1. トップ
  2. Policy(提言・報告書)
  3. 都市住宅、地域活性化、観光
  4. 未来都市モデルプロジェクト中間報告

Policy(提言・報告書) 都市住宅、地域活性化、観光 未来都市モデルプロジェクト中間報告

2010年9月13日
(社)日本経済団体連合会
都市・地域政策委員会

1.はじめに

わが国は世界に冠たる技術立国の地位を築き上げることにより、高度成長を果たし、豊かな国民生活を実現してきた。今後も中長期にわたって成長を遂げるためには、環境をはじめわが国が世界に強みを発揮できる分野において、技術開発・イノベーションに一層磨きをかけるとともに、その成果をいち早く国内外の市場に投入し、熾烈な世界競争に打ち勝っていく必要がある。

政府は、本年6月に公表した「新成長戦略」において、わが国産業の競争力強化から環境・エネルギー、観光・地域活性化、雇用創出に至るまで、わが国が抱える課題の解決に向けた取組み方針を示した。その内容は高く評価できるものであり、新成長戦略に盛り込まれた施策が早期に実行に移されることを強く望む。経済界としても今後、持続的に力強い経済成長を遂げるため、民間主導による自立型の成長モデルを描き、実践していく。

そこで経団連では、都市を舞台に企業が組織や業種や産業といった従来の枠組みを超えて結集し、住民、行政その他の主体と連携して、環境・エネルギー、ICT、医療、交通といった今後の成長分野の革新的な技術開発や実用化に取り組む「未来都市モデルプロジェクト」を立ち上げることとした。

本中間報告は、今後のプロジェクトの具体化を目指し、経団連都市・地域政策委員会において検討した結果を中間的に取りまとめたものである。

2.未来都市モデルプロジェクトの目的

(1) 社会的課題の解決

わが国は現在、地球環境問題、資源・エネルギー制約、人口減少・少子高齢化、安全・安心、財政制約、地域活性化、社会インフラの老朽化など、数多くの課題を抱えている。
新興国を含め、世界の国々が早晩同様の課題に直面することが予想される。わが国が世界に先駆けてこうした課題の解決に挑み、その課題解決モデルを世界に展開できれば、わが国が抱える課題を解決すると同時に、国際社会に貢献することもできる。
本プロジェクトは、最先端の技術、製品、サービスなどを結集し、これらの課題解決に挑むものである。

(2) 誰もが住みたいと思う都市空間の創造

都市は人々にとって長く住み続ける生活や仕事の拠点であり、都市の主役は住民である。未来都市構築にあたっても、技術などのシーズ先行ではなく、まず人々のニーズを踏まえた目指すべき都市像を描かなければならない。その上で、それをかなえる都市機能を構築していく必要がある。
本プロジェクトは、住民側は快適で豊かな職住環境の享受や生活の質の向上など、企業側は革新的な技術、システムの実証、将来的な市場拡大による投資の回収など、双方がWin-Winとなる関係の構築を目指す。本プロジェクトの実施にあたっては、住民の意向も踏まえつつ、十分な連携、協力を行う。

(3) 総合力の発揮による産業競争力の強化

世界では技術やサービスのキャッチアップのスピードが高まるなか、個別の技術、製品単体だけでは、国際競争力を維持、確保することが難しくなっている。今後は、異分野、異業種という垣根を取り払った、高度な技術やサービスを組み合わせたシステムとしての総合力で勝負する必要がある。
本プロジェクトは、民間企業各社が自らの発意により、各々が有する先端技術、ノウハウを持ち寄り、パッケージとしての成長産業の創出を目指す。海外からヒト、モノ、カネ、情報を積極的に取り込むことも不可欠である。本プロジェクトでは、内外から優れた技術、人材、研究開発機能、企業を積極的に呼び込んでいく。

(4) 国内・海外への展開を通じた成長

本プロジェクトの成果は、実施区域に留まらない。成果が示されたノウハウ、技術、サービス、システムについては、広く国内の各地域、さらには海外市場への展開を目指す。
それにより、内需や成長著しい新興国を中心とする外需を取り込み、本プロジェクトを糧に、環境、医療、交通などをわが国の新たな成長産業として発展させることもできる。

