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Policy(提言・報告書) 産業政策、行革、運輸流通、農業 ジャパンコンテンツ総合会議(議事要旨)

日時: 2016年9月5日(月)午後2時~3時30分

場所: 経団連会館 2階 国際会議場

プログラム:

  1. 開会
  2. 来賓ご挨拶
  3. 主催者挨拶
  4. 講演 「クールジャパン政策の今後の展開」
  5. 説明
    1. (1) 「JLOPの効果と分野を超えた活用事例について」
    2. (2) 「クールジャパン機構の投資方針について~分野を超えた投資案件の連携~」
    3. (3) 「ビジネスと連動した放送番組の海外発信と今後の展開」
    4. (4) 「コ・フェスタ2016(Japan国際コンテンツフェスティバル)の紹介」
  6. 決議
  7. 閉会
(下記、議事要旨の文頭ページ番号は各資料のページ番号)

1.開会
(依田経団連産業競争力強化委員会 エンターテインメント・コンテンツ産業部会長)

本日は、ご多用のなか多くの方にご参加をいただき御礼申し上げる。

ジャパンコンテンツ総合会議は、日本のコンテンツの力を製品・サービスの魅力の向上に積極的に活用する契機にしていただきたく開催するものである。

先月、閣議決定された政府の経済対策において、クールジャパン戦略の推進が盛り込まれ、コンテンツの海外展開支援に国からのバックアップがなされることが示されたのは、すなわち、アベノミクスのエンジンをさらに力強く回していくための施策として、コンテンツの活用、海外展開が位置づけられたということであり、コンテンツ業界としてもこの期待に応えなければならないと気持ちを引き締める所存である。

本日は、菅内閣官房長官にお越しいただいており、ご挨拶を賜りたいと思う。

2.来賓ご挨拶(菅内閣官房長官)

本日、経団連のジャパンコンテンツ総合会議が依田部会長のもと、このように多くの皆様が参加され盛大に開催されることを心よりお祝い申し上げる。

安倍内閣は発足以来3年8ヶ月が経過し、デフレ脱却、日本経済再生を最優先として全力で取り組んできた。

先般の参議院選挙の大きな争点はアベノミクスを推進するか否かだったが、皆様から大きな信任をいただいて、さらにこのアベノミクスを自信を持って加速するために、8月2日、総合経済対策を閣議決定した。総事業規模28兆円、予算措置13兆円である。当面の需要喚起対策ではなく、未来への投資にも力を入れた経済対策である。

皆様の記憶にも新しいと思うが、先般のリオでのオリンピック閉会式において日本の様々な素晴らしいコンテンツが世界に大きく評価されたのではないだろうか。安倍総理もマリオに扮し、世界中で大きな話題になった。世界に向けて日本のコンテンツをアピールすることができた最高の機会となった。

いよいよ次は、2020年の東京でのオリンピック・パラリンピック大会が開催される。この大会はわが国のコンテンツを世界に発信することができる最高の機会になり、さらに、発展への大きなステップになると考えている。

そうしたなか、コンテンツをはじめとしてわが国のクールジャパン政策は、衣食住と文化、ライフスタイルの魅力に付加価値をつけて海外需要を獲得し、日本の経済成長につなげることを目的としている。

そのために海外での日本ブーム創出、海外への関連商品の販促、訪日促進につなげるための戦略的な海外展開政策について政府は全力で取り組んでいる。例えば、コンテンツの字幕や吹き替え等による現地化や、国際見本市への出展支援、わが国コンテンツの海外展開の促進に今日まで取り組んできた。 さらに今後重要になることは、業界の枠を超えた他の産業との連携である。 昨今のポケモンGOブームは、わが国コンテンツの活用により、ものづくり、飲食、他のサービスへの影響がいかに大きいかということが分かることができた一つの象徴的な事例だった。

このように業界の枠を超え、日本としての総合力が重要になってきているなかで、本日ここに本会議が開催されることは、まさに時宜を得て、わが国産業全体の成長を後押しし、国際競争力の獲得へとつながる大変有意義な会議である。本会議を通じて、より一層の業界間の連携が進むことを期待したい。

政府としてもこうした流れを積極的に支援していく所存である。例えば、コンテンツ産業とその他産業の連携によって地域活性化事業を推進する等、皆様の様々な知恵を借りながら地方創生をしっかり実現したい。

