[目次] [はじめに] [第1部] [第2部] [1章] [2章] [3章] [4章] [5章] [6章] [Action21] [おわりに] [参考]

魅力ある日本

第2部 我々が目指す日本の未来
【各論:望ましい姿ならびに改革すべき課題と提言】

第3章
世界の平和と繁栄に積極的な役割を果たす


《国際情勢の展開と望ましいわが国の外交・国際交流の姿》


  1. 小規模かつ限定的な地域紛争、南北問題等を抱えつつも、欧米諸国をはじめとする主要国の協力、協調による世界秩序が維持されており、その中でわが国も世界の平和と繁栄に、経済大国としての責任を果たしている。

  2. 企業、経済団体、市民(NGO)、地方自治体等による民間外交・国際交流が飛躍的に拡大し、政府は、これをバックアップする役割を担っている。

  3. 経済交流、経済・技術援助を含む多様な手段を通じて、外交活動を活発に展開し、自国の安全保障と国際社会の安定を確保するため、能動的な役割を果たしている。日米安全保障体制のもとでシビリアン・コントロール、専守防衛、非核三原則の基本を維持している。日本は国連平和維持活動について、各国と協力しつつ重要な役割を果たしている。

  4. 貿易・投資の原則自由化を達成し、APECの先導役となっている。また新ラウンドの推進をはじめとして、WTO体制において積極的な役割を担っている。

  5. 世界の援助政策を先導する国として、政府、経済界、NGOが連携して資金、技術、人材の面において、開発途上国ならびに国際機関に対する協力が拡充している。

  6. 東京金融資本市場のインフラ整備ならびにアジア諸国からの製品輸入の拡大等を通じ、アジアを中心とする円通貨圏が形成され、ドル通貨圏、欧州統一通貨圏とともに、国際通貨体制を支えている。各通貨圏では、通貨価値安定のための政策が維持され、為替相場は安定している。

  7. 環境保全大国として、国内においては循環型経済を構築すると共に、エネルギー・環境をはじめとして地球規模の問題の解決に大きく貢献している。

《望ましい姿を実現するための改革すべき課題と提言》

  1. 外交力の強化
  2. これまでの受動的外交から、国際的責務を積極的に担う能動的外交を展開する。そのためには、首脳外交の活発化、外交教育の充実、国際社会で活躍できる人材の計画的な育成、NGOの支援、民間外交の推進の強化、国際文化交流の拡充を図っていく。

  3. 安全保障政策の充実
  4. わが国は、外交、経済交流、経済・技術援助、文化交流を含む多様な手段により、日本と世界の安定のために重要な役割を果していく必要がある。そのためには、包括的な安全保障政策の策定、実行が不可欠である。その際、わが国は、専守防衛に徹し、文民統制と非核三原則を堅持しつつ、質的に高度で、柔軟性のある防衛力を保持しなければならない。その上で、日米安全保障体制をわが国の安全保障政策の基軸として位置づけ、アジア太平洋を含む世界の安定のための『平和のための同盟』として発展させていく。
    さらに、国連の平和維持活動等においても、主要国と協力しつつ、わが国の役割を拡大していく。

  5. 自由貿易体制の強化
  6. 自由貿易体制の維持、強化は、わが国の豊かな国民生活を実現するための最重要課題の一つである。わが国はWTOの運営に積極的に関与し、新たな国際秩序の構築の主体として活動するとともに、財政支援、人的貢献を積極的に進める。
    特に、APEC地域の自由化の先導役となるべく、わが国は、1995年11月の大阪行動指針に沿って、原則自由・例外規制の方針に基づく規制緩和を断行し、率先してボゴール宣言を完全実施していく。また、工業製品を早期に関税ゼロとする。

  7. 経済協力の拡充
  8. わが国は、リーディング・ドナー(世界の援助政策を先導する国)に相応しい21世紀を展望した経済協力ビジョンをより明確にし、経済協力を外交政策の重要な柱として位置づけるとともに、国民の理解を得ることが必要である。また、硬直化・固定化したODA(政府開発援助)のあり方を抜本的に見直し、企業、NGO等との連携により、実効の上がる、顔の見える経済協力の実施体制へ改善・強化すべきである。
    企業としても、投資、インフラ整備、技術移転、公害防止技術・ノウハウの供与等を通じて、開発途上国の持続可能な経済発展ならびに地球環境保全に寄与する。

  9. 円の国際化の推進
  10. 製品輸入の拡大、円相場の安定化ならびに東京金融資本市場における規制緩和や短期国債市場の育成、税制の見直しなどを通じて、国際取引ならびに資産保有における円の利用を活発化させ、国際通貨体制を安定させるとともに、アジア・太平洋地域をはじめ、世界経済の発展に貢献する。

  11. 地球規模の問題の解決への貢献
  12. 人口、食料、エネルギー、環境等の地球規模の問題解決に「環境安全保障」という観点から積極的に取り組む。そのため、国内においては経済発展と環境保全の両立に努めると共に、アジアを始めとする開発途上国のエネルギー問題や環境問題の解決に協力する。企業としても、製品のリサイクル、廃棄物対策、ISO環境管理・監査の導入に一層の努力を傾注する。


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