経団連の最近の動き

(1999年12月)

「経団連インフォメーション」の記事より


No.241 (12月24日発行)より

厚生年金基金の代行部分返上の選択を求める

厚生年金基金(以下、基金)は、適格退職年金とともに、わが国における企業年金制度の普及、充実に貢献してきた。しかし、制度発足30余年を経て、少子高齢化の進展、労働市場の流動化、金融自由化など、企業年金制度を取り巻く経済社会構造は大きく変化し、既存の企業年金、中でも基金の代行部分の不安定性が顕在化しており、事前積立を原則とする企業年金の中で運営維持していくことはもはや困難となっている。そこで、経団連では、12月21日、標記意見書を取りまとめ、公表した。
意見書では、上記のような問題意識に加え、具体的な返上ルールとして、

  1. 返還金額は、凍結措置に基づいて計算された最低責任準備金とする、
  2. 返上先は国とする、
  3. 市場への影響を極力回避するため、有価証券等の現物による返還、分割返還、企業年金契約の名義変更などの特別措置を講じる、
  4. 返上後の加算部分については、「代行なし基金」の創設、適格退職年金への移行、確定拠出型年金への移行のいずれも選択できるようにする、
などを提案した。

ABAC日本支援協議会の発足について

去る12月16日に今井経団連会長、秋山関経連会長他の出席を得て、設立総会が開催され、オムロンの立石会長が協議会会長に選任された。総会には、ABAC(APECビジネス諮問委員会)日本委員3名も出席し、山本外務政務次官並びに寺田通産省経済協力部長より祝辞が披露された。
APECの民間諮問機関であるABAC活動については、総理に任命された3名の委員が個人の資格で参加してきた。しかし、APECがWTO交渉の前哨戦の様相を呈するにつれて、ABACで扱う問題も複雑多岐にわたるようになり、日本の立場を代表するような発言を求められることも増えてきた。この背景には、米国をはじめとする各国の代表が、国際ルールの形成に向けてABACの場も積極的に活用しているとの事情がある。
そこで、わが国経済界としてもABAC日本委員の支援を拡充・強化しつつ、APECならびにABACに効果的に取り組むために、経団連、日商、日経連、同友会、関経連の経済5団体が呼びかけ、47社の参加を得てABAC日本支援協議会を発足させるにいたった。多数の会員の皆様に、是非、ご参加いただきたい。

No.240 (12月17日発行)より

企業の1998年度社会貢献活動実績調査結果を発表

社会貢献推進委員会および1%クラブは、経団連会員企業と1%クラブ法人会員を対象に毎年実施している「社会貢献活動実績調査」の1998年度調査結果を公表した(調査対象1,054社、回答社数378社、回答率35.9%)。
長引く景気低迷が社会貢献活動にどのような影響を与えたかという点で注目された調査結果は、社会貢献支出額(1社平均3億8,200万円 対前年7.7%減)をはじめ寄付金額や自主プログラム支出額等、大半の指標が1997年度実績を下回った。しかし、その下げ幅はバブル経済崩壊後の1992年度に15%以上減少したのと比較して小幅なものにとどまったことに加え、各社の工夫により社会貢献活動がより深みのあるものへと進化していることが伺える指標も散見される。
その一つが寄付先の多様化である。1998年度の寄付金額は前年度に比べ10%程度減少したものの、寄付件数は逆に増加した。とくに、草の根の市民活動団体への寄付件数は1社平均で約40件と前年に比べ23%増加しており、各社が目に見える形での寄付を重視していることが伺える。
もう一つの特徴は、寄付やNPO支援の方法が多様化してきたことである。企業は、社会貢献に対する予算上の制約が強まる中で金銭以外の支援方法、例えば現物寄付や施設開放、社員参加といった形でNPO等のニーズに合った支援を行なっている。
企業が組織的・体系的に社会貢献活動に取り組みはじめて約10年が経過し、その活動が量重視から質重視への転換期を迎えていることを裏付ける調査結果である。