この会合を契機として、ご参加の皆様がわが国の経済成長の牽引役として、さらに連携を深めて大いに成果を挙げることを心から期待してお祝いの挨拶とする。

3.主催者挨拶
(依田経団連産業競争力強化委員会 エンターテインメント・コンテンツ産業部会長)

エンターテインメント・コンテンツ産業部会は2003年に設置され、特定非営利活動法人 映像産業振興機構(VIPO)は2004年に設立され、今年で12年目を迎えている。この間、クールジャパン機構、放送コンテンツ海外展開促進機構(BEAJ)が設立され、コ・フェスタの活動が開始されるなど、コンテンツ産業の海外展開に向けた様々な支援体制が確立されてきた。

わが国の魅力あるコンテンツの戦略的活用は、コンテンツ産業の強化のみならず、製品・サービスの国際競争力につながることが期待されており、政府においても、クールジャパン政策等による日本の魅力の事業展開を通じて、海外需要の獲得とともに訪日観光客の増加や関連産業の雇用を創出する方針を打ち出している。

先のリオ五輪の閉会式においても、コンテンツの活用が日本のイメージ向上に力を発揮したことは、記憶に新しいところである。

昨今の急激な円高や世界経済の先行きの不透明感が高まるなか、地方創生への取り組み、2020年オリンピック・パラリンピック東京大会に向けた日本のPR強化の観点からも、官民を挙げて、これまでの取組みの効果を絶やすことなくコンテンツの海外展開を一層促進することが重要である。

4.講演「クールジャパン政策の今後の展開」
(経済産業省 安藤商務情報政策局長)

講演資料

クールジャパン政策の概要を説明する。

p1
コンテンツ産業の国内市場規模として10年間の推移を示したものである。最近は約12兆円が市場規模となっている。色々な見方はあると思うが、成長は横ばい、国内の市場規模としては成熟した状況にある。
リーマンショックが2008年9月に発生し、その時期に市場規模は若干下がっている。その後なかなか回復しなかったが、最近は少し回復基調が見える。ゲームやインターネット分野が伸びているのが背景にある。

p2
それぞれの国内において、その国のコンテンツが強いのはある種当然、容易に想定できるが、海外マーケットにおいて日本がどのような地合を持っているかについて見てみたい。
日本由来のコンテンツが日本を除く世界のコンテンツ市場(5,678億ドル)におけるウェイトは残念ながら2.5%である。同様にアメリカの場合は35.4%あり、歴史的な背景はあるが、アメリカは自国内のみならず世界のマーケットで存在感を示していることがうかがえる。

p3
日本のゲーム、マンガが素晴らしいというのはその通りだが、残念ながらキャラクター物販やマンガ等、日本由来のコンテンツが強い分野における全体の市場規模があまり大きくない。また、映画分野は放送分野に次ぐマーケット規模だが、日本由来のコンテンツの割合は低い。

p4
日本コンテンツの潜在力、関心の度合いに関するアンケート調査では、今後市場の急拡大が予想されるアジア各都市において、アニメ、マンガの領域でみると台湾、香港、上海で圧倒的な力を有しており、東南アジア諸国(バンコク、ジャカルタ、シンガポール、ホーチミン、ムンバイ)においても普及度合いが高いといえる。
他方、ドラマ、音楽、映画の分野では、台湾、香港、上海では相対的に日本のコンテンツに対する関心の度合いが高いが、それ以外の東南アジアの地域では浸透度が低い。しかし、少しずつ数値は積みあがってきており、潜在的な関心度があることがうかがえる。
したがって、中国、台湾では各分野とも強いが、東南アジア諸国を今後開拓する余地が高いことがうかがえる。
また、アニメ、マンガは強いが、ドラマ、音楽、映画が相対的に弱いため、海外における普及度を高めていくための活動が有効ではないだろうか。

p5
コンテンツの海外展開を支援するための事業を政府として支援しているのがJLOP事業であり、コンテンツの字幕、吹き替え等の現地化(ローカライズ)、国際見本市等への出展支援(プロモーション)を行っている。ジャパンコンテンツのローカライズおよびプロモーションを政府として支援している。
平成24年度補正予算の123億円から、それぞれの補正を経済対策として講じるタイミングを捉えて、平成26年度、平成27年度、そして今回の平成28年度にて各々約60億円、合計約310億規模のコンテンツのローカライズとプロモーションを支援している。平成26年度補正予算までの採択件数は4,700件、海外売上増加総額は平成24年度と平成26年度補正予算を利用した事業者の合計において1,588億円、新規海外展開は305社の支援を行った実績がある。

