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経団連について 会長挨拶

十倉会長

世界はポストコロナという新たな時代を迎えています。

わが国そして世界にとって、行き過ぎた株主資本主義や市場原理主義によってもたらされた「生態系の崩壊」と「格差の拡大・固定化・再生産」の克服は喫緊の課題です。これらの課題に真正面から取り組み、持続可能でレジリエントな経済社会の再構築を進めてまいります。

地球規模の社会課題の解決には、科学技術とイノベーションの力が欠かせません。研究開発を含めたグリーントランスフォーメーション(GX)、デジタルトランスフォーメーション(DX)、スタートアップといった重点分野に対する大胆な投資を官民連携で強力に推進し、産業競争力のさらなる強化、産業構造の新陳代謝、生産性の向上に取り組みます。

また、GXやDXによって得られた成長の果実を適正に分配し、次の成長につなげていく「成長と分配の好循環」が求められます。持続的な経済成長の実現と中長期のスパンでの財政均衡を目指す、官民連携によるダイナミックな経済財政運営、全世代型社会保障の構築、円滑な労働移動をはじめとする労働政策といった異なる分野を相互に連関させることで、「構造的な賃金引上げ」、ひいては「分厚い中間層」の形成に取り組みます。これは、格差問題の解決に直結するとともに、少子化への対応にも資するものであり、わが国経済にダイナミズムを取り戻すうえで、非常に重要です。政府におけるこども・子育て政策の議論に対しても、経団連の考え方を積極的に発信してまいります。

一方で、厳しい国際情勢のもと、世界経済は分断の危機に瀕しており、「自由で開かれた国際経済秩序」の再構築が必要です。G7議長国の経済団体として、国際社会の連帯の実現とルールに基づく国際経済秩序の形成にイニシアチブを発揮してまいります。また、経済と安全保障が密接不可分となるなかにあっても、企業が国内外で可能な限り自由に、予見可能性をもって事業活動を行なうことができる環境整備に取り組んでまいります。さらに、民間経済外交を積極的に展開し、先進国間の連携およびグローバルサウスとの対話も強化していく所存です。

変化の激しい時代にあっても、経団連は、社会性の視座に立脚し、サステイナブルな資本主義の実践に取り組み、民間活力を最大限引き出す政策の実現を内外に働きかけてまいります。引き続き、会員の皆さまからのご支援・ご協力を賜りますようお願い申しあげます。

一般社団法人 日本経済団体連合会
会長 十倉 雅和