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Policy(提言・報告書) 科学技術、情報通信、知財政策 日米DDE民間作業部会 共同声明2024

2024年2月6

はじめに

  • 2012年以来、日本と米国の産業界は日米デジタルエコノミーダイアログ(DDE、旧IED)に対してデジタルエコノミー政策の枠組み整備、サイバーセキュリティ分野の国際協力、信頼できるAIの活用の促進等に関する意見を発信するとともに、第三国におけるデジタル市場とインフラの共同展開に向けて貢献してきた。

  • AIやサイバーセキュリティの分野を含め、先端的なデジタル技術の開発・活用が加速していることを踏まえ、デジタルエコノミーに関して、日米両国がさらに目指すべき政策原則や具体的に取り組むべき施策について、以下のとおり意見を述べる。

1. 人工知能(AI)

  • AIは、産業の垣根を越えて生産性向上とイノベーションに資するものである。AIが日常生活にますます浸透する中、「AIを活用するか否か」という議論にとどまらず、イノベーションの促進に向け、信頼でき責任あるAIの原則に基づき、リスクに適切に対処しつつ、あらゆる分野でAIの恩恵を享受できる社会を早急に実現することが求められている。

  • 日米両国の産業界は、Society 5.0の実現に向けてAIの積極的な開発・活用を推進するとともに、知的財産権侵害等のリスクに対応するため、透明性・信頼性を重視した適切な自主規制を含む施策を推進する。日米両国政府においては、広島AIプロセスにおけるこれまでの成果を踏まえ、両国の国内法制と整合性を担保しながら、引き続き国際的なルール形成を主導することを期待する。両国は、産業界の自主的な取組みを尊重しつつ、国際標準(ISO/IECなど)やNIST AI RMF(Risk Management Framework)のように、データガバナンス、透明性、正確性、堅牢性、セキュリティ、偏りの緩和をはじめ、AIの信頼と安全性の基本的要件に取り組むための貴重なガイダンスを提供するフレームワークを参考にした、柔軟かつ適応性のあるリスクベースのマルチステークホルダー・アプローチを優先すべきである。

2. 信頼性のある自由なデータ流通(DFFT)

  • Society 5.0 for SDGsの実現に向けて、国境を越えたデータ利活用を推進することが不可欠である。2023年4月に採択された「G7デジタル・技術閣僚宣言」を踏まえ、DFFTの具体化に向けたコミットメントを早急に実行する必要がある。

  • 両国の産業界は、G7によるDFFT 具体化に向けた「パートナーシップDFFTの具体化のための制度的アレンジメント」(IAP:Institutional Arrangement for Partnership)の立ち上げを支持する。また、越境ビジネスにおける障壁を洗い出すとともに、プライバシー強化技術(PETs)等の技術を活用しながら、国境を越えたビジネスに対する障壁を特定し、それらの課題を一つずつ解消するという着実な取組みを求める。日米両国の産業界は、これらについて日米両政府に全力を挙げて協力する。

3. サイバーセキュリティ

  • 地政学的緊張の高まりがサイバー空間に及ぶにつれ、サイバーセキュリティは国家安全保障の重要な分野となっている。これは、日米両国が最近改定した国家安全保障戦略において、政府や重要インフラ、サプライチェーン全体にわたるサイバーセキュリティの強化に重点を置いていることからも明らかである。このような目標を達成するため、日米両国は以下に取り組むべきである。

    • 安全性とイノベーションのバランスを取りながら、現状や今後予想されるサイバー規制について議論する。国境を越えた価値を創造するための規制や標準・規格の調和の実現を支援する。

    • 自発的なリスクベースのアプローチや国際標準規格(ISO 27000シリーズやNISTサイバーセキュリティフレームワーク等)を活用した強固な官民連携により、クラウドやAIを戦力とする攻撃者に対抗するためのサイバー能力とレジリエンスを構築する。

    • 脅威を増す攻撃者に対抗するために、サイバー能力と人材育成に不可欠なクラウドやAIの利用を急速に拡大する。

    • 両国の重要インフラ間でサイバーセキュリティの脆弱性と脅威に関する情報を迅速に共有できるようにする。

4. 終わりに

  • 日米両国のデジタルエコノミーを取り巻く環境は大きく変容しつつある。日米両国の産業界は、今後も緊密に協力し、両国政府に対して適切な政策提言を行うとともに、信頼できるデータ流通、継続的なイノベーションや経済成長の促進を追求するよう働きかけていく。

以上

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