表紙イメージ 経済Trend ロゴ2009年11月号

IFRS導入に向けた日本の取り組み
今月の表紙: 打田マサコ 作 「秋の景色」 (ふれあいアートステーション・ぎふ提供)
障害を持つ方々の個性豊かで、印象深い絵画を厳選してご紹介しています。

巻頭言

義を明らかにして、利を計らず
大橋洋治 (日本経団連副会長/全日本空輸会長)

特集
IFRS導入に向けた日本の取り組み

IFRS(国際財務報告基準)は欧州域内の統一基準として導入されたことを皮切りに、いまや100カ国を超える国々で採用または採用が予定されている。IFRSのプレゼンスが高まるなか、わが国でも、金融庁が今年六月に公表した中間報告において、任意ではあるもののIFRSの適用を認めており、今後の動向に一層の注目が集まっている。IFRS導入はわが国にどのような影響を与えるのか。日本の取り組みと今後の対応、担う立場や役割について議論した。
座談会
萩原敏孝 (日本経団連経済法規委員会共同委員長/小松製作所相談役)
世界で急速に会計基準の統一が進むなか、日本も後れをとることなく、IFRS導入における日本のスタンスを明確に打ち出し、IASBに対する日本の影響力を高めていくことが重要だ。会計基準の設定においては日本の意見が反映されるよう、経済界としてもさまざまなレベルでの意見発信をしていきたい。
西川郁生 (企業会計基準委員会(ASBJ)委員長)
中間報告においてはコンバージェンスの継続、加速化が明記されており、ASBJとしては引き続きコンバージェンスの努力をしていきたい。日本は、IFRSが今後世界で受け入れられる基準となるよう、意見発信していくことが必要だ。将来アドプションに転換しても企業にはソフトランディングとなる。
山田辰巳 (国際会計基準審議会(IASB)理事)
中間報告でアドプションの方向性を示したことは、諸外国にインパクトを与え、高い評価を得ることとなった。IASBはいま、日本の意見を聞きたがっており、会計基準設定において日本がリードできるよい機会が来ている。日本の発言力を高めるうえでもIFRSに精通した人材の育成と日本からのIASB議長の輩出は重要な課題だ。
内藤純一 (金融庁総務企画局長)
IASB・IASCFのデュープロセス、ガバナンスのモニターのため、日米欧の規制当局がモニタリング・ボードを設置した。このなかで日本の役割は非常に大きい。過去の日本の経験に照らしても透明性は重要であり、経済や市場環境の大きな変化に耐え得る基準づくりに向けた努力が重要だ。
島崎憲明 (司会:日本経団連経済法規委員会企業会計部会長/住友商事特別顧問)
日本における会計の目的は、内部の業績評価などの管理会計が重視されてきたが、IFRSでは投資家に対するレポーティングが第一である。IFRS導入にあたっては、企業経営者に対し趣旨、考え方を理解していただくような活動が必要であろう。

●中間報告の重要性

●IFRS導入がわが国の経営に与える影響

●金融危機対応と会計基準

●IFRSの導入に向けた日本の取り組み

〈IFRSに関わる用語解説〉
IFRSの現状と展望
〜金融危機の嵐を乗り切るために
デイビッド・トウィーディー (国際会計基準審議会(IASB)議長)
会社法とIFRS
弥永真生 (筑波大学大学院ビジネス科学研究科教授)
法人税制とIFRS
品川芳宣 (早稲田大学大学院会計研究科教授)
IFRS適用に向けた東京証券取引所の対応
斉藤 惇 (東京証券取引所グループ社長)
オーストラリアにおけるIFRS導入について
ジェフリー・ルーシー (国際会計基準委員会財団(IASCF)評議員/オーストラリア財務報告評議会(FRC)議長)
証券アナリストとIFRS
萩原清人 (日本証券アナリスト協会専務理事)
IFRS導入における監査の対応と人材育成
増田宏一 (日本公認会計士協会会長)

〈提言〉
平成22年度税制改正に関する提言
http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2009/079/index.html
渡辺捷昭 (日本経団連副会長・税制委員長/トヨタ自動車副会長)
安心して子どもを生み育てることのできる社会の実現に向けて
〜子育てに優しい社会づくりに向けた国民運動への協力
斎藤勝利 (日本経団連少子化対策委員会共同委員長/第一生命保険社長)
前田新造 (日本経団連少子化対策委員会共同委員長/資生堂社長)
日本・メキシコ経済連携協定の再協議に関する要望について
http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2009/068.html
小枝 至 (日本経団連日本メキシコ経済委員長/日産自動車相談役名誉会長)
「CSR(企業の社会的責任)に関するアンケート調査結果」について
http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2009/075/index.html
鍛治舍 巧 (日本経団連企業行動委員会社会的責任経営部会長/パナソニック常務役員)
〈調査〉
2009年人事・労務に関するトップ・マネジメント調査結果
http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2009/076.pdf
日本経団連労働政策本部

● 経営者のひととき
孫にひかれて
小田切康幸 (住友大阪セメント相談役)
● あの時、あの言葉
君は志を持っているか?
上原 明 (大正製薬会長兼社長)
● エッセイ「時の調べ」
「癌」という言葉
山口仲美 (明治大学教授(日本語研究))
● 翔べ!世界へ―奨学生体験記
ペルー留学の日々
大串和雄 (東京大学法学部教授)
● NEW FACE(新会員紹介)
日医工
はくばく

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