セミナー「複合危機時代における日韓新経済協力:グローバルパートナーシップのビジョンと戦略」を開催しました
ヨ・ハング通商交渉本部長(中央)
経団連総合政策研究所(筒井義信会長)は4月22日、東京・大手町の経団連会館で、韓国経済研究院と共に、セミナー「複合危機時代における日韓新経済協力:グローバルパートナーシップのビジョンと戦略」を開催しました。
韓国産業通商資源部 のヨ・ハング通商交渉本部長が経済安全保障やサプライチェーン、エネルギー、AIなどを巡る日韓協力の方向性に関して講演し、日韓の有識者によるパネル討議を実施しました。概要は次のとおりです。
■韓日通商協力の方向性(ヨ氏)
日韓両国が製造業立国として共通の課題に直面している。エネルギー安全保障、米中の経済・技術覇権競争、少子高齢化・人口減少という三つの構造的課題を挙げ、価値と利益を共有するミドルパワー同士の連携が不可欠である。
中東依存度の高い日韓両国にとってエネルギー安全保障は喫緊の課題であり、液化天然ガス(LNG)や原油の備蓄・融通、水素や再生可能エネルギー分野での協力強化が必要である。
半導体や重要鉱物など戦略物資を巡る競争が激化しており、両国が3月に締結したサプライチェーンパートナーシップ(SCPA)を基盤に、重要鉱物などの分野で協力を制度化すべきである。
AIは、日本の素材・装置産業と韓国の半導体製造能力は相互補完関係にあり、共同研究開発や標準化での協力を進めることで、製造業の競争力向上が可能である。
■パネル討議
日本貿易振興機構(ジェトロ)アジア経済研究所の木村福成所長をモデレーターに、対外経済政策研究院(KIEP)のアン・ソンベ副院長、亜細亜大学国際関係学部の久野新教授が登壇しました。
議論では、SCPAを日韓協力の重要な転換点として実効性あるものにしていく必要性が共有されました。
アン氏は、エネルギーや重要鉱物を含むサプライチェーンでの協力を進めるうえで「企業レベルで信頼関係を積み重ね、成功事例を創出していくことが重要」と指摘しました。
久野氏は「SCPAの署名はゴールではなくスタート」と述べ、政府間での机上演習による備えや、早期に成果を実感できる協力案件の創出が重要との認識を示しました。
デジタル貿易やAI協力も主要テーマとなった。アン氏は、日本のハードウエア・精密製造技術と韓国のデジタル・システム統合能力を組み合わせることで、「フィジカルAI」分野で協力が可能と強調。久野氏も、透明性と信頼性を備えたAIの国際標準作りで日韓が協力すべきだと提言しました。
最後に木村氏は「競争しつつも、協力できる分野を広げていくことが重要」と総括。複合危機時代に日韓両国の官民が継続的な対話と実務協力を積み重ねる重要性を確認し、セミナーを締めくくりました。









