Policy(提言・報告書) 税、会計、経済法制、金融制度  株主総会におけるオンラインの更なる活用についての提言

2020年10月13日
一般社団法人 日本経済団体連合会

1.はじめに

株主総会プロセスに関しては、電磁的方法による議決権行使、昨年の会社法改正における株主総会資料の電子提供制度の導入など、かねて電子化が進められてきたところであるが、新型コロナウイルス感染症の影響により、デジタル化のニーズはさらに加速している。

本年6月の定時株主総会では、新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、可能な限り株主や役員、従業員の三密を避けるべく各社工夫がなされたところであり、経団連としても、本年4月28日、新型コロナウイルス感染拡大時における定時株主総会の臨時的招集通知の2つのモデル(モデルAは来場いただく株主の数を一定程度限定することを想定したもの。モデルBは株主の来場を原則ご遠慮いただくことを想定したもの。)を公表したところである。

また、本年2月には、経済産業省から「ハイブリッド型バーチャル株主総会の実施ガイド」(以下「経産省ガイド」という。)が公表されており、これを参考に、株主総会のライブ配信(ハイブリッド参加型バーチャル株主総会(以下「ハイブリッド参加型」という。))や、株主のオンライン出席(ハイブリッド出席型バーチャル株主総会(以下「ハイブリッド出席型」という。))など、オンラインの活用を行う企業もあった。

新型コロナウイルス感染症に対応しつつ株主との建設的な対話やデジタルトランスフォーメーション(DX)を促進する観点から、今後の株主総会におけるオンラインの更なる活用に向け以下の提言を行う。

2.今後のハイブリッド型バーチャル株主総会の活用等について

(1)本年6月の定時株主総会の状況

経団連が行ったアンケート#1によると、本年6月の定時株主総会において、多くの企業が株主に事前の議決権行使を推奨し当日の来場をなるべく控えるよう要請を行っており、株主の来場を原則お断りしたという企業もあった。その結果、アンケート回答企業は多数の株主を抱える上場大企業であるにもかかわらず、ほぼすべての企業で当日の来場者数が500人以下となり、6割以上の企業が100人以下となった。また、会場に準備した座席数に関しても、1000席以下の企業が例年は3割弱であるのに対し、本年は9割以上となった。

議事を行う際にも感染予防策が講じられ、回答したすべての企業が議事の簡略化を行い、なかには、「報告事項の(説明の)省略」や「監査役の監査報告の省略」といった通常行われている報告の省略を行う企業も一定数あった。その結果、簡素化のため説明事項の要点を絞ったことで、株主から「必要十分。」「例年より纏まっていて良い。」と評価する声も届いている。

一方、来場できない株主のために、ハイブリッド参加型を実施した企業も27%あり、事前に募集した質問のうち主要なものについて株主総会で回答し、これをライブ配信するなどにより、感染予防と株主への丁寧な対応の両立を目指す姿勢が見られた。また、ハイブリッド参加型実施企業の中には、地方在住の株主から高い評価を得た企業もあった。

ハイブリッド出席型を実施した企業は限定的ではあるが、そのような中でも、これをDXの好機ととらえ、株主との対話を進展させつつ、円滑な進行を図る様々な取り組みが行われた。また、デジタル・ディバイドへの配慮の観点から、株主総会前にWEB会議システムの接続テストを行うといった対応を取る企業もあった。

(2)今後の株主総会の方策

来年の定時株主総会時においても新型コロナウイルス感染症の影響が続いている場合には、感染予防のため来場者数をなるべく抑えることがやむを得ない状況も予想される。来場者数を抑えるなどリアル株主総会の縮小については、本年4月2日付(本年4月28日最終更新)の経済産業省=法務省「株主総会運営に係るQ&A」において、新型コロナウイルスの感染拡大防止に必要な対応をとるためにやむを得ないと判断される場合、株主に来場を控えるよう呼びかけること、会場に入場できる株主の人数を制限すること#2、株主の来場なく株主総会を開催することなどが認められる旨が明示されている。こうした法的考え方の整理を踏まえて各社は今年の定時総会の運営を行っており、来年の定時株主総会においてもその考え方は基本的に妥当するものと考えられる。

