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Policy(提言・報告書) 欧州 英国のEU離脱問題に関するとりあえずの意見

2016年8月10日
一般社団法人 日本経済団体連合会

英国民のEU離脱という選択に伴い、ビジネス環境の不透明感・不確実性が高まっている。わが国企業の事業活動へのマイナスの影響を最小限に止めるためには、G7をはじめとする国際協調を通じて引き続き金融・為替市場の安定に努めることが重要である。その上で、第1に、初のケースであるEU離脱プロセスの予見可能性をできる限り高めることが求められる。英国およびEUにおいては、リスボン条約第50条に基づく離脱手順(離脱通知前の英国内手続きを含む)を速やかに明らかにされたい。第2に、英国とEUとの間の市場の一体性が、いわゆる4つの移動の自由をはじめとして、できる限り保たれる必要がある。英国がEU離脱の意思を実際に通知した場合、離脱協定および新たな枠組みに関する交渉において、英国・EU双方には、現地進出企業の活動に大きな支障が生じることのないよう、下記の諸事項に十分配意するとともに、仮に制度等に変更が生じる場合には、そのタイミングを含めて正確な情報を適時適切に提供されたい。

世界各地で勢いを増しかねない反グローバリズムや保護主義などの負の連鎖を防ぐためには、世界最大の単一市場であるEUが英国離脱後も外に開かれたものであること、また、メガFTAの実現など貿易投資の一層の自由化が目に見える形で進展することが極めて重要である。この点、先ずは現在交渉中の日EU EPAの本年内の大筋合意が不可欠である。

  • 無関税貿易の存続、簡素な税関手続き(利便性の高い原産地規則を含む)の確保
  • 規制環境の整合性の確保
    ‐現在英国に適用されているEUの規制・制度、規格・基準の適用継続
    ‐英国・EUが新設・改訂する規制・制度の整合性確保、規格・基準の調和・相互承認
  • 英・EU域内グループ会社間の資金(配当・利子・ロイヤルティ支払)の移動にかかる課税免除等の継続
  • 英・EU域内グループ会社間のサービス(経理・人事等のシェアードサービス)の移動の自由の継続
  • 英・EU域内グループ会社間のクロスボーダー組織再編にかかる非課税措置の継続
  • 英・EU域内におけるEU単一パスポート制度の適用継続
  • 英・EU間における自由なデータフローの確保
  • 英・EU間における就労等のビザ不要の継続
  • 英国内にあるEU機関(特に欧州医薬品庁)の立地の継続
  • 英国において進行中のプロジェクトに対するEUからの支援の継続
以上

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