表紙イメージ 経済Trend ロゴ2009年5月号

産業界による実効ある地球温暖化対策
−ポスト京都議定書を見据えて
今月の表紙: 原田正則 作 「やまぶき」 (ふれあいアートステーション・ぎふ提供)
障害を持つ方々の個性豊かで、印象深い絵画を厳選してご紹介しています。

巻頭言

経済のグローバルチェーン再構築を
宮原耕治 (日本経団連評議員会副議長/日本郵船会長)

特集
産業界による実効ある地球温暖化対策
−ポスト京都議定書を見据えて

年末に予定されているデンマーク・コペンハーゲンでの国連気候変動枠組条約第15回締約国会議(COP15)では、ポスト京都議定書の国際枠組が協議される。それに向けたわが国の中期目標はいかにあるべきか。また、排出削減のための革新的技術開発の必要性や課題、低炭素社会の実現に向けた産業界の役割について議論する。
座談会
三村明夫 (日本経団連副会長/新日本製鐵会長)
わが国の中期目標設定にあたっては、現在示されている案において、(1)削減目標、(2)具体的な手段、(3)支払うべきコスト、の3つをセットで検討し、具体的な検証をもとに選ぶことが肝要である。なお、京都議定書の反省も踏まえた公平性の観点から、1990年基準は参考値として考え、足元の基準年をベースにした対比で国際会議に臨むべきであろう。
坂根正弘 (日本経団連評議員会副議長・環境安全委員長/小松製作所会長)
地球規模で低炭素社会を実現していくためには、わが国における革新的な技術開発の推進に加え、各主要国の経済団体が技術の共同開発や普及に向け連携していくことが必要である。また、先進国と同様の削減目標を持つことが難しい新興国には、原単位目標やエネルギー効率目標での参加を求め、セクター別アプローチによる技術支援が重要な鍵となる。
茅 陽一 (地球環境産業技術研究機構副理事長)
世界のCO2の抜本的削減には、「省エネ」と「エネルギーのクリーン化」が欠かせず、そのための革新的技術とその普及が必須となる。中でも電力の低炭素化は、CO2を大幅に減らす原子力とその資源拡大のための核燃料サイクルをいかに確立していくかが重要課題である。日本の産業界が世界のトップランナーとしてそれら技術を開発し、世界に輸出していけるよう支援していきたい。
辰巳菊子 (日本消費生活アドバイザー・コンサルタント協会常任理事)
低炭素社会実現に向けて、生活者も今後は、環境に配慮された良い品を選び、購入するということが重要になる。企業には環境に優しいより良い商品の提供と、生活者が正しく選ぶことのできる、わかりやすい情報の発信を行って欲しい。また、カーボン・フットプリントのついた日用品の普及など、「CO2の見える化」に有効な取り組みが広がっていくことを期待したい。
椋田哲史 (司会:日本経団連常務理事)

●実効ある国際枠組の構築に向けて

●わが国の中期目標のあり方

●革新的技術開発の必要性、課題と対応

提言
実効ある地球温暖化対策の推進に向けて
〜ポスト京都議定書の国際枠組とわが国の中期目標に関する産業界の考え方
http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2009/015.html
鮫島章男 (日本経団連環境安全委員会共同委員長/太平洋セメント会長)
主要経済団体による気候変動に関するラウンドテーブルに参加して
桝本晃章 (東京電力顧問/日本経団連環境安全委員会アドバイザー)
【 主要国産業界の考え方 】
(米国)
気候変動への新しい国際的アプローチ
カレン・ハーバート (米国商工会議所 21世紀エネルギー研究所所長)
  • 新しいアプローチの考え方
  • ポスト京都議定書に不可欠な要素
  • 「共通だが差異ある責任」に沿った公約を
  • 守れる公約にすることが重要
(ドイツ)
2013年以降の気候変動政策
−すべての主要経済国の参加を
ハンス・ペーター・カイテル (ドイツ産業連盟会長)
  • 主要経済国は力を合わせて取り組むべき
  • 新興国、途上国への支援・協力も必要
(インド)
炭素抑制に取り組む世界の先駆け
インド産業界の展望
ジャムシェド・N・ゴドレイ (インド工業連盟元会長)
  • 低炭素経済国へ舵を切ったインド
  • 低炭素社会の実現に向けたインド企業の取り組み
  • 生産、消費、生活パターンに大規模な変化を
(韓国)
地球温暖化問題に対する韓国産業界の立場
趙 錫 来 (全国経済人聯合会(韓国)会長)
  • 共通だが差異のある責任
  • 意見が分かれる温室効果ガスの削減方式、削減義務
  • COP15で掘り下げて議論
  • 韓国も環境自主行動計画で40%削減を目指す
  • セクター別アプローチは各国の産業界が協力し合える有効な方法
  • 韓・日・中の緊密な協力関係を期待
セクター別アプローチの取り組みの意義と国際交渉に向けての提言
澤 昭裕 (21世紀政策研究所研究主幹)
中国の温暖化問題
〜日中省エネ・環境協力の展望と日中経済協会の取り組み
張 富士夫 (日中経済協会会長)
地球環境問題を巡る米国の動き
伊藤 元 (ジェトロ ニューヨーク所長)
最近の欧州における環境政策の動向
グウィン・プリンス (ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス教授)
省エネルギービジネスの普及による経済・環境問題への貢献
南 直哉 (世界省エネルギー等ビジネス推進協議会筆頭副会長)
【 わが国の中期目標のあり方 】
中期目標の不確実性、合意可能性と法的位置づけについて
杉山大志 (電力中央研究所上席研究員)
【 中期目標に対する考え方 】
(自動車)
自動車交通部門のCO2削減に対する日本自動車工業会の考え方
青木 哲 (日本自動車工業会会長)
  • 重要な意味合いを持つ自動車交通部門からのCO2削減
  • 減少基調にある運輸部門のCO2
  • 2020年度に向けた統合的な取り組みによる一層のCO2削減
  • 国際協調による自動車交通部門のCO2削減に向けて
(電機・電子)
中期目標に対するグリーンIT推進協議会の考え方
庄山悦彦 (グリーンIT推進協議会会長)
  • グリーンITとは
  • IT・エレクトロニクスの貢献
  • さらなる省エネを実現する技術開発に向けて
  • 国内外への普及・啓発
  • 中期目標策定への貢献
(住宅)
住宅の長寿命化の推進がCO2削減に貢献する
和田 勇 (住宅生産団体連合会会長)
  • 地球温暖化問題への対応
  • 住宅のライフサイクル
  • 各段階におけるCO2の削減
  • 住宅の長寿命化とCO2の削減
  • 中期目標に対する考え方
(オフィスビル)
オフィスビル分野における中期目標をめぐって
岡本圭司 (日本ビルヂング協会連合会常務理事)
  • 独自のガイドラインを制定
  • ガイドラインによる対策を推進
  • ビル単位でのCO2削減の可能性
  • 中期的なCO2排出総量の見通し
  • 業務部門の中期目標検討に当たって留意すべき事項
地球温暖化防止と原子力
〜情報は届いているか
浅田浄江 (ウイメンズ・エナジー・ネットワーク(WEN)代表/消費生活アドバイザー)
革新的技術開発による温暖化防止
石谷 久 (新エネルギー導入促進協議会代表理事)

