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第9回経済運営と経済情勢に
関するアンケート調査結果

2003年9月3日
(社)日本経済団体連合会

I.調査の概要

日本経団連経済政策委員会(委員長:千速 晃 日本経団連副会長・新日本製鐵会長、共同委員長:井口 武雄 三井住友海上火災保険会長・CEO)では、下記により「第9回経済運営と経済情勢に関するアンケート調査」を実施した。

1.調査対象

日本経団連常任理事(団体会員を除く)および会長・副会長。合計230名

2.調査期間

2003年8月12日〜8月27日

3.回答率

59%(230名中136名)

(参考)過去の調査実施状況

第1回調査
調査期間1999年8月27日〜9月9日
調査対象経団連常任理事(会長・副会長、団体会員を除く)
回 答 率58%
第2回調査
調査期間2000年1月11日〜1月27日
調査対象経団連常任理事(会長・副会長、団体会員を除く)
回 答 率64%
第3回調査
調査期間2000年6月12日〜6月22日
調査対象経団連常任理事(会長・副会長、団体会員を除く)
回 答 率59%
第4回調査
調査期間2000年12月4日〜12月20日
調査対象経団連常任理事(団体会員を除く)および会長・副会長
回 答 率58%
第5回調査
調査期間2001年8月2日〜8月27日
調査対象経団連常任理事(団体会員を除く)および会長・副会長
回 答 率61%
第6回調査
調査期間2002年1月7日〜1月28日
調査対象経団連常任理事(団体会員を除く)および会長・副会長
回 答 率63%
第7回調査
調査期間2002年7月24日〜8月23日
調査対象日本経団連常任理事(団体会員を除く)および会長・副会長
回 答 率61%
第8回調査
調査期間2002年12月17日〜2003年1月24日
調査対象日本経団連常任理事(団体会員を除く)および会長・副会長
回 答 率62%

なお、第1回、第2回調査は試行調査であり、調査結果については基本的に公表していない。

II.調査結果

1.日本の実質成長率の見通し

実質成長率の見通しは、2003年度が平均で「プラス1.2%」と、前回調査(本年1月)に比べて大幅に上方修正された。2004年度についても平均で「プラス1.1%」が見通されている。〔回答総数135〕

日本の実質成長率

2.日本の株価の見通し

2003年9月末における日経平均株価の見通しは、平均で約10,200円となった。2003年度中については、それぞれ平均で、最高値が約11,500円、最安値が約7,600円(※2003年4月28日の株価水準)、年度末値(2004年3月末値)が約10,800円となった。〔回答総数131〕

日本の株価(日経平均)

3.日本の長期金利の見通し

2003年9月末における10年物国債利回りの見通しは、平均で約1.2%となった。2003年度中については、それぞれ平均で、最高値が約1.5%、最低値が約0.4%(※2003年6月12日の金利水準)、年度末値(2004年3月末値)が約1.3%となった。〔回答総数129〕

日本の長期金利(10年物国債利回り)

4.対ドル円レートの見通し

2003年9月末における対ドル円レートの見通しは、平均で約119円となった。2003年度中については、それぞれ平均で、最高値が約114円、最安値が約127円、年度末値(2004年3月末値)が約119円となった。〔回答総数132〕

対ドル円レート

5.米国の実質成長率の見通し

2003年ならびに2004年(いずれも暦年)における米国の実質成長率の見通しは、それぞれ平均で「プラス2.3%」「プラス2.9%」となった。〔回答総数129〕

米国の実質成長率

6.米国の株価の見通し

2003年(暦年)中における株価(NYダウ)の見通しは、それぞれ平均で、最高値が約10,200ドル、最安値が約7,500ドル(※2003年3月11日の株価水準)、年末値(2003年12月末値)が約9,700ドルとなった。〔回答総数125〕

米国の株価(NYダウ)

7.個社の株価対応

自社の株価については「経営実態に比較して安すぎる」との回答が、全体の75%弱に達した。「適切な水準である」との回答は25%強、「経営実態に比較して高すぎる」との回答は皆無だった。〔回答総数128〕

