経団連の最近の動き

(1998年9月)

「経団連インフォメーション」の記事より


No.187 ( 9月25日発行)より

「産業技術力強化のための実態調査報告書」を取りまとめ

産業界では、新たな市場の創造と国際競争力の強化に向け、官民を挙げて、産業技術力の強化に戦略的に取り組む必要があるとの声が強まっている。
そのような観点から、経団連産業技術委員会(委員長:金井務副会長・日立製作所社長)では、

  1. 技術競争力の実態把握、
  2. 6つの視点(研究開発テーマの選定・目標設定、創造的な人材開発、研究開発・事業化の迅速化、経営資源の配分、外部との連携、標準化・知的財産権戦略)から、各社の産業技術力強化の取り組み等について事業分野毎の分析、
  3. 民間企業がそのポテンシャルを最大限に発揮するのに役立つ施策のあり方、
の3つを大きな柱として、今般、報告書を取りまとめた。
産業技術委員会としては、これらも踏まえ、本年11月を目途に戦略的な産業技術政策の構築に向けて提言をとりまとめる予定である。
*本報告書は、経団連資料(No.16)として販売中。
定価1,000円(消費税込み)
お申し込みは出版グループまで

No.186 ( 9月18日発行)より

提言『確定拠出型企業年金制度の導入を求める』を取りまとめ

確定拠出型企業年金を巡っては、今年4月の政府の総合経済対策に「制度導入について早急に検討を行なう」旨が盛り込まれて以降、6月に自民党労働部会が「勤労者拠出型年金制度」の提案を発表、8月に自民党年金制度調査会が検討のための小委員会設置を決めるなど、制度導入に向けて議論が高まりつつある。
経団連では、こうした動きを踏まえ、財政制度委員会(委員長:伊藤助成副会長・日本生命保険会長)において、確定拠出型企業年金制度の基本的な考え方を検討してきたが、9月17日に『確定拠出型企業年金の導入を求める』と題する提言を発表し、関係各方面へ建議した。
提言では、

  1. ライフスタイル等の多様化、退職一時金や確定給付型企業年金を巡る厳しい状況等から必要性を指摘した上で、
  2. 既存の年金制度別あるいは所管省庁別に分立することなく、多様な形態を包括する確定拠出型企業年金制度を創設すべきであること
  3. ポータビリティ確保のための方法、従業員教育の必要性、税制上の支援策など制度の基本的な枠組み、
を提唱している。

提言『証券市場に活力を呼び戻す大胆な対策を求める』を取りまとめ

経団連資本市場委員会(委員長:片田哲也コマツ会長)では、1998年9月17日に、低迷を続ける証券市場への緊急対策を求める提言「証券市場に活力を呼び戻す大胆な対策を求める」を取りまとめ公表した。
株価の急激な下落は企業や金融機関の財務体質を圧迫し、信用収縮により景気回復を困難なものとしている。提言では、株式市場での大きな売り圧力となっている株式持ち合いの解消や政府保有株式の放出に対し具体的施策を掲げるとともに、国際的整合性を踏まえた証券関連税制の見直し、個人投資家を市場へ呼び戻すためのインフラ整備、異常な株価の動きに対する証券取引等監視委員会の迅速な調査・公表を求めている。さらに、直接金融による企業への円滑な資金供給が一層重要となることを踏まえ、社債市場、CP市場、店頭市場などの整備を要望している。

『平成11年度税制改正に関する提言』を公表

経団連では、9月16日に税制委員会(委員長:前田勝之助副会長・東レ会長)を開催し、標記提言を取りまとめた。
本提言では、税制の基本的枠組みとして、小さな政府を実現し、所得捕捉の向上を図ること、その上で、将来の社会保障負担の増加を消費税のウェイト引上げで賄うことを指摘した。
平成11年度税制改正に関しては、特に、個人所得課税について、制度改革としての減税と景気対策のための減税とを区分することが好ましいこと、法人課税については、3兆円の実質減税により、法人実効税率を40%に引下げることを強調している。
その他、短期的な景気対策としての住宅取得促進税制の時限的拡充、連結納税制度の導入、持株会社等の企業組織再編にかかる税制整備などを早期に実現するよう求めている。

