経団連の最近の動き

(2001年5月)

「経団連インフォメーション」の記事より


No.303 ( 5月25日発行)より

「エネルギー政策の重点課題に関する見解−安定供給の確保と環境・経済との調和−」を建議

資源・エネルギー対策委員会(委員長:秋元勇巳 三菱マテリアル会長)は、昨年7月よりエネルギー政策のあり方について総合的な観点から検討を行ってきたが、今般、標記「見解」を取りまとめ、5月22日の理事会の了承を得て関係方面に建議した。
「見解」では、エネルギーの安定供給、環境保全、経済合理性の確保を一体的に実現することを政策の基本とし、中長期的な国家戦略に基づき、その推進を図ることを政府に求めている。また、地球温暖化問題への対応、省エネ型社会の推進や原子力利用を進めるに当たっての地域住民、首長、自治体や国民全般の理解、協力、支持が不可欠であることなどを提言している。

ナイジェリアのオバサンジョ大統領を表敬

5月22日、訪日中のオバサンジョ・ナイジェリア共和国大統領を安崎サブサハラ地域委員長が表敬した。
席上、オバサンジョ大統領からは以下の発言があった。

  1. 昨年7月の九州・沖縄サミットの際に訪日し、また本年1月には森首相にナイジェリアを訪問していただいた。これが契機となり、両国の相互認識が高まっている。
  2. 日本がTICAD(Tokyo International Conference on African Development)I、IIを通じて、アフリカ諸国の開発と発展に協力してきたことを積極的に評価する。本年12月に開催予定のTICAD IIIにも大いに期待している。
  3. ナイジェリアは、国民の購買力の向上を目標としている。1人当たり10ドル購買力が増えれば、国全体としては12億ドル購買力が増大したことになる。購買力の向上は、日本企業にとってもメリットがある。
  4. アフリカでビジネスを行うにあたっては、各国が直面している紛争や疾病などの窮状をよく理解したうえで行ってほしい。

No.302 ( 5月18日発行)より

経済産業省の日本版ノーアクションレター制度実施に向けて意見提出

5月11日、行政改革推進委員会は、経済産業省がパブリック・コメント手続に付した同省における法令適用事前確認手続(いわゆる日本版ノーアクションレター制度)に関する細則に対して、民間事業者がより利用しやすく公正・透明性の高い制度となるよう、意見をとりまとめた。「意見」では、

  1. 制度の対象法令の範囲拡大、
  2. 照会書の補正要件の明確化や回答時の解釈・見解付記の原則化といった照会・回答手続の運用改善、
等を指摘している。
今後、経済産業省以外の各府省でも、政府統一指針(http://www.soumu.go.jp/参照)を下に細則を策定し、今年度中の可能な限り早期に実施する予定である。本手続は、民間事業者にとって、新事業・新商品の適法性を迅速に確認する手段の一つとして有用で、行政機関からの処分の不意打ち防止も期待される。会員企業の皆様も本手続を積極的にご活用いただきたい。

高齢者医療制度改革に関する経団連・日経連共同提言をとりまとめ

経団連・日経連は、2002年度に予定されている医療制度抜本改革に向けて、共同提言「高齢者医療制度改革に関する基本的考え方」をとりまとめ、政府・与党関係方面に建議した。
提言では、新たに「シニア医療制度」(仮称)を創設し、一定年齢以上(当面70歳以上、段階的に65歳を目途に拡大)の医療制度を現役世代の医療保険から分離するよう求めている。「シニア医療制度」は市町村が運営し、対象者は、「自立・自助・自己責任」の原則に則り、負担能力や受益に見合った保険料、自己負担を拠出する。不足分は、公費によって広く国民全体で負担し、老人保健拠出金は段階的に廃止する。
一方、公費投入を極力抑えるため、公的医療保険の守備範囲の見直しと、公的医療保険の対象となる医療費の抑制策を提言している。
2002年度には、中長期的な改革案と移行スケジュールの明示、医療費抑制策の実施を求める。

地域における産業集積戦略のあり方を提言

経団連は、5月22日に開催する理事会の承認を得た上で、「地域における産業集積戦略のあり方」と題する提言を政府、与党、地方自治体、大学関係者等に建議する。提言は、新しい地域産業集積に向け、地域の産業、大学、地方自治体が有機的に連携することが不可欠であること、国も地域政策の再構築を進めることなどを通じて、地域の取組みを円滑にする環境整備を行うべきであること、などを訴えている。
具体的には、停滞する日本経済を活性化させる処方箋として、

  1. 国の地域経済産業政策の見直しと地域による戦略・施策の策定、
  2. 創業、新規設備投資・事業創出の促進、
  3. 地域に密着した産業・分野の創出・集積、
  4. 地域における大学等の研究開発機能の活性化、
  5. 地域を担う人材の育成・集積、
を提言している。

No.301 ( 5月11日発行)より

今井会長が小泉新総理に政策要望

5月9日、小泉新内閣に対する政策要望(「新内閣に望む」)を取りまとめ、今井会長より小泉総理に手渡してその実現を求めた。
同要望は、緊急経済対策の着実な実行、企業の経営基盤強化に向けた環境整備、長期的な視点に立った行財政改革の推進を求めたものである。
席上、今井会長は「ほぼ経団連の要望に沿ったもの」と所信表明演説を評価し、小泉内閣の目指す構造改革を全面的にバックアップしていくと伝えた。そのうえで今井会長は特に、社会保障、地方財政、税制を包括した将来のグランド・デザインを一刻も早く国民に示してほしいと要望した。それに対して、小泉総理は、ムダの多い行政機構等に対し徹底的な歳出削減を行わなければならない、と応じた。

「会社機関の見直しに関する考え方」を公表

4月27日、経済法規委員会(共同委員長:千速晃 新日本製鐵社長)は、4月18日の法制審議会を経て各界に意見照会された「商法等の一部を改正する法律案要綱中間試案」について、緊急に考え方を取りまとめ、公表した。
「考え方」は、中間試案のうち規制強化を求める会社機関に関する部分に絞って反対意見を述べたものである。具体的には、大会社に(1)社外取締役の選任を義務付けることと、(2)取締役の任期を1年に短縮することについては、企業経営における自治を尊重するよう指摘している。また、(3)選択制とはいえ、各種委員会制度ならびに執行役制度を一体の制度として導入することについては、より選択のしやすい柔軟な制度とすべきだと指摘している。さらに、(4)重要な子会社の株式の全部譲渡、他社株式の全部取得、一定の新株発行の際に、株主総会の特別決議を課するとの提案については、機動的な企業再編や提携のために、現行通り、取締役会決議で執行できるようにすべきだとしている。
経済法規委員会では、中間試案の他の部分も含めたコメントを5月中に取りまとめることにしており、現在、委員会のメンバーを対象にアンケートを実施している。


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