自社の株価について

また、「経営実態を適切に反映した株価を維持・実現するために実施している(または実施を予定している)取り組み」としては、「企業情報の適時適切な開示」「ROE重視など株主本位の経営」「安定配当・増復配」を挙げる回答が多かった。〔回答総数410(複数回答)〕

経営実態を適切に反映した株価を維持・実現するための取り組み
○「その他」の主な意見
  • IR活動の積極化
  • ブランドを意識した経営
  • 新しい株主(年金など)の確保
  • 財務体質の健全化
  • キャッシュフローの重視
  • 安定した収益確保
  • 着実な業務改善

8.補正予算編成

2003年度後半の経済情勢を見通した上での、景気対策としての補正予算編成(減税を含む)については、「財政健全化に大きな支障をもたらさない範囲で、編成することはやむを得ない」との回答が、全体の60%強を占めた。加えて、「編成すべきではない」との回答も20%弱に達し、合計80%以上が財政健全化を重視する回答となった。〔回答総数136〕

補正予算編成の必要性
○「その他」の意見
  • 構造改革に軸足を置きながら、経済対策にも配慮すべき
  • 構造改革に資する補正予算であれば柔軟に編成すべき
  • 中味次第

9.金融政策運営

金融政策運営のあり方については、「現状の金融緩和策で十分である」との回答が、全体の60%強を占めた。〔回答総数136〕

金融政策運営のあり方

また、上記設問において「金融緩和をさらに強化すべき」もしくは「インフレターゲットを設けて、金融緩和をさらに推進すべき」とした回答者のみを対象に、「金融緩和をさらに強化するための政策手段」を尋ねたところ、「長期国債の買い入れ額の増加」「クレジット市場の育成」「ETF、株式など有価証券の買い入れ」「金融仲介機能の活性化」などが挙げられた。〔回答総数131(複数回答)〕

金融緩和をさらに強化するための政策手段
○「その他」の意見
  • 資産を担保として、消費者が低利で資金調達ができる仕組みを検討すべき
  • 不良債権処理による金融仲介機能の回復が必要
  • 中小企業へ資金が円滑に流れる仕組みが必要

10.構造改革−「前進が見られる課題」と「重点的に推進すべき課題」−

経済関連分野の構造改革のうち、すでに前進が見られる課題としては、「金融再生、不良債権処理」「規制改革、構造改革特区」を挙げる回答が多かった。一方、今後重点的に推進すべき課題としては、「デフレの克服」「社会保障制度改革」「税制改革」が多く挙げられた。〔回答総数:「前進が見られる課題」283、「重点的に推進すべき課題」374(それぞれ3つ以内の複数回答)〕

構造改革−「前進が見られる課題」と「重点的に推進すべき課題」−
○「その他」の主な意見
「すでに前進が見られる課題」
  • 対日直接投資の促進
「今後重点的に推進すべき課題」
  • 少子・高齢化対策
  • 全ての課題が重要

11.構造改革の進展状況

現在進められている構造改革の全般的な進展状況については、「さらに加速すべき」との回答が半数以上に達した。「現在程度のスピードで着実に実行すべき」との回答を含めれば、全体の90%弱が構造改革路線を支持している。〔回答総数135〕

構造改革の進展状況
○「その他」の主な意見
  • 道路公団、郵政事業改革など、従来は政策課題に挙げることが困難だった問題にメスが入った点や、個別規制の改善が図られている点は評価できるが、経済活動のスピードに比べて時間がかかりすぎている。また、個別問題への対応だけでなく、例えば参入規制の見直しなど、より大胆に分野横断的な視点から改革を進めることが重要
  • デフレ対策の推進に注力すべき
  • 潜在的な民需を掘り起こすような改革(税制改革・規制改革など)にウェートを置いて加速すべき。
  • 経済情勢に十分配慮しつつ、できることは大胆に推進すべき

以上


第9回経済運営と経済情勢に関するアンケート調査結果(PDF版)


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