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経営タイムス No.2724 (2004年6月3日)

日本経団連、第3回定時総会を開催

−「2004年度事業計画」「決議」了承

−新副会長3氏らの選任も


日本経団連(奥田碩会長)は5月27日、東京・大手町の経団連会館で第3回定時総会を開催した。総会には日本経団連の会員約500名が出席。開会あいさつで奥田会長は、日本経団連が21世紀の経済社会の新たな発展に向けた基礎固めに努め、会員の期待に応えられるよう積極的に活動展開するとの決意を表明した。総会ではこのほか、谷垣禎一財務大臣と竹中平蔵金融・経済財政政策担当大臣の来賓あいさつや、議案の審議などが行われた。2003年度の事業報告・収支決算や、2004年度の事業計画・収支予算、役員等の改選、『企業のダイナミズムを引き出し新たな未来を切り拓く』と題する決議などを諮り、全会一致で了承。3年目を迎えた日本経団連の新体制と活動方針が決定した。

冒頭あいさつで奥田会長は、昨年1月に発表した新ビジョンで、「多様な価値観が生むダイナミズムと創造」と、それを支える「共感と信頼」を基本理念に、経済社会の抜本改革の必要性を訴えてさまざまな活動を展開した結果、(1)税制改正 (2)規制改革や構造改革特区制度の推進 (3)労働関係法制の改革 (4)産学官連携の推進 (5)知的財産政策の強化 (6)春季労使交渉のあり方の見直し――などで一定の成果が上がったと評価した。
その上で奥田会長は、社会保障制度と財政、税制との一体的な抜本改革の必要性や、地域における特色・魅力の強化の重要性を指摘。特に観光振興については、今後の地域再生だけでなく、日本経済全体の活性化や雇用拡大にも資するとして期待感を示した。
さらに、政党の政策評価に基づく政治寄付の促進や、企業倫理の確立への取り組みについて、会員に理解と協力を求めた。
最後に奥田会長は、日本経団連が21世紀の経済社会の新たな発展に向けた基礎固めに努め、会員の期待に応えられるよう積極的な活動を展開していくことを約束すると結んだ。

続いて、来賓として谷垣財務相、竹中金融・経済財政政策担当相があいさつ。日本経済が回復基調にあることについて、「小泉構造改革の取り組みが着実に成果を表し始めている証」(谷垣財務相)であると言及。今後の取り組みについては、「官民で力を合わせて努力を続けたい」(竹中金融・経済財政担当相)と語った。

議案の審議では、理事、常任理事、評議員の役員等の補充選任、2003年度事業報告と収支決算、2004年度の事業計画と一般会計収支予算、2004年度会館事業計画と事業会計収支予算、2004年度21世紀政策研究所事業計画と収支予算――に関する件について諮り、承認を得た。
このうち、2004年度の事業計画では、昨年1月に発表した新ビジョン「活力と魅力溢れる日本をめざして」に掲げた民主導・自律型経済社会の実現をめざし、緊急かつ重要な政策課題を列挙した「優先政策事項」(2003年9月)の推進をはじめ、経済・産業・社会・経営労働・国際などの各分野において、諸課題の迅速かつ着実な解決に向け取り組むこととしている。

次に役員等の改選に移り、会長は奥田碩・トヨタ自動車会長が引き続き務め、副会長に米倉弘昌・住友化学工業社長、草刈隆郎・日本郵船会長、勝俣恒久・東京電力社長の3氏が新たに選任された。また、評議員会議長は森下洋一・松下電器産業会長が留任、副議長として新たに、宮内義彦・オリックス会長、渡文明・新日本石油社長、谷口一郎・三菱電機会長、江頭邦雄・味の素社長、岩沙弘道・三井不動産社長の5氏を選任した。
一方、今回の総会で副会長を退任したのは、槙原稔・三菱商事取締役相談役、香西昭夫・住友化学工業会長、樋口公啓・東京海上火災保険相談役の3氏。また、副会長となった勝俣氏のほか、張富士夫・トヨタ自動車社長、秋草直之・富士通会長の3氏が、評議員会副議長を退任した。

議案の最後には、『企業のダイナミズムを引き出し新たな未来を切り拓く』と題する決議を諮った。決議文について千速晃副会長は、自律的な景気回復を確実にすることが当面の最重要課題とした上で、「企業倫理の確立に努める一方で、政治との透明な関係を構築し、積極的に具体的な提言を行っていくという決意を示している」と、決議の前文を概説。全体の構成については、「企業」「個人」「地域」の3つの切り口で重要課題を整理していると説明した。この後、事務局が決議全文を朗読し、全会一致で承認が得られた。

最後に、新経団連会館の建設について和田龍幸事務総長が報告し、第3回定時総会は閉会した。


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