p6
クールジャパン戦略の概観である。
戦略の第1段階は、コンテンツやライフスタイル等の日本の魅力を海外に知ってもらう、「日本ブームの創出」を行うフェーズであり、JLOP事業等が該当する。インフルエンサーの招聘(海外の有名デザイナーに日本の魅力を発信してもらう事業)や、ふるさと名物の海外発信等を予算事業として展開している。
海外で日本の魅力を知ってもらった次は、「現地で買ってもらう」のが第2段階である。日本食の海外展開、日本の地域産品の海外市場獲得に向けた支援等を行っている。
最終段階は、日本に来てもらう、インバウンド観光客として消費を拡大してもらうことである。
これらがサイクルとしてうまくまわることが期待されており、JLOPは日本ブームの創出における有力な導火線となっている。

p7
クールジャパン機構の概要を説明する。平成25年11月に設立されて以降、17件(約390億円)出資支援を実施した。市場を獲得していく様々な諸事業に対し、事業会社を設立しそこに出資する形式であり、いわゆる官民ファンドの一つとして、民間企業や海外投資家と共同で出資を行っている。
海外におけるジャパンモールやフードコートの形成、ジャパンチャンネルとして海外の放送権利取得等により、日本の魅力を発信していく「プラットフォームの形成」や、海外マーケットに実際に日本の商品・サービスを売り込んでいく「サプライチェーンの整備」、「地域企業の海外進出支援」等を行っている。

p8
クールジャパン機構が出資支援を行った17件のうちコンテンツに関するのは6件(約160億円)である。多言語化によるローカライズ、放送チャネルの展開等に対し、出資の面から支援を行っている。

p9
菅官房長官の強い旗振りのもと「明日の日本を支える観光ビジョン」を平成28年3月に策定した。
「観光先進国」に向けたの「3つの視点」と「10の改革」として、赤坂や京都の迎賓館等を一般開放、文化財を核とする観光拠点を200箇所整備、多言語解説を1000事業展開、国立公園を世界水準のナショナルパークへ改善等、定量的な目標を掲げている。
古民家を活用するための消防法の問題や、IoTとシェアリングサービスを組み合わせていく際の規制や制度の改革や見直しを推進するほか、富裕層をターゲットとしたプロモーション、ビザ緩和、MICE誘致等、観光だけでなくスポーツ、地域の情報発信、食の展開等、異なった地域資源を組み合わせて付加価値の高いものとして海外に発信していこうという取り組みを展開していく。
さらに、出入国審査の緩和、キャッシュレス観光の推進、休暇取得の働きかけ等、総合的な取り組みを進めている。

p10
このような取り組みを通じて、GDP600兆円経済の実現を目指す。
コンテンツは、そのもの自体の売込みを行い直接市場を開拓する「直接効果」と、コンテンツがものづくり、地域、観光等と連携して第2、第3の価値を創造する「波及効果」の両面で期待されている。
コンテンツ、非コンテンツが連携して、さらに日本の魅力を2020年に向けて、そして2020年を超えて発信していこうという強力な会議が開催されたことに経産省として感謝するとともに、皆様の取り組みと経産省の取り組みをシンクロさせ日本の魅力を世界に発信していけるよう支援を行っていく所存である。

5.説明(1)「JLOPの効果と分野を超えた活用事例について」
(特定非営利活動法人 映像産業振興機構(VIPO)市井事務局長)

説明資料

p2
本日のアジェンダだが、まずVIPOに関する説明を行い、クールジャパン戦略およびそのなかにおけるJLOPの位置づけ、JLOP事業の直接的な成果、活用事例、波及効果に触れた上で、最後にコメントを述べたい。

p3
VIPOは、2004年、日本経済団体連合会の提言「『知的財産推進計画』の改訂に向けて」において、映像産業全般の振興を推進する機関の設置が提言され、日本のコンテンツ産業を国際競争力あるものとし、さらには日本経済の活性化に寄与することを目的に設立された組織である。
つまり映画やテレビ、ゲームなどの一つのジャンルだけでなく、それらを含めた映像産業全体の振興を推進することが目的である。

