Policy(提言・報告書) 税、会計、経済法制、金融制度  IASB・FASB「リース」基準改訂についての意見

2014年6月16日

IASB フーガーホスト議長 殿
FASB ゴールデン議長 殿

一般社団法人 日本経済団体連合会
企業会計委員会企画部会

IASB・FASB「リース」基準改訂についての意見

「リース」基準改訂につき、両ボードが、粘り強く取り組んでいることに敬意を表する。我々は、「リース」について、強い問題意識を持ち、様々な機会を捉えて意見発信を行ってきた。しかしながら、再公開草案を経て本年3月の基本的な会計モデルに関する「暫定決定」、及びその後の審議内容は、理論的にも実務的にも受け入れられる内容には至っていない。基準改訂を開始して8年が経過しても、尚議論が空転しているのは、「全てのリース取引をオンバランス化すべき」という理念に囚われすぎ、リース取引の実態に即した検討が疎かになっているからである。今一度、世界のリース取引の実態を調査し、問題の所在を明確化した上で、コスト・ベネフィットに見合い、かつ実務対応可能な高品質な基準を開発する努力をすべきである。さもなければ、これ以上の無用の混乱を避けるために、「現行のリース会計基準(IFRS;IAS17号、米国基準;Topic840)の改善に留める提案」を行うべきである。

3月の「暫定決定」では、IASBとFASBが、「リース」について異なる会計処理を採択する方向性を示し、その後の議論でもギャップは解消されていない。IASBとFASBとの共同プロジェクトのうち、「金融商品」「保険契約」に引き続き「リース」についてもIASBとFASBが最終的に異なる基準を開発すれば、単一で高品質な国際基準を目指すIASBに対する関係者の期待を大きく損ねることになる。我々は、IASBの会計基準の国際的収斂に関する調整能力を評価しており、その為に、人的・資金的協力を続けてきている。FASBにおいても、IASBとのコンバージェンスに真摯に協力する責任を全世界の関係者に対して負っていることを十分自覚すべきである。

IASBとFASBが、各々で拙速な基準改訂を行うことは回避し、適切なデュー・プロセスに則り、市場関係者の納得を十分に得ながら、多国間で通用する国際基準の開発に向けた取組みを継続することを切望する。

以上