Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2015年2月26日 No.3213  地球温暖化問題を技術で解決する~産業界の取り組み<8> -電力業界におけるCO2排出量削減に向けた取り組み

■ 電力業界の取り組み

電気事業連合会の会員10社、電源開発および日本原子力発電(以下、電事連関係12社)は、自主的取り組みとして「電気事業における環境行動計画」を1996年11月に策定、公表している。

これは、地球温暖化対策、循環型社会の形成、化学物質の管理等に対する取り組み方針・計画等を取りまとめたものであり、実施状況や進捗状況を踏まえて毎年フォローアップを行っている。

また、2013年度以降は同行動計画を経団連が掲げる低炭素社会実行計画のなかに位置づけ、電気の需給両面での取り組み等により、低炭素社会の実現に向け主体的に取り組んでいる。

■ 取り巻く環境

電事連関係12社は、2011年の東日本大震災以降ほぼすべての原子力発電を停止しており、火力発電の割合が過去最高となり、火力発電に対する取り組みが重要となっている(2013年度の全発電電力量に対する割合は、原子力1.0%、火力88.3%)。

■ 火力発電設備の高効率化

火力発電の取り組みとして、高経年化火力の建て直しや新規設備導入にあたっては、高効率設備の導入を行っている。

図表1 コンバインドサイクル発電
図表2 石炭火力発電熱効率の国際比較

例として、LNG火力ではコンバインドサイクル発電(注)の導入を進めている(図表1参照)。2011年9月に運転を開始した姫路第二発電所においては、世界最高水準の約60%(低位発熱量基準)という高い熱効率を実現している。

また、石炭火力については、熱効率の向上のため蒸気条件(温度、圧力)の向上を図っており、現在、最新鋭である600℃級の超々臨界圧石炭火力発電(USC)が導入されている。電事連関係12社として、以前から石炭火力の高効率化に設備面・運用面から取り組んでおり、日本における石炭火力発電は世界最高水準の熱効率を維持している(図表2参照)。

以上による成果として、2013年度は、高効率火力プラントの運転開始により、年間CO2排出量約240万トンの抑制効果があった。これは、電事連関係12社が持つ太陽光発電による抑制効果、約5万トン(2013年度)の48倍となる。

(注)コンバインドサイクル発電=ガスタービンと蒸気タービンを組み合わせた発電方式

■ 国際貢献に関する取り組み

先に述べた日本の石炭火力の高い熱効率にも表れる電力業界の持つ高い技術力、運転・保守管理能力を用いて国際貢献を行っている。途上国支援の例として、「エネルギー効率向上に関する国際パートナーシップ(GSEP)」活動を通じて、石炭火力設備診断やCO2排出削減活動等を行っており、日本の技術を移転・供与することで世界的な低炭素化に貢献している。

■ 革新的技術の開発

地球温暖化問題への中長期的な対応として、革新的技術の研究開発を進めている。現在取り組んでいるものとして、石炭ガス化複合発電(IGCC)がある。これは、石炭をガス化することでLNGコンバインドサイクル同様の発電を可能とし、従来の石炭火力より発電効率が高くなる。

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以上のように、環境に配慮した取り組みを引き続き実施し、電気事業における低炭素社会の実現を目指していきたい。

(電気事業連合会)
【環境本部】

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