表紙イメージ 経済Trend ロゴ2010年6月号

COP10への期待と企業の役割
今月の表紙: 高橋正道 作 「ほのかな匂い」 (ふれあいアートステーション・ぎふ提供)
障害を持つ方々の個性豊かで、印象深い絵画を厳選してご紹介しています。

巻頭言

WIN-WIN関係構築を目指す成長戦略
佐々木幹夫 (日本経団連副会長/三菱商事会長)

特集
COP10への期待と企業の役割

特別寄稿
国連地球生きもの会議(COP10)に向けて
小沢鋭仁 (環境大臣)
座談会
生物多様性を育む社会に向けて 〜COP10への期待
「国際生物多様性年」である本年10月、名古屋において、生物多様性条約(CBD)第10回締約国会議(COP10)が開催される。かつてないスピードで進行する生物多様性の喪失をいかに阻止し、持続可能な利用にいかに取り組むか、COP10への期待、企業に求められる役割について議論した。
大久保尚武 (日本経団連評議員会副議長・経団連自然保護協議会会長/積水化学工業会長)
日本経団連は、昨年3月に「日本経団連生物多様性宣言」を発表し、企業が積極的に取り組むよう働きかけている。生物多様性の問題は複雑であり、COP10では、日本が議長国として多様な観点での議論を促し、バランスの取れた合意がなされることを期待する。
矢野 龍 (経団連自然保護協議会副会長/住友林業会長)
住友林業は、およそ100年かけて別子銅山の失われた森林を再生した歴史を持っている。これからは、森林資源を利用することで森林整備を促進し、生物多様性をはじめとする森林の公益的機能を保全し、 再生していくことがミッションであると考えている。
炭田精造 (バイオインダストリー協会生物資源総合研究所所長)
ABS(遺伝資源へのアクセスと利益配分)は、COP10における最重要議題の一つとなるだろう。 しかし、先進国と途上国の間で議論がすれ違っており、COP10の結果は予断を許さない。 生物多様性に富む日本は、科学技術の促進と遺伝資源管理を両立させるための制度設計を国内で議論する時期にきている。
涌井史郎 (東京都市大学環境情報学部教授/中部大学応用生物学部教授)
もはや拡大再生産を求める経済活動では、日本人にとっての「自然の恵沢」、つまり生態系サービスのシステムを維持していくことはできない。日本の政府、経済界が、人間が生態系に積極的にかかわることの大切さ、自律・循環・再生を心がけてきた歴史をアピールしてもらいたい。
〈司会〉椋田哲史 (日本経団連常務理事)

