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わが国の高コスト構造の是正
−新たな経済システムの構築を目指して−

2.日本型経済システムと戦後の経済成長


安定的な労使慣行、企業の長期契約重視やわが国独自の商慣行の存在、政府と企業との緊密な関係などに代表される日本型経済システムは、戦後の飛躍的な経済成長を実現し、一人当りの国民所得を世界有数の水準に引き上げたという意味では、その役割は高く評価される。とりわけ、企業による雇用の維持・安定は、労働者のモラルの維持を通じて企業の成長に大きく貢献するとともに、安定的な雇用と所得の増加により大型消費を支えてきた。

日本型経済システムとは、市場の判断を前提にしながらも有限の資源を戦略的・重点的に活用して最大限の成長を図りながら、機会の均等よりは分配の平等と社会の一体化や安定性を重視する仕組みであった。それは我が国が戦後の荒廃から立ち直り、「追い付け追い越せ」型の経済政策をとる限り、極めて効率的な仕組みであり、行政による指導や調整が効果を発揮した時代でもあった。

しかし、このような仕組みのもとでは、民間は行政依存の体質を継続させるため自己改革が遅れ、官も政策のサンセットが遅れてしまう結果、経済の成熟化、少子・高齢化、グローバル・コンペティションの進行といった時代の変化に対応できなくなっている。


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