3.未来都市モデルプロジェクトの枠組み

(1) 対象地域

本プロジェクトは、既存の都市において、当該都市の意向を踏まえ、既にあるインフラ等も活用しつつ実施する。インフラ整備や事業展開のしやすさ、地域活性化への貢献などの観点から、とりあえず人口20〜30万人程度の区域を念頭に置く。ただし、実証実験の内容や地域特性等も踏まえ、柔軟に検討する。経済活動や社会活動は既存の行政区域を越えて広域化していることから、対象とする区域については、行政区域をまたぐ場合も想定される。

(2) 未来都市モデルプロジェクトが備える機能

本プロジェクトに投入する機能としては、(1)低炭素・環境共生、(2)先進医療・介護、(3)次世代交通・物流システム、(4)先端研究開発、(5)次世代電子行政・電子社会、(6)国際観光拠点、(7)先進農業、(8)子育て支援・先進教育などが考えられる。
こうした機能全てを一つの区域で満たすことは現実的には難しい。対象となる区域については全国各地から複数選定することとし、各区域において、次章に掲げるメニューのなかから採用可能な複数のメニューを統合して実施する。

(3) 民間主導によるプロジェクトの実施、公的な支援措置の活用

本プロジェクトは民間主導のプロジェクトである。参加企業が自ら有する最先端のアイデア、技術、製品等を積極的に投入し、将来のビジネス展開によってその投資を回収する。したがって、企業が自らの力で取組むことができる部分については、政府等の支援を受けずに実施する。ただし、企業のみでは取組めない部分は、医療機関、教育機関などの実際の取組み機関との連携や協力を行う。
また、現行制度の下では運営や十分な成果の創出が難しい部分については、政府や地方自治体の支援を得ることとする。具体的には政府の環境未来都市構想や総合特区制度を念頭に置きつつ、当該エリアに限定した規制改革、予算、税制、金融などの政策支援や省庁間の連携を求める。また、社会資本整備など公共事業、サービスについては基本的には公共の役割とする。ただし、上下水道事業をはじめ、民間企業においてよりよいサービスが提供可能なものについては、民間開放を求め、PPP(Public-Private Partnership)、PFI(Private Finance Initiative)等の官民連携手法も活用しつつ、民間活力を活かしたビジネスモデルの構築を目指す。
また、限られた資源を有効に活用するため、適宜、既存の政府、民間、官民連携によるプロジェクトとの連携、協力を図る。

4.未来都市モデルプロジェクトの機能と政策課題

本プロジェクトにおいては、以下の取組内容のなかから必要なものを組み合わせて実証する。その際、必要となる施策も以下に例示する。

(1) 低炭素・環境共生

わが国が世界に誇る環境・エネルギー技術を活かして、低炭素型、循環型、自然共生型など環境負荷の少ない都市モデルを構築する。スマートグリッドやスマートコミュニティなど先進的な環境技術の開発、実証を行う場としてグリーン・イノベーションを創出し、国内外に展開する拠点となる。

取組内容規制・制度の特例措置、支援措置の例
○先進的な省エネ技術の導入
  • スマートグリッドの構築(スマートメーターの導入、エネルギーマネジメントシステムの開発整備など)
  • HEMS(Home Energy Management System)、BEMS(Building Energy Management System)の導入(ZEH(Net Zero Energy House)、ZEB(Net Zero Energy Building)の実現など)
  • 次世代自動車(EV(Electric Vehicle)、PHV(Plug-in Hybrid Vehicle)、燃料電池車、CNG(Compressed Natural Gas)自動車など)の導入及びインフラ設備の整備
  • 再生可能エネルギー(太陽光、風力、太陽熱、空気熱、地中熱など)やバイオマスエネルギー、未利用エネルギー(下水熱、河川熱など)の活用
  • 蓄電技術の開発、活用(自動車の電力インフラとしての活用など)
<規制の特例>
  • HEMS普及のための建ぺい率、容積率の緩和
  • 燃料電池に係る各種規制の緩和(高圧ガス保安法、消防法、建築基準法、ガス事業法、道路運送車両法など)
<予算>
  • 技術開発、実証への支援(スマートグリッド、次世代自動車、蓄電池、水素製造、各種省エネ機器・材料など)
  • HEMS、BEMS、次世代自動車(EV、PHVなど)、エコ住宅、再生可能エネルギー、高効率給湯器、燃料電池、蓄電池、インフラ設備等の導入・普及拡大に対する支援
  • スマートグリッド、エネルギーマネジメントシステム、次世代自動車、高効率給湯器、燃料電池等の国際標準化への支援
<税制>
  • 研究開発支援税制の拡充(省エネ・省資源研究開発支援など)
  • 省エネシステムに対する法人税減税、IT投資減税
  • 次世代自動車の購入・リースに関する減税
○その他
  • 都市内の資源循環技術・システムの構築(水循環、排熱・排ガスの活用など各種資源の3R(Reduce、Reuse、Recycle)の徹底など)
  • 官民連携による上下水道事業の運営
  • 水辺や緑を確保した潤いのある都市空間づくり
<規制の特例>
  • 水事業の民間開放(PPP、PFI手法の活用など)

