(1998年10月)
「経団連インフォメーション」の記事より
経団連では、10月12日に緊急経済対策要望を取りまとめ、今井会長から小渕首相に手渡したが、さらに対策の具体化を求めるべく、重点的に投資すべき事業等を分野別に取りまとめ、30日に再度、今井会長から小渕首相に申し入れることとした。
今回の要望「緊急経済対策の具体化に向けて−21世紀への架け橋プロジェクトの推進」では、公共投資の基本方針として、
経団連では、10月20日に「証券等健全化機構(仮称)の創設について」をとりまとめ公表した。
持合の解消進展による市場への悪影響を回避するため、すでに8月5日に「持合株式の交換制度に関する提言」を公表しているが、自己資本が過少な一部の金融機関等、現時点で自己株式消却が困難なケースにどのように対応するかが課題となっていた。そこで、機構を通じて消却時期等の弾力化が図れるよう改めて要望した。
機構は5年程度の時限的な公的機関とし、機構に対する持合株式の譲渡と自己株買付に係る債権債務を相殺することで現金の授受は行なわないこととしている。
また、税制、商法、会計上の所要の措置を求めている。あわせて、持合解消の受け皿として、受託機関が希望した場合には、企業年金基金に対し株式で掛金を拠出することを容認し、拠出時の譲渡益課税を軽減するよう求めている。
21世紀政策研究所では、深刻な危機に直面するわが国経済の再生を目指し、
規制緩和については、本年3月に終了した旧規制緩和推進3か年計画に続き、本年4月より、新たな規制緩和推進3か年計画が実施されている。経団連では、来年3月に予定される3か年計画の第一回改定において、同計画の大幅拡充を求める立場から、去る7月に全会員企業・団体を対象にアンケート調査を行ったが、その結果264社・団体から1800件余りの具体的要望が寄せられた。
経団連では関係各委員会の協力を得て、これら要望を精査してきたが、今月9日に開催した行政改革推進委員会において「経済再生に向け規制緩和の推進と透明な行政運営体制の確立を求める」と題する要望案をとりまとめた。
この規制緩和要望は、
経団連では、昨年来の通貨・金融危機により経済の低迷が続いているアジア諸国の実情を把握し、今後の協力のあり方を探るため、今井会長を団長とする第1次アジア・ミッションを10月1日〜8日にかけてベトナム、タイ、フィリピンに派遣した。各国では政府首脳をはじめ経済担当閣僚や民間経済界等と意見交換を行ない、経団連側から日本経済の現状と景気回復の見通しについて説明するとともに、日本政府や経済界に対する要望を聞いた(詳細は、「経団連くりっぷ」10月22日号を参照)。
帰国後の10月14日、今井会長は小渕総理を訪問し、同ミッションの成果を踏まえ、以下の点を提言した。
わが国経済の再生を最重要課題に掲げる小渕内閣は、「経済戦略会議」を発足させた。同会議では、年末ないし年度末を目処に答申をまとめる予定であるが、経団連としても、経済界の要望をこの答申に反映させるべく、提言のとりまとめを行なう予定である。
本提言では、経済再生と豊かで活力ある経済社会構築のための基本理念として、
昨年12月、COP3で温室効果ガス削減目標が採択されたことにより、エネルギーをめぐっては、経済活力の維持、エネルギーセキュリテーの確保、地球温暖化問題への対応といった、必ずしも整合性の取れない三つの課題に直面している。
こうした情勢の変化を踏まえ、経団連資源・エネルギー対策委員会(委員長:篠崎昭彦住友金属鉱山相談役)では、あくまで経済活力を維持しつつ、それぞれの課題のバランスのとれた解決を図ることが重要であるとした報告書をまとめた。その中で、中長期的には、社会そのものを省エネルギー型社会に変革してくことが必要であるが、地球温暖化問題は、対応如何によっては経済・社会に大きな影響を及ぼすことが懸念されることから、
コンピュータ西暦2000年問題については、かねてより、わが国企業の多くは、自らの事業に係わりの深い問題として受け止め、計画的に取り組んでいるが、さる9月28日、クリントン米国大統領の特使として緊急来日されたコスキネン大統領補佐官(大統領「2000年問題諮問委員会」議長)との懇談会を開催し、本問題に関する今後の取り組みのあり方について、説明を伺うとともに種々懇談した。当日、コスキネン補佐官は、日米両国が、この問題の社会的な広がりの大きさや国際性を認識し、密接な情報交換を行なうとともに、これまでに積み重ねたノウハウを活かして共同して2000年問題に対応することの重要性を強調した。経団連では、今後も、2000年に向けて念入りな対応を図るよう、関係方面に呼びかけていく予定である。
現在、政府の高度情報通信社会推進本部(本部長:小渕総理)では、11月上旬を目途に「高度情報通信社会推進に向けた基本方針」(1995年2月策定)の改訂作業を行なっているが、経団連では、これまで同本部有識者会議等を通じて、