●生物多様性条約の今日的な意義とは何か

●生物多様性保全に向けた産業界の役割とCOP10での論点

●COP10で望まれる成果、合意、結論とはどのようなものか

●持続可能な社会づくりへ向けた中長期的な課題

◆ポスト2010年目標◆
わが国が主導する生物多様性の新目標
荒木喜代志 (外務省生物多様性条約第10回締約国会議担当大使)
  • ポスト2010年目標への各国の立場
  • わが国の提案の主要ポイント
  • 新目標にかかわる議論と今後の取り組み
ポスト2010年目標に関する論点と産業界の考え方
佐藤正敏 (経団連自然保護協議会副会長/損害保険ジャパン社長)
  • ポスト2010年目標をめぐる状況
  • 産業界の考え方が反映された日本政府提案
  • 議論の対象となる条約事務局案
  • バランスのとれた合意を目指して
生物多様性および気候変動対策の向上を目指して
C・v・ヴァイツゼッカー (ECOROPA代表)
COP10民間参画イニシアティブに期待する
吉田正人 (IUCN(国際自然保護連合)日本委員会会長/江戸川大学社会学部教授)
「日本経団連生物多様性宣言」フォローアップアンケート結果の概要について
経団連自然保護協議会事務局
COP10記念モデルプロジェクトについて
−コウノトリ湿地ネット/バードライフ・アジア/IUCNバングラデシュ
放棄田を湿地化して自然生態系を再生する
〜野生復帰したコウノトリの餌場づくり
コウノトリ湿地ネット
  • コウノトリと共生するまちづくり
  • コウノトリが知らせてくれる地域の宝
  • 放棄田の活用により生物多様性保全の取り組みを
アジアにおけるマリーンIBA事業の推進
〜海鳥を指標とした重要海洋環境の選定
バードライフ・アジア
  • 海洋環境の悪化
  • マリーンIBAの選定に向けて
チッタゴン丘陵に住む地域民族の伝統的な医療業務と薬用植物の保護の活性化に向けて
IUCNバングラデシュ
  • 地域民族に代々伝わる知識と薬用植物の保全活動
  • 今期のプロジェクト活動内容
◆ABSに取り組む企業事例◆
新しい価値の創造のためにABSに取り組む
江藤弘純 (カルピス取締役専務執行役員)
  • 安全性を重視し新たな付加価値を創出
  • 微生物の持続的利用のために
天然物の創薬利用とABS
岡部尚文 (中外製薬執行役員研究本部長)
  • 天然物の創薬利用と生物多様性条約
  • 中外製薬とNITEとの共同事業
  • 中外製薬のABSへの取り組み
◆技術開発に関する企業事例◆
生物多様性に配慮した防虫技術開発への取り組み
高橋紀行 (竹中工務店執行役員)
  • 生物多様性保全にかかわる企業への期待
  • 虫を殺さない防虫技術
  • 環境イノベーションとしてのIPM
藻場造成の実験検証
大瀧敏幸 (中部電力エネルギー応用研究所所長)
  • 藻場とその機能
  • 種苗生産と藻場造成
  • COP10への期待
琉球列島の絶滅危惧植物を保全する
〜光独立栄養を利用した新しい発根技術による展開
山田英継 (日本製紙常務取締役研究開発本部長)
  • 植林事業から生み出された発根技術
  • 琉球列島の絶滅危惧植物の発根に成功

成長戦略提言
豊かで活力ある国民生活を目指して
〜経団連成長戦略2010
http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2010/028/index.html
畔柳信雄 (日本経団連評議員会副議長・経済政策委員会共同委員長/三菱東京UFJ銀行会長)
  • 経済の現状認識
  • 4つの視点と3つの柱
  • 6つの戦略と規制改革の重要性
  • 不可欠な税・財政・社会保障の一体改革
わが国観光のフロンティアを切り拓く
http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2010/032/index.html
大塚陸毅 (日本経団連評議員会副議長・観光委員長/東日本旅客鉄道会長)
  • 多様な観光ニーズに応えるコンテンツの強化
  • 日本のイメージアップ戦略の展開
  • 外国人のひとり旅を可能にするインフラ整備
国家戦略としての宇宙開発利用の推進に向けて
http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2010/029.html
下村節宏 (日本経団連宇宙開発利用推進委員長/三菱電機会長)
  • 身近になった宇宙開発利用と宇宙外交の推進
  • 新たな宇宙市場を開拓する成長戦略
  • 今後の展開
  • 推進体制の強化
海洋立国への成長基盤の構築に向けて
http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2010/033/index.html
元山登雄 (日本経団連海洋開発推進委員長/三井造船会長)
  • 海洋開発利用をめぐる環境変化
  • 重要課題の解決に向けた海洋開発利用
  • 総合的な推進体制の確立
新産業・新事業創出プロジェクトの推進に向けて
http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2010/022.pdf
大久保尚武 (日本経団連評議員会副議長・起業創造委員長/積水化学工業会長)
高原慶一朗 (日本経団連起業創造委員会共同委員長/ユニ・チャーム会長)
循環型社会の形成に向けた産業界の取り組み
〜環境自主行動計画〔循環型社会形成編〕2009年度フォローアップ調査結果
http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2010/035/index.html
鮫島章男 (日本経団連環境安全委員会共同委員長/太平洋セメント会長)
防衛産業政策に関する調査ミッション報告
岩崎啓一郎 (日本経団連防衛生産委員会基本問題ワーキンググループ主査/三菱重工業航空宇宙事業本部航空宇宙業務部長)
各国政府 防衛主要企業 国際機関

● 経営者のひととき
故郷と会社と人生観
池田 一 (愛知時計電機会長)
● あの時、あの言葉
ひとさまのお役に…
篠塚勝正 (沖電気工業会長)
● エッセイ「時の調べ」
心を豊かに
山崎妙子 (山種美術館館長)
● 翔べ!世界へ―奨学生体験記
ブラジル留学の真価はこれから
二井紀美子 (愛知教育大学講師)
● NEW FACE 新会員紹介
クオール
スリーボンド
東洋炭素

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