p4
したがって我々の理念は、「コンテンツの未来へ、つながる、ひろがる」ということであり、ミッションは「コンテンツ業界に関わるすべての人たちへ、VIPOでの「まなび」「つながり」をきっかけにビジネスの輪がひろがるよう、サポートしていく」ことである。
そしてこれをさらに拡げて、コンテンツ業界とそれ以外の業界の学びやつながりも活動の視野に入れている。

p5
我々の事業は、市場開拓と人材育成の二つの柱を中心に展開している。市場開拓に関してはこれから説明を行うJLOP、そしてこの後大谷委員長に説明いただくコ・フェスタである。それ以外には人材育成を行っているが、詳細は年間活動報告書をご覧いただきたい。

p6
クールジャパン戦略のキーは、先ほど安藤局長からの説明にもあった通り、JLOPは3つのステップのうち1つめのステップである「日本ブームの創出」を行うための施策であるということを改めて強調したい。

p7
具体的には、映像(映画、テレビ番組、アニメ等)・キャラクター・音楽・ゲーム・出版といった日本のコンテンツの海外展開のための補助金であり、支援対象は字幕や吹き替え等のローカライズと、国際見本市への出展やPRイベント実施などのプロモーションを対象としている。

p8
JLOP事業は、2013年3月にスタートして現在4年目に入っている。そして先ほどの説明にもあったとおり5年目が先日閣議決定された。4年間での補正予算総額は約282億円、4年目が終了したときに想定される総採択件数は5,600件になるのではないかと考えている。
1期目のJLOP補正予算を約155億円と記載しているのに対し、安藤局長からは123億円と説明されていたが、この1期目は経産省と総務省合算で155億円になったことを補足する。

p9
JLOP事業の目的は、多様な企業・産業・自治体(地方含む)が連携・協業して、地域資源や観光資源、多様なコンテンツを活用した上で海外展開する事業を対象とし、その結果として、クールジャパン戦略の2つ目のステップである、関連産業の海外展開拡大、3つ目のステップである訪日観光等の促進につなげていくことである。
そしてコンテンツを主体とするだけではく、有効活用した海外展開事業であればどんな事業者でも申請が可能となっている。

p10
JLOPの直接的な成果に関して説明する。展開国数118カ国、展開言語数18言語、発信時間115,702時間である。これは2015年12月末までの数字であり、その後の再放送、JLOP+、JLOPを含めると、それ以上の規模で海外にて発信されていることがご理解いただけると思う。

p11
もう一つの成果は、JLOPを利用して初めて海外展開した事業者は260社で、全JLOP利用事業者の約40%に相当することである。リスクマネーを供給し、新しいビジネス展開をサポートしていることがご理解いただけるのではないだろうか。

p12
さらに、JLOP利用事業者全体での2015年度海外売上は、2012年度比較において総額1,247億円増加している。そのうち、約半分がコンテンツ業界以外の企業の海外売上増加額である。

p13
コンテンツ以外の企業のJLOPの活用事例である。先ほど、JLOPの対象は「ローカライズとプロモーション」と説明したが、ローカライズに関してはコンテンツ企業の活用事例がほとんどだが、プロモーションに関してはコンテンツを有効活用すれば支援の対象となるため、コンテンツ以外の企業にも数多く利用いただいている。
本日ご参加いただいているのはコンテンツ以外の企業が多いとのことであり、そちらのケースを中心に事例紹介したい。

p14
活用事例は「CM・広告出稿」と「イベント・プロモーション」の2つのケースがある。
まず、「CM・広告出稿」に関して説明する。165件の実績があり、大きく2つに分類される。一つ目は、日本コンテンツを活用したCM出稿、つまりCMそのものにコンテンツを活用する事例である。二つ目は、海外で放送される日本の番組や日本コンテンツ専門局にCM出稿する事例が挙げられる。これはCMそのものは何でもよく、日本の番組が海外で放送されることをサポートしているとみなして対象としている。

p15
日本コンテンツを活用したCM出稿の具体的な例としては、日清食品の香港現地法人が妖怪ウォッチを活用した事例がある。「日本発」でありファミリー層に人気のある両ブランドのコラボCMにより、ジャパン・クオリティの高さをアピールした事例となっている。

p16
次は大王製紙のタイ現地法人がドラえもんを活用した事例を紹介する。ASEAN各国での自社商品PRにおいて、現地で人気のドラえもんを起用したテレビCMを放送したものである。

