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Policy(提言・報告書)  地域別・国別 中南米 第34回日本メキシコ経済協議会 共同声明

正文英文
2025年6月11

世界が対立と分断の色を濃くする中、良好なビジネス環境を求める企業・経済界同士の対話が今こそ必要であり、それを通じた各国・地域間の一層の連携・協力が求められている。そのような中、日本経済団体連合会(経団連)とメキシコ国際企業連盟(COMCE)は、2025年6月11日、第34回日本メキシコ経済協議会を東京で開催した。経団連の日本メキシコ経済委員会(倉石誠司委員長、芝田浩二委員長)及びCOMCEのメキシコ・日本経済委員会(マルクス・バウル委員長)から、双方合わせて約90名のビジネスリーダーが参加し、貿易投資環境や次世代技術を巡り意見交換を行った。

日本とメキシコは、世界貿易機関(WTO)を中心とする多角的貿易体制ならびに日本・メキシコ経済連携協定(日墨EPA)、アメリカ・メキシコ・カナダ協定(USMCA)、環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(CPTPP)等の二国間・複数国間協定の下、自由で公正な貿易投資を通じて成長を遂げ、また、経済関係を着実に発展させてきた。それ故に、双方からは、昨今の関税措置等の保護主義的な政策が世界経済に与えるマイナスの影響や事業環境の不確実性の高まりに強い懸念が表明された。

同時に、両国の持続的成長と安定した事業活動にとって、ルールに基づく自由で開かれた国際経済秩序の維持・強化が不可欠であり、そのためにも中南米とアジアとの地域を超えた経済関係の強化が求められている。こうした認識の下、双方は、相互に補完的な連携・協力関係を深化させ、サプライチェーンを維持・強化することによって、現在の困難な状況に対応していくことで一致した。また、米国市場へのアクセスは両国にとって不可欠であることから、現行のUSMCAを基本的に継続することが重要であることを確認した。USMCAの共同見直しにあたっても、原産地規則をはじめとするルールは、現実的に適用可能かつ明確であり、中長期に亘って安定的なものとしなければならない。そのために、日墨経済界が連携して墨米加政府に働きかけていくことで一致した。

公正な競争条件を確保するための新たなルールづくりが求められている一方、WTOにおいては、コンセンサスの形成が困難な中にあって、複数国間および二国間でのルールづくりの意義が一層高まっている。こうした観点から、双方は、高い水準のルールを備えたCPTPPについて、それらを満たすことができる国・地域への拡大を促進するとともに、ルール面の一層の充実を図ることが必要との認識を共有した。あわせて、双方は、本年で発効から20年を迎える日墨EPAの重要性を改めて想起し、その下で貿易投資関係を一層拡大していくとの決意を新たにした。

双方は、共通して直面する気候変動への対応として、再生可能エネルギーの推進や水素エネルギーの活用等によるカーボンニュートラルの実現について意見を交わした。また、個別産業の持続的な発展を巡って、自動車産業やデジタル・トランスフォーメーションの推進について議論した。そして、これらを支える技術開発の重要性について、双方から指摘がなされた。

以上に加えて、メキシコのビジネス環境について、治安対策の強化、物流インフラの改善、法的な安定性及び規制・税制等の予見可能性が不可欠であるとの認識を共有した。さらに、日墨間の人的交流や経済交流を促進する観点から、社会保障協定の早期締結の重要性を確認した。

最後に、双方は、第35回日本メキシコ経済協議会を、適切な時期に、メキシコで開催することに合意した。

以上

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