経団連の最近の動き

(1998年5月)

「経団連インフォメーション」の記事より


No.175( 5月29日発行)より

経団連第60回定時総会を開催

5月26日、第60回定時総会を開催した。冒頭、豊田会長は、構造改革の推進や経済社会基盤の確立などの必要性を強調するとともに、経済界自らが変革と創造の気概を持って積極果敢に事業活動を展開し、難局を打開していかなければならないと訴えた。
次に、事業報告・収支決算、事業計画・収支予算が、それぞれ原案通り承認されるとともに、役員の改選が行なわれた。会長には、新たに今井敬氏(新日本製鐵会長)が選任され、副会長には、大賀典雄氏(ソニー会長)を加えた10名が選任された。また、評議員会議長には、新たに関本忠弘氏(日本電気会長)が選任され、評議員会副議長には、奥田碩氏(トヨタ自動車社長)を加えた9名が選任された。さらに、豊田前会長が名誉会長に選任された。以上の他、理事、監事、評議員、顧問、推薦会員、常任理事等の選任が行なわれた。
続いて、「21世紀に向け新たな発展の基盤を確立する」ため、

  1. 経済活性化のために構造改革を実現する、
  2. 21世紀に向けた経済社会基盤の充実を図る、
  3. 官民の役割分担を見直し、小さな政府の実現を急ぐ、
  4. 循環型社会の構築と地球環境の保全に努める、
  5. 世界経済の発展に貢献する、
  6. 内外におけるわが国企業への信頼の回復に努める、
ことを決議した。
その後、豊田前会長から会長退任の挨拶があり、最後に、今井新会長から、「行動し、実行する経団連」を旗印に、わが国が直面する重要課題に、着実かつタイムリーに取り組むことによって、「魅力ある日本の創造」に全力を傾注するとの決意表明があった。具体的には、わが国の景気を速やかに回復軌道に乗せ、国民の間に充満している閉塞感を一日も早く打破するとともに、明るく確かな21世紀を切り拓くための基盤を構築すべく、
  1. 金融システムの安定化、
  2. 抜本的な税制改革、
  3. 産業基盤の強化、
に取り組まなければならない旨発言があった。

〈経団連第60回定時総会〉

No.174( 5月22日発行)より

経団連環境自主行動計画のフォローアップについて

地球温暖化対策は、費用対効果、実効性、実現性などの面から、自主的な取組みが極めて有効である。こうした観点から、経団連は、昨年6月に、37業種138団体の参加を得て、経団連環境自主行動計画を発表した。その際、2010年度の産業部門(製造業ならびにエネルギー転換部門)から発生するCO2の排出量を1990年レベル以下に押さえるよう努力するという目標と、行動計画の進捗状況を定期的にフォローし、その結果を発表していくことを明らかにした。
そこで、今般、第1回めのフォローアップを行なうこととし、その旨さる19日の理事会で報告するとともに、近々37業界団体に調査をお願いする予定である。結果の発表は、10月頃を予定している。

著作物の技術的保護手段等の回避について知的財産問題部会意見を提出

デジタル化・ネットワーク化の進展により、著作物の複製・頒布が容易になったことに対応し、著作権者は著作物の違法複製を防止するためにコピー・プロテクション等の技術的保護手段を講じているが、更なる技術進歩により、これらの技術的保護手段を回避する機器やプログラムが普及し始めている。
そこで、1996年末にWIPO(世界知的所有権機関)の新しい著作権条約が採択され、技術的保護手段の回避に対して、各国は、適切な法的保護及び効果的な法的救済を定めなければならないこととなった。
経団連産業技術委員会知的財産問題部会(部会長:丸島儀一キャノン専務取締役)は、著作権審議会に対して、この問題に関する部会意見を提出した。この意見のなかで、マルチメディア時代に即した総合的な法制度が必要であることを前提として、

  1. 回避行為を規制することには意義があるが、これを機器規制を通じて実現しようとすることには問題が多いこと、
  2. 従って今回の法改正は、国際的な動向を踏まえた上で、慎重に検討すべきであること、
を主張した。

皇太子奨学金財団への募金ご協力のお願い

現在の天皇陛下のご成婚とハワイご訪問を記念して1960年にハワイに創設された、皇太子奨学金は日米両国の相互理解と友好親善のため、日米大学院生の相互留学事業を行なっており、現在、1999年の天皇、皇后両陛下のご成婚40周年を機に、同事業の一層の充実を図るために、日本・ハワイ双方で各100万ドルの基金拡充募金を始めることとしている。
今般、皇太子奨学金財団のH.浜本副会長のほかハワイ側関係者が来日した。経団連では5月7日に皇太子奨学金日本委員会との会合を開催し、同財団の財務状況及び今年後半に開始するハワイ側の募金への取組みについて説明を聞いた。
日本側では、すでに3月3日に経団連会員各位に1社20万円の募金協力をお願いしており、改めて会員各位のご理解とご協力をお願いしたい。

No.173( 5月14日発行)より

司法制度改革についての意見を発表

行政改革、規制の撤廃・緩和が進むことによって、「透明なルール」と「自己責任」重視の気運が高まっており、自民党ではこうした時代にふさわしい司法制度のあり方について、今年6月に提言を取りまとめるべく、司法制度特別調査会(会長:保岡興治衆議院議員)を設けて精力的な検討を進めている。いくつかの検討課題はビジネスと直接関連することから、産業界を代表して経団連から意見を示す必要があると考え、経済法規委員会を中心に検討を進め、5月19日の理事会で「司法制度改革についての意見」を取りまとめる。
主な意見として、まず、法曹人口が十分でないことへの対応として、裁判官の増員を求める一方、法律によって弁護士だけに認められている業務の一部を弁護士以外に開放すること、特に企業の法務担当者が、自社あるいはグループ企業に対して適切な法務サービスを提供できるようにすることを求めている。また、裁判の迅速化や民事執行制度の充実を求める一方で、独禁法違反に関する私人の訴訟提起を認めることについて懸念を示している。さらに、法制審議会の体制整備についても触れている。

モンゴル国バガバンディ大統領を迎えて講演会を開催

5月13日、日本モンゴル経済委員会(会長:米倉功伊藤忠商事相談役。事務局:ロシア東欧貿易会)との共催により、ナツァギーン・バガバンディ大統領による講演会を開催した。1990年以降、モンゴルでは民主化と市場経済化に向けた改革が進められている。バガバンディ大統領からは、

  1. 政治、経済、社会、人権、外交の分野における改革の成果、
  2. 天然資源、労働力、土地政策、インフラ開発、外国投資優遇措置など投資環境の整備状況、
  3. 為替、金融、民営化、貿易自由化等のマクロ経済政策、
  4. 日本のODA実施状況や北東アジア地域開発計画、
などについて説明があった。また同大統領は、「民主化と市場経済化に反対する政党は存在せず、経済改革はモンゴル国民の広い支持を得ており、最早後戻りすることはない」と強調した。


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