日本経団連タイムス No.2777 (2005年7月28日)

第4回東富士夏季フォーラム開催

−「戦後60年−日本の課題と好機」統一テーマに活発に意見を交換


日本経団連(奥田碩会長)は21、22の両日、静岡・小山町の経団連ゲストハウスで「第4回東富士夏季フォーラム」(議長=御手洗冨士夫副会長)を開催した。同フォーラムには、奥田会長、森下洋一評議員会議長はじめ、副会長、評議員会副議長、関係委員長ら40名が参加。「戦後60年―日本の課題と好機」を統一テーマに、人づくり・社会づくり、歴史認識、競争力、国際貢献、政治システムなどについて、活発な意見交換が行われた。

開会あいさつで奥田会長は、戦後60年という節目に当たり、もう1度日本とは何か、どうあるべきかを突き詰めて考える必要があると指摘。現在の子どもたちが活力と魅力溢れる日本を作り上げることができるよう、しっかりとした礎を作るのがわれわれ世代の役目であると発言した。

第1セッションでは、「ユニバソロジの世界観―社会を活性化する意識改革」と題して、日本科学未来館の毛利衛館長が講演。2度の宇宙飛行体験を踏まえ、人類の生存の可能性を高めるためには、宗教や価値観の壁を越え、人間と人間とのつながりを強化すべく、科学技術に基づく客観的な視点や考え方を共有することが重要であることを説いた。

第2セッション「歴史の声を聞く―戦後60年の日本の歩みと今後の課題」では、東京大学先端科学技術研究センターの御厨貴教授が、憲法改正や国連安保理常任理事国入りなどはすべて歴史認識に深くかかわる問題であると述べた上で、これらについては既存の条文や制度などと実態とのずれが大きくなっていることから、現在は1世紀に1度あるかないかの改革のタイミングであることを強調した。

第3セッションでは「ものづくり進化論―グローバル競争の中で高まる日本の強み」と題して、東京大学教授ものづくり経営研究センター長の藤本隆宏氏が講演した。各国の製造業の競争力には、その国の歴史的背景が大きく影響した独自の戦略論があると述べ、日本の製造業の国際競争力は「すり合わせ型」の製品において高く、「組み合わせ型」の米国や中国とは異なると説いた。

第4セッション「国際貢献の現実―イラクで感じた日本への期待と課題」では、第1次イラク復興支援群長の番匠幸一郎氏が、イラク・サマーワで実施している自衛隊の人道復興支援活動や、市民との友好的な交流活動の様子を報告するとともに、支援部隊を統率するための要諦などを紹介した。

第5セッションは、佐々木毅・東京大学前総長が、「政党政治の明日―政治的現実を変えるために」と題して講演。政策本位の政治の実現のためには、政党の経営戦略と政策の実現をつなぐ政権公約、すなわちマニフェストを政党が決定・公表、それを国民が評価し、実際の行動に結び付けていく仕組みを強化する必要があると指摘した。

最後に行った非公開セッションでは、今年9月に公表予定の2005年政策評価や政治への協力のあり方について議論し、2日間の日程を終了した。

閉会後の夕食会には、小泉純一郎総理大臣が来賓として参加した。あいさつの中で小泉総理は、郵政民営化関連法案成立に向けての強い決意を表明した。

【社会本部】
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