(2) 先進医療・介護

利用者のニーズに応じた質の高い医療・介護サービスを効率的に提供する体制を整備し、子供から高齢者まで安心して暮らせる環境を提供する。さらに、国内外から患者、高度な医療機関、医療関係者を引きつけ、世界最先端の医療拠点として、世界に先駆けて医薬品、医療サービスの開発、実証、提供を行う。

取組内容規制・制度の特例措置、支援措置の例
○医療のICT化の推進
  • ICT(Information and Communication Technology)を利用した診療データの蓄積・分析
  • 医療機関間のネットワーク化と診療データの相互利用
  • レセプトのオンライン化
<規制の特例>
  • 診療データの二次利用の緩和(個人情報保護法など)
<予算>
  • 医療のICT化に対する助成(ネットワーク構築、電子カルテの普及など)
○高度医療の実現
  • 再生医療・細胞治療
  • 遠隔医療
  • 放射線治療の高度化(放射線治療装置の開発、導入)
  • 革新的な医薬品(バイオ医薬品、オーダーメイド製薬など)の研究開発・実用化
  • 医療機器(医療ロボットなど)、リハビリテーション技術の研究開発・実用化
  • 海外の医療機関・研究機関の誘致、外国人医師・看護士の活用
  • 高齢者等の病気予防やヘルスケアの研究開発と実践
<規制の特例>
  • 株式会社の診療領域の拡大
  • 混合診療の解禁
  • 再生医療・細胞医療に係る規制緩和
  • 遠隔医療の規制緩和(診療対象の拡大、初診の解禁など)
  • 安全機能基準の明確化
  • 医薬品・医療機器の治験・承認審査の迅速化
  • 外国人医師・研究者(家事使用人も含む)・看護師の入国、滞在、就労に関する規制の緩和
<予算>
  • 革新的な医薬品・医療材料の研究開発、提供に対する補助(治験・臨床研究環境の整備等)
  • 遠隔医療の設備投資への補助
  • 放射線治療装置導入に対する助成
  • 医薬系ベンチャー企業への助成
<税制>
  • 進出企業(研究開発部門等)の法人税等の減税
  • 医師や研究者の所得税減税
○医療ツーリズムの推進
  • 海外から患者を誘致する医療ツーリズムの推進
  • 海外への情報発信、医療ツーリズム商品の販売
<規制の特例>
  • 外国人患者・家族の入国・滞在に関する規制の緩和
  • 海外の健康保険制度の適用
<その他>
  • JCI(Joint Commission International)認証の取得促進
○介護サービスの高度化、介護環境の整備
  • 生活支援・介護機器・システム(介護ロボット、遠隔介護など)の開発、実用化
  • 都市施設・住宅などのバリアフリー化、高齢者向け住宅・福祉施設の整備
  • 高齢者が積極的に社会参画できるような環境整備
<規制の特例>
  • 外国人介護福祉士の入国、滞在、就労に関する規制の緩和
<予算>
  • 高齢者施設に対する補助(公的融資等)
  • 先進的な生活支援・介護機器(介護ロボットなど)導入への助成
<税制>
  • 税制優遇の拡大(高齢者専用賃貸住宅など)

(3) 次世代交通・物流システム

車、鉄道、バスなどの交通移動手段にICTやセンサー、省エネなどの最新技術を組み合わせることで、誰もが都市内を安全、快適かつ効率的に移動できる交通システムの実証を行う。その結果、環境、渋滞、交通事故などの都市内交通に関わる課題の解決を図る。また、物流拠点の集積と先端システムの導入により、効率的で低炭素な次世代の物流システムの実証を行う。