そのような中、感染予防のため来場者数をなるべく抑える一方、株主への情報提供の充実や、より効率的な対話を促進する観点から、インターネットを活用した株主総会運営を行うことは、企業が取り得る有効かつ現実的な選択肢の1つであるといえ、また、感染症拡大時であるか否かを問わず、DXを推進する中で、株主に対して株主総会への多様なアクセシビリティを提供することは時代の要請であり、特に遠方に居住の株主や移動に不自由のある株主にとって合理的である。例えば、株主総会の会場を自社会議室などに設定し、株主の来場を事前登録制等を活用して限定しつつ、その代わりに株主のインターネットによるアクセシビリティを高める方策を取ることが考えられる。

また、本年の定時株主総会では、事前に質問等を株主から自社の株主専用サイト等で募った上で総会時あるいは総会後に回答を行う事例が相当数見られた。議決権行使についても、事前の議決権行使を要請した企業が多数を占めた。書面による議決権行使にとどまらず、インターネットの活用による事前の議決権行使についても行いやすくなるよう、企業として環境整備#3を行うことも一案である。加えて、新型コロナウイルス感染症対策に関する会社と個人株主等との間の各種連絡(例えば、事前登録行為など)についても、郵便等の書面以外のインターネット等によることが広く認められることが確認されるべきである。

また、ハイブリッド型バーチャル株主総会に関しては、ハイブリッド出席型につき、経産省ガイドにおいて、オンライン出席株主が事前の議決権行使を行っていた場合、その効力が破棄されるのは、総会当日に議決権が行使されたときであること、オンライン出席の株主には動議権(修正動議、手続的動議の両方)を認めないという運用が許容されること、あらかじめ運営ルールとして定め招集通知やWEB上で通知することで、1人の株主が提出できる質問の回数や文字数、送信期限などを限定できること、などが示されており、この整理は来年以降のハイブリッド出席型導入に際しても参照されるべきである。また、新型コロナウイルスの感染が拡大している状況であれば、前述の招集通知に関する経団連モデルBを採用しつつ、ハイブリッド型バーチャル株主総会を実施するという方策も有効といえる。

その上で、ハイブリッド型バーチャル株主総会を実施するには総会当日の通信障害への適切な対応が前提条件となる。会社の責めによらない場合を含めて通信障害のリスクがある限り、総会当日の方策としてはハイブリット出席型よりもハイブリッド参加型の方がより現実性が高い。ただしハイブリッド参加型であっても、当日にオンラインで参加する株主と円滑に通信できる環境が整わない限り、採用を躊躇するという企業もある。

米国のバーチャル株主総会では、コスト面、通信の安定性等の技術的理由、動画拡散リスクへの懸念等から、映像通信なしの音声通信のみによる開催が認められており、現に音声通信のみによる開催が大半である。日本においても音声通信のみによる接続(総会会場から出席役員への接続を含む)について同様に考えるべきである。

なお、役員が総会当日にオンラインで参加する場合、役員としての説明義務を果たせる態様である限り、当該役員は株主総会に法的に出席しているものといえると考えられる。また、総会議長についても、総会における議事進行等を支障なく行える仕組みが整備されている限り、オンラインによる参加でもその職責を果たせるものと考えられる。

(3)政府がガイドなどで示すべき事項

以上を踏まえた上で、企業がより安心してインターネットを活用した方策を採用でき、株主との対話を深められるよう、政府において早期にガイドなどで一定の考えを明らかにする必要がある。

① ハイブリッド参加型に関して確認されるべき事項

まず、ハイブリッド参加型に関し、以下の事項が示されるべきである。

  1. 映像通信なしの音声通信のみによる開催が認められること。
  2. 通信回線安定の観点から、会社は、オンラインでの株主の参加枠(人数)を合理的な範囲に制限できること。
  3. 役員が総会当日にオンラインで出席する場合、役員としての説明義務を果たせる態様である限り、当該役員は株主総会に法的に出席しているものといえること。総会における議事進行等を支障なく行える仕組みが整備されている限り、総会議長のオンラインによる出席でもその職責を果たせること。
  4. コロナ対策に関する会社と個人株主等との間の各種連絡(例えば、入場の事前登録行為など)について、郵便等の書面以外のインターネット等の手段によることが認められること。
  5. リアル出席株主のプライバシー権や肖像権保護等の観点から、会社は、オンライン参加の株主に対し、総会の録音・録画・転載を禁止できること。
② ハイブリッド出席型に関して確認されるべき事項