提言
雇用安定・創出に向けた共同提言
http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2009/018.html
大橋洋治 (日本経団連副会長/全日本空輸会長)
  • 政労使一体となった雇用維持の促進
  • 雇用のセーフティネットの強化
  • 政労使一体となって雇用創出の取り組みを
今後の財政運営のあり方
http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2009/024/index.html
氏家純一 (日本経団連副会長・財政制度委員長/野村ホールディングス会長)
  • 今後の財政運営に当たっての基本的考え方
  • 今後の財政のフレームワーク
  • 歳出入改革のあり方
競争と協調のバランスがとれた知財政策を
〜「知的財産推進計画2009」の策定に向けての意見
http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2009/025/index.html
野間口 有 (日本経団連評議員会副議長・知的財産委員長/三菱電機取締役)
  • 企業経営と知財をめぐる環境の変化
  • プロイノベーション時代を見据えた知財制度の構築
  • コンテンツ産業の振興
首都直下地震にいかに備えるか
〜企業努力と行政・地域との連携強化に向けて
http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2009/021/index.html
數土文夫 (日本経団連防災に関する委員会共同委員長/JFEホールディングス社長)
木村惠司 (日本経団連防災に関する委員会共同委員長/三菱地所社長)
  • まずは自助努力による対策推進
  • 業種横断的な連携や地域の期待に応えた共助の推進
  • 公助による国家プロジェクトの推進と特別措置法の制定
  • 地震対策のレベルアップを目指して
日本経団連生物多様性宣言を策定
http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2009/026.html
大久保尚武 (日本経団連自然保護協議会会長/積水化学工業会長)
循環型社会の形成に向け、自主的取り組みの弛まぬ努力を
〜環境自主行動計画〔循環型社会形成編〕 2008年度フォローアップ調査結果
http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2009/022/index.html
吉川廣和 (日本経団連環境安全委員会廃棄物・リサイクル部会長/DOWAホールディングス会長)
経済危機下の社会貢献活動
〜第18回経団連ゲストハウス社会貢献フォーラムの報告
嶋田実名子 (日本経団連社会貢献推進委員会社会貢献担当者懇談会座長/花王CSR推進部長兼社会貢献部長)
欧州のイノベーション政策に関する調査報告
〜政治主導による総合的なイノベーション政策の推進を
http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2009/035.html
吉川誠一 (日本経団連産業技術委員会重点化戦略部会長代行/富士通研究所常務取締役)

● IT先進企業の経営革新〜活躍するCIOに聞く
ITによる業務改革とCIOの役割
櫻田謙悟 (損害保険ジャパン取締役常務執行役員)
● あの時、あの言葉
「君、それはなかなか難しいぞ」〜経済社会を見る眼
茂木賢三郎 (キッコーマン副会長)
● 経営者のひととき
ITとエコ
ライオネル・リム (米国サン・マイクロシステムズ社アジア・パシフィック プレジデント)
● エッセイ「時の調べ」
美しく青きドナウへの思い
熊本マリ (ピアニスト)
● 翔べ!世界へ―奨学生体験記
波瀾万丈 留学体験
豊島孝之 (九州工業大学大学院情報工学研究院/生命体工学研究科准教授)
● NEW FACE(新会員紹介)
キーウェアソリューションズ
ゼリア新薬工業

バックナンバー・定期購読のご案内


日本語のホームページへ