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Policy(提言・報告書) 科学技術、情報通信、知財政策 「データ利活用促進に向けた検討 中間報告(案)」へのコメント

2017年12月22日
経団連 知的財産委員会 企画部会

経団連では、「中間報告(案)」に至る議論の過程において、「不正競争防止法改正へのコメント」(http://www.keidanren.or.jp/policy/2017/087.html) [11月2日] を取りまとめ、不正競争防止小委員会に提出した。

同コメントでは、外部提供目的の「データ」に不正競争防止法を過度に適用すれば、データ取引の安定性を阻害し、データ利活用の萎縮につながることから、「データ利活用と保護の適正なバランスに配慮し、他の既存の法律では十分に保護することができない利益を保護すべき最小限の場合に限定すべき」との基本的な認識を示した。その上で、経済産業省の提案は行為規制の範囲が広すぎることから、データ利活用を萎縮させるとの強い懸念を多くの企業が持っていることを指摘した。

「中間報告(案)」は、経団連の懸念表明等も踏まえ、現行実務に大きな支障をきたさないよう一定程度配慮されたものと考えられる。

その一方で、「事後的悪意の転得者」の規制#1については、「全く与り知らない不正行為の介在に起因して、データの提供行為が差し止められることは、取得時善意の転得者のデータ取引の安全を害する」「知的財産権でもなく公示制度もないデータ取引の契約違反に対して差止め請求権を認めることは、規制としてのバランスを欠く」との懸念の声も、依然として残っている#2

経済産業省においては、「中間報告(案)」がデータ利活用に対する萎縮効果を生まないか、今一度十分に精査されたい。さらに、「中間報告(案)」の内容の通り法制化された場合であっても、データ利活用ビジネスの展開等を踏まえて、必要に応じ、法改正を機動的に行うことを求める。

なお、今後、広範な内容のガイドラインの策定が予定されており、様々な事例を記載することでデータを利活用する企業の助けとなることを期待する。しかし、ガイドラインは裁判規範ではないことから、行為規制対象やデータの要件等の重要な事項については、可能な限り法文上で明確化することを求める。

以上

  1. 「中間報告(案)」では、取得時善意の転得者が、事後的に不正行為の介在を知って悪意に転じた場合(事後的悪意の転得者)であっても、転得者が悪意に転じる前の取引で定められた権原の範囲外の提供行為を、「不正競争行為」として規制の対象としている。
  2. データ提供者の利益を保護する観点から、「事後的悪意の転得者」の一定の行為についても、「不正競争行為」として規制すべきとの意見もある。

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