一般社団法人 日本経済団体連合会
わが国が持続的な経済成長を実現していくためには、科学技術イノベーション政策を国の重要政策として位置付け、強力に推進することが不可欠である。安倍政権の強いリーダーシップのもと、総合科学技術会議を中心に、昨年6月の「科学技術イノベーション総合戦略」の策定を始め、様々な施策が矢継ぎ早に推進されていることは、高く評価される。
一方、総合科学技術会議が、各省にまたがる科学技術イノベーション政策を強力なリーダーシップのもとで推進するためには、法律・予算・体制の見直しにまで踏み込んだ抜本的な司令塔機能強化が不可欠である。
経団連では、かねてより司令塔機能強化を求める様々な提言を行ってきたが、今般、政府において具体的な法改正に向けた議論が進められていることから、改めて下記の通り意見を表明する。
1.法的権限の強化 =内閣府設置法の改正
総合科学技術会議が、真の司令塔として、省庁の縦割りを打破しながら科学技術イノベーション政策を強力に推進するためには、法的権限の強化が不可欠である。
具体的には、現在、文部科学省設置法上に記されている「科学技術基本計画の策定・推進」、「科学技術に関する関係府省の経費の見積もりの方針の調整」といった所掌事務を内閣府に移管するとともに、科学技術の振興のみならず、研究開発の成果を実用化・事業化につなげるための施策の推進等も可能となるよう、内閣府設置法を改正すべきである。
2.予算権限の強化 =独自予算の保持
2014年度予算案において「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)」、2013年度補正予算案において「革新的研究開発推進プログラム(ImPACT)」という2つの新規プログラムの創設が盛り込まれたことは、画期的である。
但し、今回、SIPは各省から一定割合の予算を拠出させることで予算を確保し、また、ImPACTは文部科学省に予算が計上される。総合科学技術会議の司令塔機能を強化するためには、内閣府が独自予算を確保し、予算権限を強化することが不可欠であり、今後は両プログラムとも、内閣府が一元的に予算を要求し、計上する仕組みとすべきである。
3.体制の強化 =政府関係機関等との連携強化と事務局の充実
総合科学技術会議の司令塔機能を強化するためには、事務局機能の強化が必須である。科学技術イノベーション政策に通じたプロパー職員を育成するとともに、イノベーションの主たる担い手である企業の知見を政策により強く反映できるよう、企業出身者の積極的な受け入れや幹部登用を図る必要がある。
また、基礎研究の成果を応用・開発研究に円滑につなげるためには、総合科学技術会議と研究開発法人の連動性を強化することも重要である。特に、関係府省が所管する中核的な研究開発法人については、総合科学技術会議の意向を各法人の活動に強く反映できるようにすべきである。
今般、内閣府において、シンクタンク等機関との連絡協議会#1が発足したところであるが、総合科学技術会議は、こうしたシンクタンク等を有効活用して調査分析機能を強化し、具体的な政策立案に活用することが求められる。
- 日本学術会議、経済社会総合研究所、科学技術・学術政策研究所、経済産業研究所、科学技術振興機構研究開発戦略センター、日本経済団体連合会、産業競争力懇談会が参画。