Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2018年2月8日 No.3349  人口減少時代の地方自治体のあり方をめぐり懇談

経団連は1月30日、東京・大手町の経団連会館で地域経済活性化委員会企画部会(田川博己部会長)を開催し、神戸大学大学院法学研究科の砂原庸介教授から、人口減少時代の地方自治体のあり方について説明を聞くとともに懇談した。

冒頭、砂原氏は、地方自治体に関する制度上の課題について、「地方議会の議員は大選挙区制の選挙で選ばれ、わずかな得票数でも当選する。そのため、議員は狭い領域の個別的利益への関心が強くなり、首長が非効率な事業を切ろうとしても反対する」と指摘。そのうえで、「地方が抱える課題は、新しい事業を始めたり何かをつくったりすることでは解決できない可能性が高い。有権者の個別的な利益を考える地方議員だけでは地方創生に取り組むことは難しい」と述べた。

また、地方創生に向けては、東京から地方への人口の分散というよりも、地方において高密度の都市部への集約が重要になると指摘。スプロール化を食い止めるために居住地の限定を進める必要があるが、土地の自由な利用をできなくなる住民やその支持を受ける議員が反対すると説明した。さらに、「『平成の大合併』によって1つの自治体の区域が広くなっており、一部の地域に資源を集中するようなことは一層難しくなっている」と述べた。

こうした現状を踏まえたうえで、地方創生に向けた施策としてまず、自治体に投資の感覚を持たせることが重要だと主張。「現行の選挙制度を前提にすると、国から分配された補助金は、政治力の強いところに流れてしまいがちである。財源が少なくなっているなかで、最も望ましい事業に投資させるためには、国が地方から申請を受けて補助金を分配するよりも、あらかじめ一定の基準で交付金を配分したうえで、足りない部分は自ら税財源を確保することを目指すべきだ」と説明した。また、「その前提として、東京など地方交付税の不交付団体とそれ以外の自治体の間にある財政的な余力の差を埋めて、出発点を同じにする必要がある」と述べた。

また、長期的には地方議会の選挙制度を見直すべきだと主張。「より多くの声を反映する地方議員が必要となるため、例えば、大選挙区制から比例代表制に変えて、広域で意思決定を行う政党を選挙で選ぶことも一案である」と見解を述べた。

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その後の意見交換では、居住者の集約に向けた課題について、砂原氏は「既存住宅を金融資産として活用できず、使い捨てにしている現状をまず見直す必要がある。新築の抑制と中古住宅市場の育成が重要だ」と説明した。

【産業政策本部】