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Policy(提言・報告書) 総合政策 新内閣に望む

2017年8月4日
一般社団法人 日本経済団体連合会

新内閣には、第2期安倍政権発足時の原点に立ち返り、経済最優先の政権運営を期待したい。

最重要課題は、デフレ脱却と経済再生を確実に実現し、GDP600兆円経済への確固たる道筋をつけることである。日本経済の潜在成長率の引上げにも取り組み、持続的かつ自律的な経済成長につなげていかねばならない。

まず、成長戦略を強化する必要がある。その柱は「官民戦略プロジェクト10#1」の具体化であり、とりわけSociety 5.0の実現に向けて、「未来投資戦略2017」を確実に実行していただきたい。

同時に、構造改革の推進も必須である。規制改革や法人課税改革など、企業活力の向上に資する制度改革を求めたい。また、深刻な日本の財政状況を直視し、次世代への責任を果たす観点から、社会保障制度改革や財政健全化など、痛みを伴う改革にも真正面から取り組むべきである。

更に、反グローバル化の傾向が強まる中にあって、日EU EPAの大枠合意を実現し、TPP11交渉を主導する日本こそが、自由で開かれた国際経済秩序の維持・発展を牽引していかねばならない。まずは、日EU EPAの残された課題について速やかに解決すると共に、TPPの早期発効に向けた議論を加速すべきである。

新内閣には、より一層の緊張感のもとで安定した政権運営に努めると共に、強いリーダーシップを発揮し、下記に掲げる政策課題に全力かつスピード感をもってあたり、結果を出していただきたい。経済界としても、デフレマインドを払拭し、生産性の向上、企業収益の拡大を図り、経済の好循環を力強く回すことに最大限取り組む所存である。

#1 官民で認識と戦略を共有し、新たな有望市場を創出するプロジェクト。「日本再興戦略2016」に盛り込まれ、「未来投資戦略2017」でフォローアップされた。

1.成長戦略の強化

  1. (1) Society 5.0の実現
    • データ利活用の制度整備
    • 政府研究開発投資対GDP比1%の確保
    • オープンイノベーションを促す環境整備
    • サイバーセキュリティの強化
    • 官民一体での具体的プロジェクトの推進および国内外への発信
  2. (2) 個人消費の喚起
    • プレミアムフライデーの定着
  3. (3) 地域経済の活性化
    • 農業の競争力強化
    • 観光先進国の実現
    • 地域の中核企業の活性化
  4. (4) サービス産業の生産性向上
  5. (5) 働き方改革に向けた基盤整備
    • 労働基準法等改正法案の早期成立

2.構造改革の推進、経済社会基盤の強化

  1. (1) 規制・制度改革、電子行政の推進
    • 重点分野における行政手続コストの20%削減(国税・地方税については納税者の手続コスト削減、利便性向上に資する電子申告制度等の整備)
  2. (2) 法人課税改革
    • 法人実効税率25%を目指した法人税改革の推進、事業再編や人材投資等に資する税制措置の整備
    • 商業地等に係わる固定資産税の負担上昇抑制
  3. (3) 社会保障制度改革
    • 経済・財政再生計画改革工程表44項目の着実な実行
  4. (4) 財政健全化
    • 2020年度の財政健全化目標(プライマリーバランス黒字化、債務残高対GDP比の安定的な引下げ)達成を目指した歳出・歳入改革の徹底
    • 2019年10月の消費税率引上げ
  5. (5) 子育て世代に対する環境整備
    • 子育て安心プランの着実な実行による待機児童の解消
    • 税財源による幼児教育・保育の支援
  6. (6) 経済成長とエネルギー・環境政策の両立
    • 経済性ある価格での安定的なエネルギー供給の確保、安全性が確保された原子力発電所の再稼働
    • パリ協定の実効性と国際的公平性の確保

3.自由で開かれた国際経済秩序の維持・発展

  1. (1) 日米経済関係の強靭化
  2. (2) 経済連携の推進
    • 日EU EPAの早期発効
    • TPPの早期発効
    • 質の高いRCEP並びに日中韓FTAの早期実現

4.国家的イベントの成功

  1. (1) 東京オリンピック・パラリンピック等に向けた準備加速
  2. (2) 2025年国際博覧会の誘致実現

5.震災復興の加速と防災・減災対策の強化

以上

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