Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2018年2月8日 No.3349  トランプ大統領の一般教書演説が示したもの

1月30日のトランプ大統領の一般教書演説は80分余り続き、クリントン大統領が1995年に85分、2000年に89分演説したのに次ぐ長さだった。

NBCニュースの調査では、演説の視聴率は40%で、ニュースでフォローした29%と合わせた69%のうち、60%が「正しいことにフォーカスした」と述べている(「間違ったことにフォーカス」は39%)。POLITICO誌の調査でも、視聴者の62%が「素晴らしい」ないし「良い」、17%が「まあまあ」、「ひどい」は20%にとどまった。ただ、NBCニュースの調査で「中間選挙が今日行われた場合の投票」を尋ねたところ、共和党39%、民主党45%、無投票12%となっている。

今回の一般教書演説が概ね好意的に受け止められたのは、トランプ大統領が就任演説で打ち出した、憤りを込めた革命的ともいえるトランプ節が影を潜め、党派対立を乗り越えることを訴えつつ、経済政策、内政、安全保障の分野の基本方針を述べるといった比較的通常のかたちをとったからとみられている。

内容については、早速メディア各社が「ファクト・チェック」をかけ、「何年も停滞してきた賃金がついに上昇」との主張については「上昇率はオバマ政権2期の最終時に及ばない」(ニューヨーク・タイムズ)とし、「米国史上最大の減税策」については「GDP比ではレーガン減税が最大でトランプ減税は8番目にすぎない」(ワシントン・ポスト)としている。こうしたメディアとの関係に関する驚きも、政権当初に比べれば大分弱まっている。

大統領による党派対立克服の訴えに対する民主党の反応も注目された。FOXニュースは、大統領の訴えに議場で拍手したのは共和党サイドのみとし、「賃金上昇や失業率低下などの成果は党派を超えて称賛すべきではないか」との声を紹介している。確かに、オバマ大統領の一般教書演説の際には、共和党議員も賛成なら立って拍手し反対なら座っていたが、今回、基本的に民主党議員は座り続け、終了とともに議場を出たことが対立の深さを印象づけた。そうしたなか、11月の選挙が厳しい3人の民主党上院議員、マンチン議員(ウェストヴァージニア州)、ドネリー議員(インディアナ州)、ハイトカンプ議員(ノースダコタ州)が、たびたび立って拍手したと報道されている。

民主党の象徴的な反応といえる一般教書演説後の「反論演説」は、ジョー・ケネディ下院議員(マサチューセッツ州、J.F.ケネディ大統領の弟の孫)が担当し、「すべての国民が平等で価値を持つとの米国の理想をトランプ政権は揺るがしており、(スペイン語で)われわれこそが味方」とドリーマーズ(不法移民の子どもとして移民した人々)に呼びかけた。POLITICO 誌の調査では、一般教書演説を視聴した人の61%がこれも視聴し、その48%が「素晴らしい」、46%が「まあまあ」ないし「ひどい」と答えている。

(米国事務所長 山越厚志)