[目次] [要約] [はじめに] [第I章] [第II章] [おわりに] [参考資料]

我が国産業の活性化と
金融・資本市場の空洞化対策

〔要 約〕


  1. 我が国の金融・資本市場は、これまで世界3大市場の一角として活況を呈してきたが、昨今は、外資系金融機関の日本離れ、先物取引の海外シフト、外為取引の低迷をはじめ、様々な「空洞化現象」が目立ってきている。この背景には、バブル崩壊後の実体経済の落ち込みに伴い、我が国金融・資本市場の「不自由さ」「不透明さ」「コストの高さ」が浮き彫りになったことがある。この事態を放置すれば、我が国の金融業の衰退を招くだけではなく、産業界にとっても、新事業展開や高付加価値化を進めるうえで大きな障害となる。
    目下、我が国の金融界は、不良債権処理という後向きな対応に追われているが、この状態が長く続けば、金融・資本市場の空洞化も一層深刻なものとなる。市場関係者ならびに政府・与党は、早急に住専処理を含め不良債権処理に解決の目処をつけて、市場改革に取り組んでいく必要がある。

  2. 金融・資本市場改革を進めていくうえでは、まず長期的・大局的視野にたったビジョンを描くことが重要である。
    その柱としては、内外の投資家および資金調達者の幅広いニーズに応えうる (1) ニューヨーク市場のような国際金融センターの実現、(2) 円の国際化、の2つが挙げられる。

  3. こうしたビジョンに沿って、まず市場関係者が、自己責任原則に基づく市場改革に取り組んでいかなくてはならない。
    また、政府においても、民間活力の発揮を促す観点から、以下の環境整備を図るべきである。

    1. 銀行法、証券取引法、外為法など制度の根幹に踏み込んだ、抜本的な規制撤廃・緩和
    2. 税制の見直し(有取税の撤廃、配当所得にかかる二重課税の排除など)
    3. 短期金融市場の整備(短期国債市場の整備、TB先物市場の創設)
    4. 公的金融のあり方の見直し(郵貯・簡保の分割・民営化を含めた経営形態見直し、政府系金融機関の整理)

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