の大国主義外交を理解するには、「型」と「利」から生じる行動基準をみることが大事である。日本も中国も「型」と「利」を重視するが、中身が異なる。中国の重視する「型」は権威であり、自分と相手との位置関係を非常に意識している。他方、日本は、権威で立ち位置を決める傾向は比較的弱い。日本人の重視する「型」は、共同的規範であり、国際社会においては国際ルールを「型」ととらえている。

「利」に関しては、日本は利他主義の考えのもと、全体の利益の中で自分の利益を位置づける傾向にあるが、中国は利己主義の傾向が強い。

トウ小平は、「利」を重視して「韜光養晦」外交方針を掲げていたが、習近平は、権威的な「型」を重視した大国主義外交を進めている。

■ 日中関係再構築戦略と関係改善の模索

日中関係改善の基本的スタンスとして、「小異を残して、大同に立つ」、すなわち尖閣問題は小異として残し、日中の共同繁栄という大同に立つべきである。日中関係改善の長期戦略として、「政経分離」論の逆応用を展開し、非政治領域での積極的な支援・協力を行うとともに、中国の「対日敵視論」の不当性や日本の中国にとっての重要性をアピールすべきである。

【総務本部】