経団連の最近の動き

(2000年7月)

「経団連インフォメーション」の記事より


No.267 ( 7月28日発行)より

意見書「新たな貿易保険制度に対するわれわれの考え」を提言

わが国の貿易保険事業は、2001年4月から通産省貿易局に代り「独立行政法人 日本貿易保険」が実施することになる。経団連では、かねてから貿易保険の独立行政法人化を主張してきたが、この機会に改めて国際協力委員会の下、新たな貿易保険制度に対する経済界の考えをとりまとめた。
同提言では、新法人が利用者のニーズに基づく効率的なサービスの提供、欧米の貿易保険機関に遜色のない国際競争力のあるサービスの提供などの実現を訴えている。
これに関連して、新法人の経営の中核への民間人の登用、職員レベルでの民間経済界との人事交流ならびに民間人の登用を提言している。また、具体的な業務改善策として、事務の効率化による利用者負担の軽減、審査の迅速化などを要望している。更に、貿易保険の実施において、対外経済政策上の判断が十分行なわれるよう、新法人と経済産業省とが政策面において密接な連係を図るよう求めている。

第48回北海道経済懇談会を開催

7月26・27日の両日、今井会長、片田副会長、香西副会長、上島副会長、宮部税制共同委員長が札幌を訪問した。26日午後には、堀北海道知事を来賓に迎え、21世紀の経済新生と北海道の発展に向けた基盤作りをめぐって北海道経済連合会(道経連)首脳らと懇談した。席上、泉道経連ほか北海道側出席者からは、北海道経済をめぐり、

  1. 製造業の振興や雇用対策、社会資本整備等を必要とする、
  2. 有珠山噴火の影響が観光等にも及んでいる、
  3. 金融情勢と地方財政は依然として厳しい、
  4. 新千歳空港の活用等による国際化が必要である、
  5. 産業クラスター構想や産学官協働センター(愛称:コラボほっかいどう)の建設等で経済の活性化を図っている、
等の発言があった。また、経団連側からは、財政・金融政策や会社法制の課題、税制改革、アジア・極東との経済交流などについて述べた。なお、経団連一行は27日、札幌市リサイクル団地と江別市の町村農場バイオガスプラントを視察した。

No.266 ( 7月21日発行)より

意見書「21世紀を拓くナノテクノロジー」を建議

わが国はこの十数年来、エレクトロニクス、新材料等の分野において、原子・分子レベルで物質を制御する技術であるナノテクノロジーへの取組みを進めており、その技術水準は世界のトップレベルにある。一方、米国では、ナノテクノロジーをIT、バイオに続く戦略分野に掲げ、予算の重点的投入等その強化に向け、取組みをはじめた。
そこで、経団連では、ナノテクノロジーへの取組みを強化すべく、先月産業技術委員会の下に、ナノ・テクノロジー専門部会を設置するとともに、7月18日に標記提言をとりまとめ、政府等関係各方面に建議した。
同提言では、ナノテクノロジーは、IT、医療、環境をはじめとする広範な分野において、次世代の産業社会に大きな影響を及ぼす基盤技術であり、今後、日本がこの分野において、世界を先導するためには、基礎研究からその実用化に至るまで、国をあげた戦略的な取組みが必要であることを述べている。

電子政府実現に向けた提言取りまとめ
情報通信委員会の開催

情報通信委員会では、7月24日(月)に電子政府実現に向けた提言案に関する審議を行なう。
政府は、ミレニアム・プロジェクトで、21世紀初頭に世界最高水準の電子政府を実現すると宣言し、2003年度までに行政手続をインターネット経由で行なえる電子政府の「基盤」を構築するとの目標を掲げている。国・地方を問わず、行政のあらゆる分野でITを活用する電子政府は、国民サービスと行政運営の質的向上を目指したものである。
電子政府の実現は、社会全体のIT化を推進し、21世紀の日本に豊さと活力をもたらす重要なプロジェクトである。情報通信委員会では、省庁横断的、国・地方一体的な取組みによって、国民から見て「一つ」の電子政府を実現するための政策課題などにつき、議論する予定である。
なお、当日は、内閣内政審議室の竹島室長と、IT政策をめぐる動向と課題についても懇談することとなっている。