取組内容規制・制度の特例措置、支援措置の例
○新しい都市内交通システムの導入
  • 低床式路面電車、自動無人路面電車、BRT等の導入(LRT(Light Rail Transit)・BRT(Bus Rapid Transit)を核としたコンパクトシティ化)
  • EV(Electric Vehicle)バス、FC(Fuel Cell)バス、CNG(Compressed Natural Gas)バスの開発・導入
  • パーク&ライドやロードプライシング、トランジット・モールなどを活用した都市中心部での交通量制御管理システムの運用
  • カーシェアリングの実施
  • バス専用レーンや優先信号などを活用したバスの総合運行管理システムの構築
  • オンデマンド・バスの導入
  • まちなかでのパーソナルモビリティの活用
  • チャーター・ヘリコプターの活用
<規制の特例>
  • 公道での各種実証実験のための交通規制の緩和(交通管制システムの柔軟化、バス専用レーンや優先信号の導入など)
  • LRTのアウトソーシング(軌道法の特例、鉄道事業法の第1、2、3種事業の枠外事業の容認)
  • 連節バス運行に関する規制緩和(道路交通法における大型車規制の緩和)
  • パーソナルモビリティの公道利用
<予算>
  • LRT・BRTの導入支援
  • 中心市街地のトランジット・モール化に係わるインフラ整備
  • EVバス、FCバス、CNGバスの実用化・導入、蓄電池システム・充電インフラの整備に対する支援
  • バス専用レーンの整備
  • オンデマンド・バスの運行支援
  • パーソナルモビリティの導入支援
○次世代ITS(Intelligent Transport Systems)の導入
  • 路路・車車間通信、衛星測位技術、交通情報収集・発信、交通管制、安全運転支援・危険回避支援システム、自動運転、ITS地上設備、車載器などの実証、実用化
  • ETC(Electronic Toll Collection System)の活用
<規制の特例>
  • ITS関連技術の公道での実験・実証のための交通規制の緩和
  • 交通情報の開放
  • ETCシステムの民間開放
  • VICS(Vehicle Information and Communication System)とDSRC(Dedicated Short Range Communication)の連携
<予算>
  • ITSの実用化に向けた予算拡大
○先進的な物流拠点の実証
  • 港湾、空港双方にまたがるFTZ(Free Trade Zone)の設置
  • 各企業の国内外の商品在庫を一括管理する次世代物流システムの構築
  • 倉庫と港湾/船舶、空港/航空機間の効率的な物流システムの導入(EV等の自動搬送装置の導入など)
<規制の特例>
  • FTZの創設、制度拡充
  • 自動搬送装置の技術的要件、利用に際しての規制緩和
<予算>
  • FTZにおける各種支援
  • 自動搬送装置導入に関わる助成

(4) 先端研究開発

国内外から最先端の技術、研究者、研究機関を呼び込み、世界トップクラスの研究開発拠点を形成する。同時に、研究開発の成果を本プロジェクトの対象区域に適用し、社会実験・実証を行うことで、いち早く実用化、製品化につなげ、世界各地に展開を図るマザー拠点としての役割を担う。

取組内容規制・制度の特例措置、支援措置の例
○モデル都市を実験場とした研究開発成果のいち早い実証、実用化
  • 先進技術・システムのショーケースとなるようなモデル地区の設定
  • 業際、組織、国境を越えた産学官連携により研究開発を推進
  • モデル都市での成果を国内外に展開。フィードバックにより、さらなるイノベーションを推進
<規制の特例>
  • 各種実証実験に関わる規制緩和(電波法(通信分野の研究開発)、道路交通法(ロボット等の屋外使用)、遺伝子組換え関連法制度(バイオテクノロジー)など)
<予算>
  • 研究開発予算の拡充、複数年度化、関連予算の共同予算化
  • 国際標準化の推進
<税制>
  • 研究開発促進税制の拡充
○国内外の先進的な研究機関、研究者の誘致 <規制の特例>
  • 外国人研究者(家事使用人も含む)の在留資格要件の緩和、在留期間の延長
<税制>
  • 進出企業(研究開発部門等)の法人税等の減税
  • 研究者の所得税減税