ハイブリッド出席型に関して、前記(1)の通り、その実施が一定数に留まったのは、経産省ガイドが公表されてから間もなかったということも一因と考えられるが、やはり通信障害などによる株主総会決議取消の訴えのリスクへの懸念が大きな原因であると考えられる#4。こうした懸念が必要以上に大きいことになれば、株主総会の有用性を高めるバーチャル株主総会の趣旨を全うできなくなるおそれがある。

そこで、上記のハイブリッド参加型に関して示されるべき事項がハイブリッド出席型においても当てはまることに加え、株主総会の法的瑕疵を可能な限り回避するよう、以下の点がガイドなどで明らかにされるべきである。

  1. 信頼性のあるシステムを使用することを前提に、仮に通信障害が発生した場合などでも、企業としての合理的判断を経て採用されたシステムであれば十分であること。
  2. 本人や代理人以外の第三者によるなりすましの危険性についても、会社側が本人確認のための合理的な方策をとっていれば十分であること。
  3. 過年度のリアル出席株主数及びハイブリッド出席型の導入によりオンライン出席に移行すると予想される割合から合理的に導かれるリアル出席株主数が収容可能な会場を用意していれば十分であること。また、感染症拡大時においては、会場での株主等の三密を避けるため、より収容可能数を限定できること。
  4. オンライン出席株主から質問フォームにて投稿された質問事項も含め、その取り上げ方(質問者の指名)は、恣意的な運用とならない範囲で議長の合理的議事進行に委ねられること(例えば、リアル出席の場合には、株主が事前に質問状を提出していたとしても、総会当日に挙手し、指名されたあと質問事項を発言して初めて会社に説明義務が生じることから、仮にオンライン出席株主の質問に関し、質問フォームにて投稿されたものすべてに会社が回答しなければならないとすると、リアル出席株主との平等な取扱いが図れない)。

(4)株主総会資料のWEBでのみなし提供の拡充の恒久化に関して

本年の定時株主総会においては、新型コロナウイルス感染症の影響により計算書類等の作成・監査などに遅れが生じる可能性があることを考慮し、株主総会資料としての単体計算書類などに関してWEB開示によるみなし提供を行うことを認める時限的措置がなされた。これに関する法務省の対応を評価するところであるが、新型コロナウイルス感染症の影響が来年以降にも継続するおそれがあることに加え、将来に向けて株主総会プロセスのDXを促進する必要性も考慮すれば、本年の時限的措置として認められたWEB開示によるみなし提供の拡充を恒久化すべきである。

3.選択的なバーチャルオンリー型株主総会の開催について

(1)バーチャルオンリー型株主総会の有用性・許容性

現行会社法では、株主総会の「場所」が求められているため(会社法第298条第1項第1号)、株主総会を完全オンラインで行うバーチャルオンリー型株主総会(以下「バーチャルオンリー型」という。)の開催は難しいとされているところ#5、本年の成長戦略フォローアップでは、「バーチャルオンリー型株主総会を含む株主総会プロセスにおける電子的手段の更なる活用の在り方」に関して、年度内に一定の結論を得るとされた。

これを踏まえ経団連でバーチャルオンリー型の有用性・許容性について検討したところ、以下のものが挙げられた。

  • 諸外国ではバーチャルオンリー型がすでに実現しており#6、DXの観点からも、国際的なイコール・フッティングを図ることができる。
  • リアル出席とオンライン出席の垣根をなくし、一律オンライン出席にて合理的範囲で可能な限り同じ権限を行使できるとすることは、株主平等の考え方に親和的であり、幅広い株主との対話の促進につながる。
  • 会場の確保、音響機材・什器等の設備費、警備員や誘導員等の人件費・委託費等が不要となるため、会場関係費用の大幅な削減が図れる。また、多様な働き方への対応が求められている現在、株主総会の運営スタッフの労働時間・労力の削減にもつながる。
  • 場所を設けないことにより人と人との接触を完全に絶つことができ、将来より強力な感染症が発生した際の感染防止策となる。
  • 通信技術の進歩により、合理的な範囲で双方向性・即時性を持った形での完全オンライン開催も可能となり得る。

そこで、来年6月の株主総会に向け、ハイブリッド型バーチャル株主総会の延長として、まずは特例法等による対応によりバーチャルオンリー型を選択的に開催可能とするための措置を検討することが考えられる。

