表紙イメージ 経済Trend ロゴ2010年4月号

新たな成長を創造する
今月の表紙: 夢村 作 「花集い」 (アートビリティ登録作品)
障害を持つ方々の個性豊かで、印象深い絵画を厳選してご紹介しています。

巻頭言

練習ハ不可能ヲ可能ニス
宗岡正二 (日本経団連副会長/新日本製鐵社長)

特集
新たな成長を創造する

世界経済は、ポスト危機(ニューノーマル)の局面に向かいつつある一方、日本経済は、5%を超える失業率やデフレの進行など、依然として予断を許さない状況が続いている。しかし、いまこそ危機脱却後を見据えた成長戦略を打ち出し、それに基づく政策を実行に移さねばならない。各企業がどのような成長戦略を描いているのか、日本経済の持続的成長をいかに実現するか、意見を交換した。
座談会
畔柳信雄 (日本経団連評議員会副議長・経済政策委員会共同委員長/三菱東京UFJ銀行会長)
日本経済の持続的成長実現に向けて、日本経団連は、提言「経済危機脱却後を見据えた新たな成長戦略」を取りまとめた。ここでは、5つの成長分野と3つの経済政策の柱を示している。政府から出された「新成長戦略(基本方針)」とも方向性はほぼ一致しており、今後は戦略の具体化・実行へ向けて、継続して政府に働きかけたい。
伊東千秋 (日本経団連産業問題委員会産業政策部会長/富士通副会長)
世界の産業構造は転換期を迎えている。日本の産業構造を変える大きな要因としては、「人口減少と高齢化」「資源・環境の制約」「グローバル化」「人々の価値観・行動様式の変化」「情報通信技術(ICT)の深化」が考えられる。こうした変化を踏まえ、日本は課題解決型先進国として、チーム・ジャパンでソリューションを提供していく必要がある。
吉川廣和 (DOWAホールディングス会長)
当社では、10年ほど前から、環境、リサイクル、省エネ分野を中心に、選択と集中を行い、大きく成長させてきた。今後は、アジアの環境問題に貢献しながら、ビジネスを展開していく戦略を持っている。日本政府に対しては、日本の優れた環境・省エネ技術をアジア市場に売り込んでいくための環境整備を期待する。
井上六郎 (JSP社長)
デフレ傾向と消費者の廉価志向が続くなか、製品価格の設定に苦心をしている。生産技術の改良を継続して行っていくことが、今後の戦略となるだろう。環境分野は、新たな市場として、当社も積極的に取り組んでいる。日本の成長戦略の鍵は、これまでと同じく科学・技術立国であり、新しい環境に適応していくための諸施策に期待する。
天野倫文 (東京大学大学院経済学研究科准教授)
日本企業の市場となり得るアジア全体の中間層は、9億人弱とも試算されている。今後は欧米先進国重視の市場戦略から、アジアに向けた重点化・資源配分のシフトを行うことが急務である。さらに、政府の進める経済連携政策の恩恵を企業が最大限に享受できるよう、官民は緊密な連携関係を取っていく必要がある。
〈司会〉久保田政一 (日本経団連専務理事)