経団連ゲストハウス
2000年個人利用等のご案内

◇◆スペシャル・サマー・プラン◇◆
○期間8月11日(金)〜8月17日(木)
○料金(税・サービス料別)
客室 シングルルーム(1泊)10,000円 
ツインルーム(2名様1室)18,000円 
食事 朝食(洋/和食)2,000円 
夕食(フランス料理)5,000円〜
(デュエットメニュー/2名様)15,000円 
(京風会席/4名様より)8,000円 
○催し物
 納涼の夕べ8月14日(月) 20:30〜(参加費無料/予約制)
富士の麓の澄んだ空気の中で、生ビールを召し上がりながら、
「鼓太郎太鼓」と「星座ウォッチング」でお楽しみ頂きます。
【ご予約先】経団連ゲストハウス 東京予約センター
電話03-3279-1431(直通)
◇◆経団連ゲストハウス囲碁合宿の参加者募集◇◆
−リーグ戦+指導碁で碁三昧を−
○日 時8月10日(木)13:30〜11日(金)13:00
○指 導大枝雄介九段(日本棋院)他
○参加費32,000円(1泊3食)
○定 員男女30名
【お申込先】経団連 事業本部
電話03-3279-1411内線2563・2510

No.265 ( 7月19日発行)より

企業活動に関わる最近の不祥事への対応について
〜今井会長からの呼びかけ

7月18日開催の理事会において、今井会長から、以下の通り、会員各位に対して呼びかけがあった。
「昨今企業活動にかかわる事故、あるいは、見方によっては事件が発生していることに関連して、一言、申し上げたい。
昨年のJCOの事故に続いて、最近では、雪印乳業の品質管理に関わる重大な問題が発生している。これらは、産業人の常識では到底信じられないような問題である。とりわけ、人の生命や生活に直結する産業においてこうした問題が生じたことは、極めて遺憾であると考える。
経団連企業行動憲章では、まず、第一条で『安全性に十分配慮して財・サービスを開発・提供する』ことを掲げているが、これを第一条に掲げていることは、安全な財・サービスの提供が、企業にとって、何よりも優先する重要事項であるとの認識に立つものである。
さらに第十条に『本憲章に反するような事態が発生したときには、経営トップ自らが問題解決にあたり、原因究明、再発防止に努める。また、社会への迅速かつ的確な情報公開を行なう』よう明記してあり、これは、企業の危機管理に関する最も基本的な事柄である。
私は、二年前に会長に就任して以来、企業は、自立・自助・自己責任の原則にたって行動しなければならないと、申し上げてきた。その第一歩が、企業行動憲章の遵守であるが、われわれは、この憲章の遵守を、会員全体の共通認識に基づく申し合わせ事項としていることを、再度ご確認いただきたい。
会員企業各位においては、すでに充分な認識を持って取り組んでいるものと思うが、財・サービスを提供する立場にある者の責務として、日頃から一層緊張感を持って企業経営にあたるよう、改めてお願いしたい。」

No.264 ( 7月14日発行)より

第15回東富士フォーラムがはじまる
−教育、憲法なども議論の対象に

経団連の夏期セミナーである東富士フォーラムが、7月13日(木)、今井会長、副会長、評議員会議長・副議長、委員長などの参加により、静岡県の経団連ゲストハウスで始まった。7月15日(土)までの会期中、辻副会長の司会で、経済の諸問題にとどまらず教育、憲法、外交、安全保障など、経済界として看過できない重要問題についても自由な意見交換が行なわれる。
初日の13日には、国立教育研究所の小松教育経営研究部長と慶応義塾幼稚舎長の金子教授を迎え、教育改革を巡り活発な議論が展開され、引き続きゼロ金利問題などについて討議された。
なお、同フォーラムに先立ち、今井会長はそごう問題に関して報道各社の共同インタビューに応じ、6月末の再建計画は合理的な判断に基づくものであったが、2週間でそごうの事業環境に大きな変動があったことが今回の結果を招いた旨を述べた。