(5) 次世代電子行政・電子社会

生活、業務などのあらゆる領域へICTを利活用することによって、次世代のICT社会を具体化するショーケースになるとともに、国内外への展開を目指す。

取組内容規制・制度の特例措置、支援措置の例
○電子行政の推進
  • 社会保障・税の共通番号制度、国民ID制度の実証(行政サービスのほか、民間サービスにも利用を拡大)
  • ライフイベント毎の行政手続ポータルサイトの構築・運用
  • インターネット上での公的証明書の発行
  • 生体認証など本人確認技術の活用
  • 選挙における電子投票の導入
<規制の特例>
  • 行政業務のBPO(Business Process Outsourcing)の推進
  • 国政選挙における電子投票の導入
<予算>
  • 共通番号制度、国民ID制度の実証
  • ライフイベント毎の行政手続ポータルサイトの構築
  • 電子証明書の発行システムの構築
○先進的な電子社会の構築
  • クラウド技術、電波、ITS、測位、RFID(Radio Frequency IDentification)、RF(Radio Frequency)タグ、電子ペーパーなど最先端のICT技術・機器の実験、実証、実用化
  • 省エネ型の情報通信機器の開発、実用化
  • 多様なコンテンツの創出と様々な端末を通じた提供、発信
<規制の特例>
  • 電波規制の見直し(未使用周波数帯の活用など)
<予算>
  • 最先端のICT技術・機器の技術開発、実証に対する支援
  • 省エネ型情報通信機器への補助
  • 高度情報通信人材の育成
<税制>
  • 情報基盤強化税制の拡充(適用対象範囲の拡大)
  • 研究開発促進税制の拡充(省エネ・省資源研究開発支援、コンテンツ制作への対象拡大など)

(6) 国際観光拠点

自然、歴史、文化、商業、特産物といったその地域が持つ豊かな観光資源を磨くとともに、コンベンションやIR(Integrated Resort)の整備・運営などによって、国内外から多くの人々を引きつける観光都市を構築する。

取組内容規制・制度の特例措置、支援措置の例
○地域に根付く観光資源の活用
  • 歴史や情緒を伝える街並みの保全、水辺の再生による潤いある都市空間の創出
  • 文化・歴史的遺産や風俗、自然環境などその地に根付く観光資源を活かしたニューツーリズム(体験型観光)の推進
  • デジタルサイネージ(電子看板)・携帯端末・車載機・案内ロボットなどの多様な情報機器を利用した観光情報の提供、多言語化やコールセンターなど内外の観光客向けの情報提供の充実
<規制の特例>
  • 農家民泊に係る規制緩和(旅館業法、旅行業法など)
  • デジタルサイネージと行政関連情報とのシステム接続制限の開放
  • 公共エリアへのデジタルサイネージの設置許可
<予算>
  • デジタルサイネージなどの情報機器の導入支援
  • コールセンターの運営補助
  • 観光人材育成への支援
○大規模な集客インフラの整備・運用
  • MICE(Meeting, Incentive, Convention, Event / Exhibition)の開催・誘致の促進(大型の会議場・展示場・宿泊施設・アフターコンベンション施設などの整備、会議運営・ケータリング等のサービス提供など)
  • カジノを含めたIR(Integrated Resort)の整備・運営
  • チャーター・ヘリコプターの活用
<規制の特例>
  • カジノ関連法案の制定(現行刑法の適用除外)
  • 外国人観光客のビザの発給要件の緩和
  • 外国人のショッピングの際の免税手続の簡素化
<予算>
  • 国際コンベンション施設の整備、運営におけるPFIなどの活用
<税制>
  • 国際コンベンション施設の固定資産税の減免
<その他>
  • トップセールスによるMICEの誘致

(7) 先進農業

都市周辺における農地などを活用して、先進技術を活用して高付加価値の農産物を効率的に生産するとともに、生産、流通、加工から販路に至るサービス、農業機器製造などを含めた関連産業の集積を図ることで、農業を核に成長発展する新しい都市モデルを構築する。生産の大規模化、先進的な農業技術や生産・加工方式の活用、株式会社などによる農業経営など、革新的な農業経営を実践し、市場ニーズに対応した品質や価格など高い競争力を備えた農産物・加工品の開発、生産、流通、販売を行う。