●新たな成長戦略の必要性

●各企業の成長戦略

●グローバルな競争下での持続的成長に向けて

わが国の成長戦略をどう描くべきか
〜新しいシステムを世界へ
石倉洋子 (一橋大学大学院国際企業戦略研究科教授)
人口減少・環境制約下での生産性向上
森川正之 (経済産業研究所(RIETI)副所長)
新たな需要が期待される分野で挑戦する企業の戦略を探る
シャープの太陽電池事業の戦略と将来展望
廣部俊彦 (シャープ常務執行役員ソーラーシステム事業本部長)
  • 太陽電池事業を取り巻く市場環境
  • 当社の事業戦略
    1. 結晶太陽電池と薄膜太陽電池の両輪体制について
    2. 地産地消で考えるグローバル戦略
    3. バリューチェーンの拡大――発電事業への参入について
  • 将来に向けた展望
人とロボットが共存する社会を目指して
〜「ロボティクス・ヒューマンアシスト」事業の取り組み
南 善勝 (安川電機取締役ロボット事業部長)
  • ロボットの新たな利用領域
  • ロボット化の鍵を握る“柔軟性”
健康長寿社会実現に向けた健康機能食品・医薬品開発
桜井容子 (アサヒフードアンドヘルスケア商品開発室長)
  • 「エビオス錠」の歴史と2009年のリニューアル
  • 健康+αで顧客満足を得る
  • 信頼に応え得る品質の高さ、安全性にこだわる
  • 健康長寿社会における成長戦略
電子行政推進への期待
角田恭之 (NTTデータIT政策推進室長)
  • 日本の電子行政はどこまで来たか
  • データ連携が生む効果とは
  • 民とのデータ連携で生活者起点の電子行政を
  • 今後の電子行政推進のために企業ができること
「新たな成長を創造する」日本の観光需要の拡大を目指して
〜地域と人々を豊かにするために観光産業が果たすべき役割
加藤 誠 (ジェイティービー地域交流ビジネス推進部長)
  • 地域とともにある観光産業の隆盛
  • “旅”の果たすべき役割
JR九州グループ・農業への挑戦
〜大分市におけるニラ栽培事業の概要
長塚邦生 (九州旅客鉄道総合企画本部経営企画部担当部長)
  • 農業への参入を検討することとなったきっかけ
    1. 「フードアイランド」九州に身を置く企業として
    2. 大分県による積極的支援
  • 大分市におけるニラ栽培事業がスタート
    1. 新たな農業生産法人の設立
    2. 事業の概要
    3. 現在の準備状況
  • 九州の農業を元気にするために
新たな成長の基盤を築く
(日本経団連経済政策本部、産業政策本部)
  1. 提言「経済危機脱却後を見据えた新たな成長戦略」の概要
    • 成長戦略の必要性
      〜世界同時不況の影響と浮き彫りになった日本経済の課題
    • 経済界が考える新成長戦略
      〜新たな需要が期待される5つの分野と持続的な成長を支える政策の3本柱
  2. 提言「産業構造の将来像〜新しい時代を『つくる』戦略」の概要
    • 環境変化と産業の動向
    • 産業競争力強化の3つの視点
    • パブリック・イノベーション
      〜政府自身のイノベーション

提言
観光立国を担う人材の育成に向けて
〜産学官の連携強化を
http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2010/008.html
大塚陸毅 (日本経団連評議員会副議長・観光委員長/東日本旅客鉄道会長)
  • 観光が持つ3つの意義
  • 国家的課題に対する戦略を提言
  • 求められる人材の多様化
  • 産学官連携の具体策
新たな食料・農業・農村基本計画に望む
http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2010/009/index.html
小林栄三 (日本経団連農政問題委員会共同委員長/伊藤忠商事会長)
廣瀬 博 (日本経団連農政問題委員会共同委員長/住友化学社長)
  • 求められる食料供給力強化と成長産業としての確立
  • 今後の農政の課題
20周年を迎えた1%(ワンパーセント)クラブ
佐藤正敏 (日本経団連1%クラブ会長/損害保険ジャパン社長)
大分県が取り組む企業の農業参入支援について
広瀬勝貞 (大分県知事)
今回の世界金融危機に学ぶことができるか
〜ディッチリー財団主催の国際会議に参加して
田中秀明 (一橋大学経済研究所准教授)

● 経営者のひととき
偶然は最善への必然
古市克典 (日本ベリサイン社長)
● あの時、あの言葉
課長、拍手が湧き起こりました!
常盤百樹 (四国電力会長)
● エッセイ「時の調べ」
夢の病院をめざして
〜がんになっても笑顔で育つために
楠木重範 (国立病院機構大阪医療センター小児科医師)
● NEW FACE(新会員紹介)
サイサン
ジャパネットたかた
タマホーム
● 翔べ!世界へ―奨学生体験記
自分探し−アトランティックカレッジ留学を振り返って
小林 環 (ジョンズ・ホプキンス大学公衆衛生大学院疫学部研究員)

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