p18
海外で放送される日本の番組や日本コンテンツ専門局にCM出稿する事例としても数多く存在し、そのなかで代表的な企業は資料掲載の通りである。

p19
「イベント・プロモーション」に関しては、1500件を実施した。観光映像、キャラクター、アニメを活用して、海外の見本市やイベントを主催、出展するケースがこれに該当する。

p20
具体的な事例としては、サンリオのドイツ現地法人がイギリスの大規模ポップカルチャー「ロンドンMCMコミコン」に、ハローキティのブースを出展した際、富士フィルムのチェキとコラボした事例がある。

p21
次はソニーのシンガポール現地法人が店頭やDMにて、東北の映像や観光情報を各県のご当地キャラを通じてアピールした事例である。

p22
松竹が歌舞伎の興行とプロモーションをラスベガスで行った際、日本を代表する最新技術を誇る企業であるパナソニックやNTTとコラボした事例である。

p28
ここからJLOP事業の波及効果に関して触れたい。JLOP事務局が2014年2月と2015年8月の合計2回実施した海外消費者意識調査結果によると、日本のコンテンツに対する好感度の推移は、調査対象中、ほぼ全ての国において上昇している。

p29
日本製品の利用意向の変化に関しては、17カ国中、12カ国で上昇し、平均72.9%から74.5%に変化している。

p30
訪日意向の変化に関しては、ASEANでは90%以上で推移し、中国、韓国、アメリカ、ドイツでは5~12%の大幅な上昇がみられた。

p31
訪日外国人旅行客の推移に関しては、J-LOPを開始した2013年は1,036万人であったのに対し、J-LOP事業の後継事業であるJ-LOP+を開始した2015年には1,974万人に増加した。

p32
訪日旅行客の目的に関して、日本政府観光局(JNTO)が調査を実施した。資料のグラフ赤文字にて記載されているのがコンテンツに直接関連のある項目であり、それ以外のJLOPに関連のある項目が青文字にて記載されている。つまり、訪日旅行客の目的である全項目のうち半分以上がJLOPの活用事例と合致していることが理解できる。

p33
この調査結果をベースにインバウンド消費を計算したものが以下の通りであり、訪日旅行客が、コンテンツ関連商品を購入した総額の増加総額は、2012年を起点に2015年までを集計すると592億円となる。

p34
同様に、コンテンツ体験した人の総支出の増加総額は2,089億円となる。

p35
直接および間接で様々な効果が出ていることが理解いただけたのではないだろうか。しかし、4年目のJLOP事業だが日本全国を見渡すと、利用されている方は限られている。より多くの皆様に活用いただけるよう、我々は毎週火曜日に説明会と相談会を開催し、地方等で説明会になかなか参加できない方々のために、説明会をWEBに掲載している。

p36
最後になるが、もっとコンテンツの伝達能力を有効活用してほしいと考えている。また、これだけ充実している国の支援を是非積極的に活用してほしい。そして、各社の強みを活かしてオールジャパンで世界にアピールし、日本ブームの創出を果たしてほしい。
省庁連携、コンテンツとコンテンツの連携、コンテンツとそれ以外の方々との連携は総論では反対されることはない。各論になると様々な課題が生じる可能性があるが、是非そういったハードルを力を合わせて克服していただきたいし、その際にはJLOPを活用していただきたい。

5.説明(2)「クールジャパン機構の投資方針について~分野を超えた投資案件の連携~」
(クールジャパン機構(株式会社海外需要開拓支援機構)太田社長)

説明資料

p1
クールジャパン機構は2013年11月に発足し、これまでに17件、約400億円の出資を実施した。

p2
分野別では、メディア・コンテンツ関連(6件)、ライフスタイル関連(3件)、インバウンド関連(2件)、食・サービス関連(6件)である。なかでも、メディア・コンテンツ関連と食・サービス関連がキラーコンテンツであると認識している。