産業廃棄物最終処分量の減量化目標を設定

産業廃棄物最終処分場の逼迫やダイオキシン問題等を契機とする国民の廃棄物問題への意識が高まるなか、産業界としても循環型社会の推進に向けての取組みを一層強化していく必要がある。
そこで、環境安全委員会廃棄物部会(部会長:庄子幹雄 鹿島建設専務)では、現在大きな問題になっている廃棄物対策への自主的取組みを社会にわかりやすく提示するために、主要26業種(注)の参加を得て、産業界としての産業廃棄物最終処分量の削減目標を、新たに設定し、公表した。
2010年度における産業廃棄物最終処分量の目標量を1500万トン、2005年度における中間目標を2100万トンと設定した。この目標は、1990年度実績と比較すると、それぞれ25%(削減率75%)、35%(削減率65%)に相当する。
今後、毎年、定期的にフォローアップを行ない、進捗状況を公表していく予定である。

【産業界全体(26業種)からの産業廃棄物最終処分量】
1990年度実績1996年度推計1998年度実績2005年度目標2010年度目標
6,000万トン5,200万トン3,486万トン2,100万トン1,500万トン
100%87%58%35%25%
※一部の業界は推計値
(注)電力、ガス、石油、鉄鋼、化学、セメント、製紙、自動車部品、電機・電子、自動車、建設、鉱業、板硝子、ゴム、電線、アルミ、製薬、ビール、伸銅、石炭、製糖、産業機械、造船、乳製品、ベアリング、製粉の26業種。

No.239 (12月10日発行)より

台湾大地震義援金第2回分を送金

皆様よりお寄せいただいた義援金のうち、12月9日、第2回分として4,322万円(11月5日に第1回分1億円を送金済)を日本赤十字社に送金させていただきました。ご協力ありがとうございました。

No.238 (12月 3日発行)より

国立大学教官等の民間企業役員兼業規制の緩和実現への取組み

さる11月30日に、国立大学教官等が自分の研究成果を事業化する企業の役員兼業および社外監査役就任を認めるとの政府方針が決定された。
経団連では、わが国経済の活性化と新規雇用を創造する上で新産業・新事業の創出が不可欠であり、そのためには大学が積極的に研究成果の社会的還元を図り、社会の期待に応える必要があるとの観点から、1998年6月の「新産業・新事業創出に関する緊急提言」、11月の「戦略的な産業技術政策の確立に向けて」をはじめとする提言や一連の規制緩和要望において国立大学教官等の民間企業役員兼業規制の緩和を要望し、関係者への働きかけを行なってきた。
来年の6月の株主総会シーズンまでに実現を目指すとのことであり、これにより大学から社会への技術移転が円滑に進み、新たな事業と雇用創造が行なわれるとともに、各企業においてもこれを機に産学の連携・交流を一層積極的に進め、わが国経済が活性化することを期待したい。

首都機能移転候補地の審議が大詰め

政府の国会等移転審議会では、年内の答申を目指して、首都機能移転候補地の選定を進めている。現在、調査対象地域10地域について、土地取得の容易性、地震・火山に対する安全性、水供給の安定性など16の調査項目について項目ごとの検討を終え、総合評価の作業が進められている。
経団連首都機能移転推進委員会(委員長:河野俊二氏)では、11月19日の首都機能移転推進委員会において板倉大都市圏整備局長より審議の最終段階での説明を聞き(「経団連くりっぷ」12月9日号参照)、答申後の土地投機対策などについて意見交換した。
答申がなされると総理が国会に報告を行ない、国民の合意形成の状況、社会経済情勢の諸事情に配慮するとともに、東京都との比較考量を行なって、国会が移転先を法律で決定する。移転先が決定すれば、2004年度以降、新都市の建設が開始される予定である。

「トルコ大地震義援金募金」活動終了のご報告

標記義援金募金は、皆様のご協力により26団体、292社より総額1億2,009万円の浄財が寄せられ、募金活動を無事終了することができました。お寄せいただいた義援金は、日本赤十字社に送金し、被災地(者)の救援活動資金や冬用テント等の調達費用の一部に充てていただくことといたしました。
ご協力いただきました皆様に対し、厚くお礼申しあげますとともに、募金活動終了のご報告をさせていただきます。


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