また、爾後の株主総会につき、会社法改正によるさらなる手当てを行う場合には、新型コロナウイルス感染症発生前からバーチャルオンリー型が導入されているアメリカのデラウェア州の方式を参考にしつつ、そもそも株主総会とは何をする機関なのかといった会議体としての株主総会の在り方(例えば、決議事項の見直し、株主提案権の要件、説明義務や動議権のあり方など)に関しても併せて再度検討を行う必要がある#7

その際には、重要事項にフォーカスしたより効率的な株主との対話を実現すべく、例えば、株主総会の決議事項を役員選任の他は特別・特殊決議事項その他定款で定めた事項に限定することが考えられる。また、動議に関しては、そもそも総会当日の動議提出を認めない、あるいは、提出権者を一定以上の議決権を有する株主に限定する、修正動議については、事前の議案提案権に集約する、あるいは、少なくとも事前の会社への通知を必要とする、などとすることも一案である。なお、株主への説明や質疑応答に関しても、米国の例にならい、株主総会の終結後にそのための時間を設けることが考えられる。

(2)バーチャルオンリー型の円滑な実施に向けて

仮にバーチャルオンリー型が実現した場合、その具体的な方策に関しては、バーチャル会議体という共通項からして、ハイブリッド出席型の場合と整合的な取扱いとし、また、通信障害があった場合の効果については何らかの手当てがされる必要がある。

今後の議論の一助とすべく検討を行ったところ、バーチャルオンリー型の実現については、以下①~③について対処することで円滑な実施がなされることが必要であると考える。

① 株主総会への出席と事前の議決権行使の効力の関係

経産省ガイドでは、ハイブリッド出席型において、株主意思の尊重や無効票を減らす観点から、当日のオンラインでの議決権行使の時点で事前の議決権行使の効力が破棄されるという考えが示されているが、この要請はバーチャルオンリー型においても当てはまることから、同様の取扱いとすべきである。

② 質問・動議の取扱い

バーチャルオンリー型においては、多数の株主により、濫用的なものも含め、オンラインで大量かつ必ずしも秩序立っていない発言がなされ、建設的な発言の集約、株主総会の合理的かつ円滑な運営が困難となる可能性がある。そこで、円滑な総会運営の観点から、一定の制約や工夫はあってしかるべきということを、まずは確認すべきであり、特に動議に関しては、そもそも総会当日の動議を認めることの是非も検討されるべきである。その上で、具体的な対応に関しては、実務の合理的運用に委ねられるべきと考える。

なお、仮に、動議を何等か認めるとしても、一事不再議の原則や、修正動議に関して株主総会当日に原案が可決されたときには修正動議は否決されたものと扱うことについては、リアル株主総会などと整合的な取扱いとされるべきである。また、質問や動議の提出のタイミングを株主総会中の特定の時間に限定したり、質問や動議の件数を制限することも認められるべきである。

③ 通信障害があった場合の効果

信頼性のあるシステムを利用することを前提に、どのような場合に招集手続又は決議方法に瑕疵が生じないと整理できるか、あるいは、裁量棄却の対象となり得るか、などにつき政府において一定の目安が示されるべきである。

その際、会社側が通信途絶に十分な対策を取っていた場合には、株主側の通信環境の問題で通信障害が発生した場合は勿論、会社・株主双方に帰責性がない事情によって通信障害が生じた場合にも、公共交通機関の停止により株主がリアル株主総会に出席出来なかった場合と同様に、決議取消事由には当たらないとすべきである。

また、株主の大半がシステムにアクセスできないような事態を除いて、会社が事前の議決権行使について十分な案内を行っている場合にも、通信障害は決議取消事由にあたらないと整理することも一案である。

その他の論点も含め、リアル株主総会、ハイブリッド出席型との比較にけるバーチャルオンリー型の考え方については、次の表の通りである。なお、社債権者集会や一般社団法人の総会に関しても、株主総会同様の規定ぶりとなっており#8、上記と同様の検討が行われるべきである。

