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新産業・新事業委員会企画部会報告書

「日本型コーポレート・ベンチャーを目指して」

第1部 新事業開発に関する各社の取り組み事例

トヨタ自動車


  1. 新規事業取り組みの基本的考え方
  2. 21世紀においても活力ある企業として成長・発展を続けることを目的に、新規事業に取り組んでいる。将来の柱となりうる事業の開拓とともに人材・ベンチャーマインドの活性化やチャレンジマインドの醸成も目指す。

  3. 90年代新規事業プロジェクト
  4. 予てより住宅事業に取り組んできたが、90年代新規事業プロジェクトを86年にスタートさせた。まず金融サービス、FA事業、エレクトロニクス、バイオ、情報通信の5分野の事業化に着手し、その後自動車分野の経営資源を活かせる分野としてマリン、エアロへの取り組みも始めている。

  5. 新規事業テーマの社内公募
  6. 89年より全社課長以上を対象に新規事業テーマの社内公募を行った。730件応募があり、うち36テーマを重点テーマとして登録した。社内に足場のあるものは社内で、その他は事業開発部で新規事業として取り組むこととした。これまで10テーマを事業化し、16社が立ち上り、一部事業化されたものが10テーマ、検討を継続しているものが5テーマある。

  7. 今後への教訓
    1. 新規事業開拓に向けたトップの固い信念が不可欠である。景気動向に係わらず取り組む姿勢をトップが示すとともに、全社的にチャレンジしやすい環境づくりをトップのリーダーシップで推進する必要がある。
    2. 企画段階においては、新規事業の推進者としては、エリート意識を持たず、雑草的な粘り強く、責任感のある人間が適する。また、社内の迅速な意思決定システムが大事である。労務対策的な取り組みは排し、成長分野のテーマあるいは新規性のあるテーマに取り組むことが重要である。
    3. 新規事業の実施段階においては、テーマ実現の責任者を早期に決定するとともに、起業家のための経営者教育を実施する必要がある。また、早期の分社化、独立を図り、機動的、自主的な取り組みができるようにすることも重要である。
    4. 支援・フォロー・育成段階においては、新規事業会社立ち上げ後、2〜3年間は事業企画、営業活動をじっくりできるように本社が支援する必要がある。また、トップが、常に新規事業会社のトップを励まし、その孤独感を払拭することも重要である。

  8. 現在の取り組み方針
    1. 副社長会で意思決定するなどトップレベルでの意思決定、
    2. 5百億円の社内ベンチャー・ファンドの設定による機動的な資金投入、
    3. 社内公募ならびに契約社員制度の導入等による人材の確保、
    4. 新規事業会社経営陣の出資、新規事業法のストックオプション制度の適用など成果に報いるインセンティブ制度の導入、
    5. トヨタ起業塾の開設等による新規事業要員の育成、
    などを図っている。

    新規事業のあゆみ


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