「わが国の強みを活かしたバイオ産業の健全な発展に向けて」を18日に建議

先日、日米欧政府の国際共同プロジェクトである「国際ヒトゲノム計画」と米国のセレーラ社はヒトゲノム配列の解読を発表した。今後は、ゲノム配列の解析から機能の解析という、いわゆるポスト・ゲノム・シーケンスの時代を迎えることになる。産業技術委員会バイオテクノロジー部会(部会長:山野井昭雄・味の素副社長)では、このような時代において、わが国の強みを活かしつつ、バイオ産業を健全に発展させていくために何が必要かということについて検討を進めてきた。今般、技術基盤の整備、基盤技術から産業化に至るまでの環境整備、国民の理解に基づく市場の受容性の向上の観点から、当面取り組むべき具体策を提言案としてとりまとめた。
提言案は、7月18日開催の理事会の審議を経て、政府・与党など関係方面に建議される予定である。

「1999年度社会貢献活動実績調査」にご協力を

社会貢献推進委員会および1%クラブでは、経団連会員企業と1%クラブ法人会員を対象に「1999年度社会貢献活動実績調査」を実施する。
本調査は企業の社会貢献活動に関する国内唯一の調査である。1991年より実施しており、会員の社会貢献活動の参考に供するとともに、国民各層の企業の社会貢献活動に対する理解促進を図ることを目的に行なっている。例年400社前後の会員から回答が寄せられるが、特に今年度は意識調査を含めた3年に一度の大規模調査の年であり、NPOとの連携やITの活用等、新たな動向を把握するための質問項目を加えている。会員各位の一層のご協力をお願いしたい。
なお、調査結果は、年末に開催予定の社会貢献推進委員会および1%クラブの会合にて報告するとともに、その概要を公表する予定である。

No.263 ( 7月 7日発行)より

「新内閣へ望む」を第二次森内閣へ提出

6月25日の総選挙の結果を受けて、第二次森内閣が7月4日に発足した。そこで、経団連としての重点要望事項をとりまとめ、今井会長が6日に森総理に面会し、同要望の申し入れを行なった。
同要望では、新内閣に対して、IT革命の推進などにより民需主導の自律的回復の流れを確実なものとすること、21世紀において国民誰もが安心して暮らせる経済社会を構築するため、たとえ痛みを伴ったとしても必要な構造改革を断行することを強く訴えた。このため、まず、社会保障、税制、地方行財政を包括した財政構造改革のグランド・デザインを策定し、国民に改革の道筋を示すことが不可欠としている。これによって、将来不安を払拭し、日本新生を目指すべきと指摘している。

「経済運営と景気動向に関するアンケート調査結果」を公表

経済政策委員会では、6月中旬〜下旬にかけて、経団連常任理事および会長・副会長(計211名)を対象に「第3回経済運営と景気動向に関するアンケート調査」を実施し、4日に結果を公表した(※第1回、第2回調査は試行段階につき非公表)。
まず、2000年度の実質成長率については、「政府経済見通し並みの1.0%程度」または「これを上回る」との回答が全体の88%を占めた。
また、各社における2000年度のIT関連投資計画は、前回調査(本年1月)段階から大幅に上方修正され、「前年度比で50%以上増額する」との回答も23%に達した。
今後の政策運営については、「必要に応じて、景気対策のための補正予算を編成すべき」との回答が53%、「いわゆるゼロ金利政策を、デフレ懸念が払拭されるまで継続すべき」との回答が65%となった。

アジア主要国・地域の経済界首脳を招き、アジア隣人会議を開催

7月18日と19日の両日、東京においてアジア隣人会議を開催する。同会議は、二国間委員会やミッション派遣に際して経団連が協力を得ているアジア各国・地域の経済団体の長が一堂に会し、インフォーマルな雰囲気の中で共通の関心事項について自由に意見交換を行なうものであり、今回が第5回となる。今回の会議には、中国、韓国、台湾、香港、タイ、マレーシア、シンガポール、インドネシア、ベトナムから代表的な民間経済団体の長がそれぞれ参加するほか、経団連から今井会長、香西副会長、上島副会長、橋本評議員会副議長、立石アジア・大洋州地域委員会共同委員長が参加する。会議では、各国・ 地域の経済の抱える問題点と今後の発展戦略や、アジアにおける新たな地域協力のあり方、IT革命などグローバル経済の進展と今後のアジア経済などについて、率直な意見交換を行なう予定である。


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