日本経団連タイムス No.2748 (2004年12月2日)

「2005年優先政策事項」発表


日本経団連(奥田碩会長)は11月24日、2005年の政党政策評価の尺度となる「2005年優先政策事項」を発表した。今回の優先政策事項は、昨年9月に発表した優先政策事項10項目を精査・修正して9項目に統合整理するとともに、新たな項目として「内外の情勢変化に対応した戦略的な安全保障・外交政策の推進」を追加、これまで同様10項目から成っている。また、それぞれの項目について、日本経団連の考え方を「解説」としてあわせて公表した。なお、今回新たに追加した安全保障・外交政策の項目の解説については、「国の基本問題検討委員会」で来年はじめを目途に意見集約中の提言を踏まえて追加することとしている。

「安全保障・外交政策」を追加

政治寄付について日本経団連は昨年5月、日本経団連が定める優先政策事項に基づいて政党の政策評価を行い、企業・団体の自発的な政治寄付を促進する新方式による政治寄付の方針を示し、これを受けて、政策評価の尺度となる04年の優先政策事項を昨年9月に発表した。それを踏まえ、自由民主党と民主党の政策を評価(「第1次政策評価」 2月5日号「第2次政策評価」 9月30日号既報)、その政策評価を参考に、企業・団体が自発的に政治寄付を行うよう呼びかけた。

日本経団連では05年も04年と同様、今回発表した優先政策事項に基づき、05年の政党の政策評価を行うこととしている。05年の優先政策事項は次のとおり。

<優先政策事項>

● 基本的な考え方

日本経団連では、2003年1月「活力と魅力溢れる日本をめざして」と題するビジョンを発表した。日本の政治・経済社会システムは、少子化・高齢化の進展、グローバル競争の激化といった環境変化に、迅速に対応できなくなっている。そこで、ビジョンでは、従来の官主導型の成長モデルを転換し、民主導・自律型の経済社会のグランドデザインを示した。すなわち、われわれがめざすのは、個人や企業が自由に創意工夫を発揮し、個々の多様性に根ざした活力を全体の発展に結びつける経済社会である。同時に、国際社会に貢献し、世界から信頼・尊敬される国家を指向すべきである。
このためには、政治が強いリーダーシップを発揮し、少子化対策、経済・産業の活性化、簡素で効率的な政府を実現するための改革を強力に推進するとともに、国の基盤としての確固たる安全保障・外交政策を樹立せねばならない。

● 当面の優先政策

このような観点から、当面、以下の10項目の政策の推進が極めて重要であると考える。

  1. 経済活力、国際競争力強化に向けた税・財政改革

  2. 将来不安を払拭するための社会保障制度の一体的改革

  3. 民間活力の発揮を促す規制改革・民間開放の実現と経済法制の整備

  4. 科学技術創造立国の実現に向けた政策の推進

  5. 持続可能な経済社会の実現に向けた真に実効あるエネルギー・環境政策の推進

  6. 心豊かで個性ある人材を育成する教育改革の推進

  7. 個人の多様な力を活かす雇用・就労の促進

  8. 地方の自立と地域や都市に活力とゆとり、安全と安心を生み出すための環境整備

  9. グローバル競争の激化に即応した通商・投資・経済協力政策の推進

  10. 内外の情勢変化に対応した戦略的な安全保障・外交政策の推進

上記優先政策事項は、2005年の政党の政策評価の尺度となるものである。

【社会本部政治担当】
Copyright © Nippon Keidanren