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これまでの投資地域に関しては、ASEANが中心だが、これからの有望市場である中東地域で2件、発信拠点として欧米主要都市での事業も展開している。

p4
ジャパンモール等の物販・小売(地上戦)と、メディア・ネットの発信(空中戦)を組み合わせることによって、政策効果を最大化することが重要である。

p5
我々は、スカパーJSATと連携し「WAKUWAKU JAPAN」という衛星ケーブルテレビで日本の放送コンテンツを海外で放映する取り組みを展開している。2020年度までに欧米等を含めた世界22カ国で視聴が可能となるよう設立した。
日本のスポーツやニュース、情報番組を現地語で放送し、日本の地方の情報番組を積極的に放送し、インバウンド向けに地方の魅力を伝えることを柱にしている。

p6
WAKUWAKU JAPANでは様々な企画を行っている。例えば、WAKUWAKU JAPANは、クールジャパン機構の投資事業と次のような連携を行っている。機構の出資した、ハリウッドにあり世界最大のローカライズノウハウを有するSDI Media社を通じて日本のコンテンツのローカライズを行っている。また、機構は、「オタク」と呼ばれているキャラクター商品を海外に展開している会社であるTOKYO OTAKU MODEに出資しているが、WAKUWAKU JAPANで人気アニメ商品の通信販売CMを放送したり、このTOKYO OTAKU MODEのFacebookページの約1,900万人のファン向けに当該商品の広告展開を行っている。他には、WAKUWAKU JAPANでは、2016年7月、機構の出資を受けて、シンガポールにオープンしたジャパンフードタウンのプロモーションを行っている。インバウンド誘致のために、地域の番組も放送しており、その様子は、動画にて紹介する。(動画放映)

p8
プラットフォームとしてのジャパンモールについて説明する。マレーシアの三越伊勢丹を全館クールジャパン仕様にし、2016年10月にオープンを予定している。
海外に日本の商業施設は多いが、全館で日本の商品を取り扱っているという店舗はない。ここでは90%以上の商品が「made in Japan」もしくは「made by Japan」で構成されている。特に地方の優れたものを食も含めて、中心に取り揃える予定である。日本の最先端技術、地方の魅力、サービスを発信する拠点として捉えている。

p11
強化すべき分野の一つは「インバウンド」と考えている。インバウンド分野における投資対象事業としては、①メディア型事業、②送客型事業、③観光サービス事業、④施設型事業に分類される。

p12
我々が考えているのはインバウンドの拠点づくり。スポーツを通して日本に来てもらう、もしくは健康の拠点として日本を活用してもらう「スポーツツーリズム」や、日本の医療介護サービスを海外に提供する「メディカルツーリズム」、日本のエンターテインメントを海外に展開するだけではなく、それを目的に訪日を促す「エンタメツーリズム」の流れを創ることが重要である。インバウンドには様々な要素があるという考えのもと、幅広く投資を検討している。

p13
クールジャパン機構として大事な視点は、大きく2つある。ひとつは「地域から世界へ」である。地域は中小企業が多く、勇気を出して海外へ進出に取り組む企業が少ないものの、素晴らしいものを作っている企業は多い。クールジャパン機構として地域の自治体や経済団体と提携、情報共有することで、地域の優れた企業に投資を行い海外進出の支援を行っている。

p14
もうひとつは、中小企業のコンソーシアムである。1社単独の海外展開はなかなか難しい場合でも、オールジャパンで海外進出に取り組むことは可能である。その典型的な事例として、シンガポールにオープンしたジャパンフードタウンを紹介する。地域の小さな中小企業が多く、我々が出資しているなかで、唯一マジョリティー投資となっている事業である。このコンソーシアムのポイントは、沖縄のハブ拠点から全国の新鮮な食材を週4便、4時間かけてシンガポールに空輸することで、シンガポールに新鮮で安い日本食材を提供できている点である。長崎発の抹茶カフェを西海岸に出展したのも同様の取り組みとなっている。

5.説明(3)「ビジネスと連動した放送番組の海外発信と今後の展開」
(一般社団法人 放送コンテンツ海外展開促進機構(BEAJ) 重村理事 運営委員長)

説明資料

放送コンテンツ海外展開促進機構(BEAJ)について組織の紹介をするとともに、これまでの活動状況と今後の展望、展開について説明したい。

p2
BEAJは「クールジャパン」、「ビジットジャパン」構想に放送コンテンツを通して寄与するという事を目的に放送各局、権利団体、商社、一般企業が総務省の協力を得て設立された組織である。

p3
その大きな目的は、ただ単に放送コンテンツを海外に展開し、日本の観光地や産業、商品を知ってもらうという事にとどまらず、番組がその国で放送されることによりそこに大きな『経済波及効果』が生まれ、「物が動き」、「人が動き」、そして一つの「ビジネスチャンスが拡大する」という状況を生み出すという事にある。