No.185 ( 9月11日発行)より

『多様なライフスタイルを可能にする住宅政策を求める』をとりまとめ

広さ、耐久性、機能など国民の住宅に対するニーズは多様であり、それらニーズに対応できる住宅政策が求められている。一方、波及効果の大きい住宅投資の拡大は内需主導の景気回復の切り札として強く期待されている。
経団連国土・住宅政策委員会(田中順一郎共同委員長)では、今年度から土地・住宅政策のあり方について基本理念から議論しているが、政府与党の来年度税制改正に向けた取り組み等を踏まえ、中間的に住宅政策に関する提言を取りまとめ、政府関係方面に建議することとした。
提言では

  1. 所得税の制度改革の中でのローン利子の所得控除制度の導入、
  2. 当面の内需拡大に向けた(期間限定)現行住宅取得促進税制の拡充、
  3. 不動産取得税の撤廃等、不動産流通課税の撤廃・軽減、
  4. 都市機能の更新に資する規制の緩和・合理化、
  5. 借家供給の促進、
などを求め、総合的で実効ある住宅政策の確立を訴えている。

提言「PFIの推進に向けて」を取りまとめ

英国で導入されたPFIは民間主導で効率的な社会資本整備を行うものとして注目され、わが国においてもPFIの推進を図るべく、PFI推進法案が国会に上程されている。
経団連国土・住宅政策委員会ではPFI推進部会(部会長:鈴木誠之氏)を設け、PFIをめぐる諸課題について検討を重ねてきたが、構造改革の一環としてPFIの推進を働きかけるべく、提言を取りまとめることとした。
提言では、PFIを推進することの意義を確認する一方、市場原理に基づき民間事業者自らの投資判断により参入すること等、事業を行なうにあたっての前提を明らかにする。また、事前の契約による官民のリスク分担の明確化、公平・透明な手続の確保と情報公開等、PFIの推進にあたって必要な条件整備を求める。 国土・住宅政策委員会では引き続き残された課題について検討を進め、適宜、見解を明らかにしていく。

経団連ホームページのリニューアルについて

経団連では1995年1月にインターネット上にホームページを開設し、経団連の活動を広範な人々に伝えるために、日本語と英語で各種の情報を発信してまいりました。現在の月間アクセス数は約30万件、開設以来の総アクセス数は約470万件となっております。
9月1日から、利用機能の一層の向上と提供情報の充実を目指して、以下のとおりホームページのリニューアルを実施いたしました。

  1. 世界的に関心が高まっている環境問題に関し、わが国産業界の最新の対応を紹介するため、約80社の環境関連サイトへのリンクを設定。
  2. テーマ別検索機能を設け、経団連が取り組んでいる政策テーマから意見書等を検索し易くする(政策テーマ例:経済・財政政策、税制、行革、技術政策 等)。
  3. トップページのデザインの変更により、提供情報へのアプローチを容易にし、使い勝手を向上。
  4. 検索エンジンプログラムをバージョンアップし、検索機能の効率を高める。
また、環境関連サイトへのリンクを設定するにあたり、会員の皆様にはアンケート等でご協力いただき誠にありがとうございました。
ホームページをご一覧の上、webmaster@keidanren.or.jpまでコメント等いただきたくお願い申しあげます。

No.184 ( 9月 4日発行)より

『国民が信頼できる公的年金制度の再構築を』をとりまとめ

政府の年金審議会では、来年の財政再計算に向けて、年金制度改革の議論が進んでおり、8月31日、9月1日に集中審議が行なわれた。審議会では、急速な少子・高齢化の進展や経済基調の変化を踏まえ、今後の保険料負担と給付水準のバランス、基礎年金の財源問題が議論の焦点となっている。
経団連では、財政制度委員会において、公的年金制度の抜本改革の具体策を検討してきたが、7月21日に『国民が信頼できる公的年金制度の再構築を』と題する提言を発表し、関係各方面へ建議した。提言では、

  1. 国民年金の未納者・未加入者問題や厚生年金の積立不足問題など現行制度の問題点を指摘した上で、
  2. 現行制度の枠組みを抜本的に改め、その柱として基礎年金部分の間接税方式への移行と報酬比例部分の積立方式化を行なうべきであること、
を主張している。
*本提言は、経団連資料(No.15)として販売中。
定価500円(消費税込み)
お申し込みは出版グループまで

また、会員企業を対象とした『公的年金改革に関するアンケート調査』の結果を、9月中に公表する予定である。


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