日本経団連タイムス No.3040 (2011年4月28日)

東日本大震災からの復旧・復興に関する規制改革要望を提出

−復旧、事業正常化から将来的な方向性を示すものまで約200件


日本経団連は28日、「東日本大震災にかかる規制改革要望」を取りまとめ、政府に提出した。同要望は、震災からの復旧・復興を目指すうえで企業が直面する喫緊の課題について、全会員企業・団体に実施した緊急アンケートをもとに取りまとめたものである。

全会員企業・団体に実施した緊急アンケートをもとに取りまとめ

■ 緊急要望の背景

経団連では、震災からの早期復旧、復興に向け、「未曾有の震災からの早期復旧に向けた緊急アピール」(3月16日)、「震災復興に向けた緊急提言」(3月31日)、「震災復興基本法の早期制定を求める」(4月22日、別掲)等を提言するなどさまざまな方策に取り組んできた。一方、企業は、自社の事業の正常化に加え、産業復興を通じた被災地域への貢献を目指した諸活動を展開しているが、既存の法制度等に基づく規制のために思うような成果が上げられない場合が少なくない。

そこで、経団連では、この機会に緊急調査を行い、企業の現場から寄せられる生の声をできるだけ詳細に政府に伝え、一刻も早い対応を求めた。

■ 要望項目の概要

今回、経団連が取りまとめた個別要望項目の件数は約200件(暫定)。分野別では、廃棄物・リサイクル、危険物・保安、雇用・労働、運輸・流通、土地・住宅等の分野での要望が多い。

基本的な例としては、災害廃棄物や産業廃棄物の取り扱い規定の弾力化、電気通信工事における専任技術者等の設置義務の緩和、復旧工事における労働基準法の弾力的運用、フォークリフトなど場内専用車による公道走行の許可、建築確認や道路使用許可などに関する手続きの迅速化・弾力化など、主として当面の復旧作業の効率化を目指すものを挙げることができる。また、プラント設備に関する定期修理工事の延期、建築物や機械などの設置・移設に関する届出規定の緩和など事業活動の早期正常化に不可欠なもののほか、農地の有効利用、遠隔診療の地理的要因の緩和といった、被災者の差し迫ったニーズに応えつつ当該分野の将来的な改革の方向性を示すものが見られる。

■ 経団連の今後の取り組み

経団連では、これら要望の実現を具体的に働きかけることを通じて、まちの復興、産業復興の両面から被災地の復興を推進するとともに、震災からの復旧・復興が、新しい日本の創生につながるよう、産業界としての取り組みを強めていくほか、さらなる必要な施策を強力に働きかけていくこととしている。

【産業政策本部】
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