p4
よく誤解されるが、BEAJは放送番組を海外に売り込むためだけの組織ではなく、もっと裾野の広い展開を考えて事業を進めている。
「現地の人が知りたがっている、逆に知らない日本の魅力」を相手国の放送局の現地で実際に経済活動をしている日本の企業や実業家の意見を取り入れて企画を考え、制作することを基本姿勢としている。
アジア各国もご多分に漏れず、視聴率競争は激しい状況にある。従って、スポンサーを付けるから番組枠を提供してほしいと言っても、簡単には枠を与えてもらえない。その結果、ほとんどの番組が日本と相手国の共同制作に近い形になる。従って、メインの司会者やレポーターはその国の人気タレントを起用することになる。制作スタッフもその国と日本の放送局のクルーとの合同で構成される。これは大きなメリットがある。ローカリゼーションの費用が大幅に削減でき、現地での高い視聴率獲得にもつながるからである。

p5
次に我々が企画を採用する上で重視しているのは、その番組が放送されることで、その相手国に、「経済波及効果が湧き起るか」である。番組内容だけではなく、番組中に紹介される商品や食材、農業産品がその国で容易に手に入れられるような体制作りが出来ているか、もしくはインバウンドの観点から現地と国内のツーリスト、各自治体が連携体制を取っているかを重視している。
余談だが、日本の放送番組で取り上げたある商品が話題になったが、その国では手に入らないというケースがよくあったことから、放送単体での事業はできないと考えている。
番組を企画する段階で、放送業界と異業種の間に十分な連携体制が構築されていることが重要になってくる。さらに関係省庁や地方自治体の協力が必要となる。Logistic、Distribution、Retail、Supply Chainの各分野が放送企画と結びついて初めて企画として完結することになる。
商品が現地で手に入る場所が限られていても、eコマースの利用が出来るような体制を組めば、問題は解決できる。

p6
具体的にはどうなのだという疑問をお持ちの方も多いだろう。BEAJがスタートして3年。平成25年度補正予算事業分までに、既にアジア6カ国で採択された10件の企画が放送されている。

p7
内容を具体的に説明する。マレーシアにおいて、現地最大の局メディアプリマで放送された日本テレビと住友商事の共同企画である。「WELCOM TO THE RAILWORLD JAPAN」わかりやすく言えば皆さんもご存じの日本で放送されている「ぶらり途中下車の旅」である。この企画の一つのミソは、「新幹線、途中下車の旅」である。司会であるマレーシアの人気タレントが新幹線に乗車し、新幹線の素晴らしさ、正確さ、安全性、快適さを紹介しつつ、途中駅で下車し、日本の魅力的な地方都市や、その町の特産品や隠された地元の産業製品を紹介する。
その他、広島では厳島神社を訪ねるとともにお好み焼きを紹介した。なでしこジャパンで有名になった熊野筆の化粧道具の工場を訪ね、その素晴らしさを伝えた。また、ご存知の通り、新幹線はマレーシアにおける高速鉄道建設選定の激しい競争が多国間で行われていることを意識して、新幹線の優位性やその素晴らしさを国民に知ってもらうことを目的としている。
企画作成において次の3点を重視している。1点目は「地方にできるだけスポットを当てる」こと。東京、京都、富士山など日本の観光ゴールデンルートに集中するのではなく、地方にスポットを当てることを重視している。
2点目は「できる限り、日本の地方局が参加する」こと。地元局と地場産業、自治体が一体になって地方の活性化に貢献できるような番組を作成する。
3点目は、「アジアの国の局と日本の局が一緒に番組を作る」こと。優れた日本の放送制作力、ノウハウを彼らに伝授する事で、現地有力局との信頼関係を作るという狙いがある。例えばマレーシアのケースは日本テレビ「途中下車の旅」のチーフプロデューサーがロケに立ち合い、先方のディレクターやカメラマンにノウハウを指導した。

p8
平成26年度補正予算事業では、キー局以外の地方局や権利団体からの応募も含め33件の応募があり、6カ国13件の企画が放送された。この年度の企画はタイに集中する傾向があったが、企画段階で想定されていなかった効果が出た事例もある。

p9
例えば、タイとテレビ朝日の企画では青森、津軽の南田温泉というあまり知られていない温泉に、番組の反響でタイから80名以上の団体客が来日したり、現地ツーリストがタイ青森観光を企画し、チャーター便が就航したという事例がある。
その他、フィリピンの事例では、アキノ元大統領の娘を司会者に起用し、番組で日本酒の感想を述べただけで商品の注文が入るなど、想定外の効果も出ている。

