[ 目次 | 概要 || はじめに | I.考え方 | II.視点 | III.課題 < 1.環境整備 | 2.公的分野 | 3.リテラシー > ]

情報化の推進に関する提言
−構造改革のツールとして−

II. 情報化行政に関する5つの視点


  1. 民間による創意工夫の発揮
  2. 技術革新の成果のタイムリーな活用
  3. 透明で簡素・効率的な行政の確立
  4. 広く国民、企業が安心して利用可能な条件の整備
  5. 国際的整合性の確保

今後、政府が産業情報化の環境整備ならびに公的分野の情報化をはじめ、情報化推進策を講ずるに当たっては、つぎの5つの視点を踏まえる必要がある。

  1. 民間による創意工夫の発揮
  2. 情報化推進に当たっては、多角的な取組みを認める観点から、民間による創意工夫の発揮を促す必要がある。規制は極力導入せず、民間の主体的・自律的な取組みに委ねるべきである。また、民間による多様な実証実験等を行ないやすい枠組み・環境づくりを推進する必要がある。

  3. 技術革新の成果のタイムリーな活用
  4. 情報通信関連分野は、技術革新が急速であり、しかも具体的にどの技術・システムが普及するかは事前に予想することが困難である。したがって、情報化に対応した制度やルールづくりに当たっては、技術革新の成果を柔軟に反映できるよう、最低限必要不可欠なものに限るとともに、機動的な見直しが可能な仕組みにすべきである。また、問題が発生した場合にも、新たな規制を導入する前に技術革新による解決を目指すことが望まれる。

  5. 透明で簡素・効率的な行政の確立
  6. 情報化の成果が国民・企業の目によく見えるよう、情報化の実施スケジュール、情報化による投資効果を明示することが求められる。また、産業の情報化に関する施策については、原則として競争原理の最大限の活用を前提とし、行政による事前的調整ではなく、事後の紛争解決や事後的なチェックを行なうべきである。さらに情報化に関する規定、方針等の決定に当たっては、原案を広く公表し、国民・企業が意見表明・議論する機会を設けるべきである。

  7. 広く国民、企業が安心して利用可能な条件の整備
  8. 広く国民、企業が情報化のメリットを享受できるよう、利用者の視点に立って情報化に関する制度・ルールづくりを目指すとともに、情報リテラシーの向上、機器・システム等の相互運用性の確保、中小企業等における人材育成を含むソフト面の支援などを図る必要がある。また、国民、企業が安心して情報通信ネットワークを活用できるよう、消費者への自己責任原則の啓蒙と並んで、消費者保護、プライバシー保護、セキュリティ対策等に努めなければならない。

  9. 国際的整合性の確保
  10. 情報化に関するわが国の制度・ルールが国際的に調和のとれたものであり、技術・システムの面でも国際的な相互運用性が確保されたものでなければならない。
    国内制度・ルールの整備に際しては、情報化が進んでいる国々の動向を注視するとともに、制度・施策の透明性の確保や自己責任原則の徹底を前提として検討を進める必要がある。また、国際標準化に積極的に取り組む必要がある。国際標準をいち早く取り入れ、それをもとに付加価値の高い商品・サービスを提供することも、ユーザーの利便性向上を図る上で有効である。


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