〈 参考:比較表 〉
リアル株主総会現行会社法での
ハイブリッド出席型
バーチャルオンリー型
本人確認議決権行使書面の所持ID、PW等(経産省ガイド参照)ID、PW等
運営方法対面情報伝達の双方向性と即時性が必要(経産省ガイド参照)合理的な範囲での情報伝達の双方向性と即時性が必要
議決権行使(総会当日)方法拍手(原則的には即時集計せず)独自の投票システムやZOOMを利用する例あり(ただし、事前の議決権行使により賛否が判明しているときは、即時集計できなくとも問題なし)即時集計できる信頼性の高い投票システムを構築(ただし、事前の議決権行使により賛否が判明しているときは、簡便な確認方法も認められるべき)
事前/当日の議決権行使の関係出席すると事前行使の効力は破棄当日議決権を行使した時点で事前行使の効力は破棄とする選択を認める左記ハイブリッド出席型と同様にすべき
質問の取扱い
  • 挙手のうえ議長が指名するのが一般的
  • 希望者全員が発言できるわけではない
  • 発言がなされた場合でも、説明の拒絶事由(会社法314条ただし書)に該当する場合は、説明義務なし
  • あらかじめ運営ルールを定め、招集通知やWEBで通知
  • そのようにしていれば、1人の株主が提出できる質問の回数や文字数、送信期限などを限定できる
  • 株主は用意されたフォームに質問を記載のうえ送信し、会社は運営ルールに従って確認
    (上記3点、経産省ガイド参照)
  • 左記ハイブリッド出席型バーチャル株主総会の方策と同様とすることが考えられる
  • また、株主は「手を上げる」ボタンなどで質問の意思表示を行い、議長が示した株主は質問を行う、という方法も考えられる
動議の取扱い
  • 挙手のうえ議長が指名するのが一般的
  • 希望者全員が発言できるわけではない
  • 修正動議に関しては審議しなければならないが、原案が先に可決された際には否決されたものと扱う
  • 原則として、リアル出席株主からの動議のみを会社は受け付ける
  • 事前に案内のうえ、オンライン出席者は、修正動議に関しては棄権、手続的動議に関しては欠席として扱うことが考えられる
    (上記2点、経産省ガイド参照)
  • そもそも総会当日の動議の是非を検討すべきである
  • 仮に総会当日の動議権があるとしても、会社の合理的な審議方法を認める必要がある
通信障害
  • 想定し得ない
  • なお、会社の管理が及ばない交通機関の障害などによって株主が総会会場に出席できなかったとしても株主総会の決議の瑕疵とはならない
  • 会社の管理が及ばない株主側の問題に起因する不具合により株主が出席できなかったとしても、決議の瑕疵は生じない
  • 会社側の通信障害によって株主が審議又は決議に参加できなかったとしても、通信障害のリスクを事前に通知しており、かつ、通信障害防止の合理的な対応を会社が取っていた場合には、決議取消事由には当たらないと解することも可能
    (上記2点、経産省ガイドライン)
  • 信頼性のあるシステムなどを使用することを前提に、どのような場合に招集手続又は決議の方法に瑕疵が生じないか、あるいは裁量棄却の対象となり得るか、一定の目安が示されるべき
  • 会社側が通信途絶に十分な対策を取っていた場合には、株主側の通信環境の問題で通信障害が発生した場合は勿論、会社・株主双方に帰責性がない事情によって通信障害が生じた場合にも、決議取消事由には当たらない
  • 株主の大半がシステムにアクセスできないような事態を除いて、会社が事前の議決権行使について十分な案内を行っている場合にも、通信障害は決議取消事由にあたらない
以上

  1. 本年6月の定時株主総会に関して経団連が経済法規委員会企画部会委員等に行ったアンケート(対象44社、集計した2020年7月20日時点で34社が回答、回答率77%)
  2. 事前登録制を採用した企業もある。
  3. スマートフォンによる議決権の電子投票制度(会社法第298条第1項第4号)の導入、ICJの議決権電子行使プラットフォームの活用など。
  4. この他、動議・質問などが対応不可能なほどに大量に提出される可能性があるといった議事運営上のリスクへの懸念や、オンライン出席のためのシステムが十分に普及していなかったことも原因の1つと考えられる。
  5. 第197回国会(2018年11日13日)において、当時の法務省民事局長から、現行法の解釈上難しい旨答弁がなされた。
  6. アメリカでは30州で認められており、ドイツやシンガポールでもコロナ禍での臨時措置により認められることとなった。
  7. 経済産業省に設定された「新時代の株主総会の在り方研究会」の報告書においても同様の問題提起がなされている。
  8. 社債権者集会に関して会社法第719条第1号。一般社団法人の総会に関して一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第38条第1項1号。