p10
経済波及効果に関して説明する。平成25年度補正事業のBEAJ事業の経済波及効果を三菱総研が試算したものである。真水9億円の予算でインバウンド、アウトバウンド合わせて93億円強の効果があったとされている。

p12
平成28年度補正予算を活用し実施予定の企画で、特に期待しているのは日本国際放送(JIB)がNHKの協力を得て開始する幼児教育番組である。この分野における日本の放送コンテンツは世界でも秀でているが、あまり海外で放送されていないのが実情である。
今回、ベトナムでNHKが指導して、「いないいないばあっ!」や「おかあさんといっしょ」、「みんなのうた」をベトナムの母子が番組に参加して制作する。大事なのは幼児期からアジアの子供たちが日本に親近感を持つこと。このベトナムを皮切りにアジア各国でもこの試みを実現したいと考えている。

p13
もう一つはWAKUWAKUJAPNが制作する「大学のある町」を紹介する。少子化は日本の深刻な問題であり、日本への留学生を増やすことの必要性も日本の大きなテーマとなっている。この解決のため、留学生受け入れに熱心な、特に地方の大学にスポットをあて、大学の紹介にとどまらず、その街、近くの観光地、近辺の日本の企業、そしてエンターテイメントスポットをアジアの若者に宣伝し、日本への留学の魅力とともに不安感も一掃してもらうことを狙いとしている。

p14
最後に、BEAJの事業はこれまで紹介した番組展開のモデル事業ばかりではない。海外における日本紹介イベント、展示見本市での地方局のパビリオン運営協力がある。特に、この10月17日からカンヌで行われる世界最大の放送コンテンツ見本市、MIPCOMではCOUTRY OF HONOURを日本が担当することになり、その運営をBEAJが担当する。ぜひここにお集まりの方々とカンヌでお会いできることを楽しみにしている。

5.説明(4)「コ・フェスタ2016(Japan国際コンテンツフェスティバル)の紹介」
(コ・フェスタ 大谷実行委員長)

コ・フェスタは、ゲーム、映画、アニメ、放送、出版、キャラクター、音楽等のコンテンツ産業、またファッション、デザイン等のコンテンツと親和性の高い産業の各業界が主催をする国際性に富んだイベントを、効果的に海外に発信するための、海外発信力強化支援プロジェクトである。今年で10年目の節目の年を迎えることができた。

これまで皆様のプレゼンテーションで紹介があったように、わが国はクールジャパン戦略のもと、官民が一体となって日本が誇るコンテンツの魅力を発信して、日本ブームを創出している。その一環として、国内のイベントの力を結集して海外発信に取り組んでいるのがコ・フェスタである。

今年度は4つのコア・イベント、12のオフィシャルイベント、16のパートナーイベントを実施する。さらに海外発信力を強化するため、海外で実施されている大規模なイベントを新しくパートナーイベントに迎えた。また、地方創生を実現するために、地方の魅力を直接海外へ伝えるべく、地方実施イベントにも参加をしている。

また本日は、コ・フェスタ百人委員会の委員長に就任された、経団連 産業競争力強化委員会 下村委員長にお越しいただいており、一言ご挨拶をお願いする。

三菱電機に勤める私が、コンテンツ振興のためのフェスティバルの応援団長を仰せつかったこと、正直に申し上げると、お話をいただいた当初は非常に驚いた。しかし、本日の皆様のご説明をうかがい、コンテンツ産業の発展に微力を尽くせることに改めて期待と喜びを感じている。

映像や音楽などの豊かなコンテンツと、日本が誇る高い技術力に裏打ちされたハードウェアやサービスは車の両輪だという認識を持っている。この両輪が歩調を合わせることがジャパン・ブランドの構築には欠かせない。

日本には非常に優れたコンテンツが多数あるが、お隣の韓国等も国を挙げてコンテンツ産業の振興に取り組んでいる。日本も官民挙げてコンテンツ産業の振興に取り組むと共に海外の成長市場を取込んでいくことが肝要である。

そのような取り組みとしてのコ・フェスタも開始から10年目を迎えたとうかがった。産業界の会員からなる百人委員会として、コ・フェスタの取り組みに対し、精一杯応援させていただきたい。

皆様方にもご協力をいただきたい。

6.決議

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7.閉会

以上

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