取組内容規制・制度の特例措置、支援措置の例
○農業生産の大規模化・高度化
  • 農業生産の大規模化促進(機械化、自動化など)
  • 株式会社方式による農業生産
  • 植物工場の活用
  • 外国人材の活用促進
  • 生産効率化に資する品種、農薬、肥料、資材、栽培ノウハウなどの開発・実証
  • 知的財産対策の推進(品種保護、商標権保護など)
<規制の特例>
  • 農地保有の原則自由化(株式会社による農地取得、リース手続の簡素化など)
  • 農地の転用規制の強化
  • 農業生産法人の要件の緩和(構成員要件、事業要件、役員要件など)
  • 農業従事者としての外国人材の就労要件の緩和
  • 農薬登録審査の迅速化
<予算>
  • 農地以外の用地(工業団地など)で植物工場やハウス栽培等を行う際、農地生産並みに補助金を付与
  • 農地集約や生産の大規模化に向けた設備導入などへの補助、融資面での支援
  • 耕作放棄地再生、新規就農希望者への研修等の財政的支援
  • 農商工連携制度の拡充
<税制>
  • 事業拡大・大規模化、高度化に伴う設備投資に対する税額控除・特別償却
  • 農地の取得、集約に対する税制上の支援(所得税、不動産取得税、登録免許税、印紙税)
  • 農地以外の用地(工業団地など)において、植物工場やハウス栽培などを行う際の土地に対する固定資産税について農地並み課税
  • 贈与税。相続税の納税猶予制度への適用、拡充(20年→10年で免除)
○販路の開拓、輸出促進
  • 在庫管理、トレーサビリティの高度化
  • 広域圏での地産地消の推進
  • 高品質化・ブランド化などによる付加価値の向上
  • 販路の開拓、海外市場への輸出促進
<予算>
  • 販路開拓、マーケティングに対する支援
  • 海外認証等(HACCP(Hazardous Analysis and Critical Control Points)、GLOBAL GAP等)の取得及び検疫条件適合のための資金等への支援

(8) 子育て支援・先進教育

多様で良質な保育サービスの提供など、安心して子どもを産み育てられる環境を構築する。
現在の教育システムをゼロベースで見直し、教育カリキュラムの採用、ICTなど先端技術の活用などを通じて、国際競争のなかで今後のわが国経済の活性化に貢献する高度な人材の育成を目指す。

取組内容規制・制度の特例措置、支援措置の例
○子育てしやすい環境の整備
  • 企業、NPOなど多様な主体による保育サービスの拡充
  • ICTを使った子供の見守りサービスの実施
  • 働く親のためのテレワークの活用(ウェブ会議、仮想デスクトップ環境の構築など)
  • 外国人材の受け入れ
<規制の特例>
  • 保育サービスへの企業・NPOの参入促進
  • 幼稚園・保育所の機能の一元化
  • 保育士資格制度の見直し
  • 保育分野の外国人材の受入れ
<予算>
  • 保育サービス拡充に向けた公費投入の拡大(認可保育所以外)
  • 株式会社やNPOの初期投資の負担軽減
  • まちのバリアフリー化
○教育の高度化
  • 企業、NPO等多様な主体による多様な教育サービスの提供(株式会社立学校の設立など)
  • 学校教育における飛び級制度の導入
  • 教育現場におけるICT技術の積極的活用(タブレットPC、遠隔授業、電子教材、電子黒板などの情報通信機器の活用、動画・音声・検索など多様な情報の活用、学校ICT支援員の確保、家庭での学習支援など)
  • グローバル人材育成に資するカリキュラムの開発と実践(小中高一貫の実践的英語教育、コミュニケーション能力、論理的思考力育成など)
  • 海外の優秀な教員、留学生の受け入れ推進、海外教育機関との国際的連携推進
  • 今後の成長分野における実務教育カリキュラムの開発と実践(研究開発、金融、情報通信、観光など)
<規制の特例>
  • 株式会社やNPOによる学校の設置の緩和
  • 公設民営方式による学校の設置の解禁
  • 外国人教員に関わる資格要件の緩和
<予算>
  • 株式会社立学校に対する私学助成
  • インターナショナルスクール新設への助成(UWC日本校設立への支援)
  • 先進的な教材・教育機器の導入支援
  • 優秀な留学生に対する奨学金の拡充
<税制>
  • 株式会社立学校に対する学校法人並みの優遇税制の適用

5.今後の取組みについて

今後、既存の都市の意向も確認しつつ、実証実験を行う技術、システム、事業期間、役割分担、必要とする規制改革、税制、財政上の具体的な支援措置など本プロジェクトの具体的な仕様についてさらなる深堀りを行う。

あわせて、全国各地の自治体等との間で対話を重ね、本プロジェクトの実施につき合意に至った区域において、具体化に向けた作業を進める。

総合特区制度等の政府の関連施策の活用や既存のプロジェクトとの連携・協力については、関係者と議論を重ねる。こうした作業を重ね、具体的な実証実験の速やかな開始を目指す。

なお、今回のプロジェクトは実証実験までとし、実証実験後の事業化、国内外へのビジネス展開については、実証実験の結果を踏まえた上で参加企業が個別に判断する。

以上

「都市住宅、地域活性化、観光」はこちら