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Policy(提言・報告書)  環境、エネルギー 「今後の原子力政策の方向性と行動指針(案)」に対する意見

2026年7月9
一般社団法人 日本経済団体連合会
資源・エネルギー対策委員会
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原子力は、一度燃料を装荷すれば長期にわたり安定的な運転が可能な準国産エネルギー源であり、脱炭素社会の実現に資する安定電源として、十分な価格競争力を有している。エネルギー政策におけるS+3Eの実現、とりわけ2050年カーボンニュートラルに向けた脱炭素電源の拡大、さらにはわが国の持続的な成長を支える安価かつ安定的な電力供給の確保という観点から、原子力の活用は不可欠である。

また、国際的にも、生成AIやデータセンターの普及に伴う電力需要の増大を背景として、欧米主要国をはじめ各国において原子力を再評価する動きが広がっている。加えて、近年の中東情勢の緊迫化は、エネルギー安全保障の観点からも、原子力の重要性を再確認させた。わが国が今後も国際競争力を維持し、諸外国に劣後することなく経済社会の発展を遂げていくためにも、原子力の活用は一層重要性を増している。

こうした中、今般取りまとめられた「今後の原子力政策の方向性と行動指針(案)」(以下「行動指針」)は、政府として原子力の最大限活用に向けた明確な姿勢を示す、今後の原子力政策の基本的な方向性を提示している。とりわけ、政府として初めて、原子力発電の見通し・将来像を示した点は、原子力の最大限活用に向けた予見可能性を高め、今後の政策遂行において大きな意義を有する。

かかる基本認識のもと、以下、行動指針に掲げられた各項目について意見を申し上げる。

(0)原子力発電の見通し・将来像

政府として初めて、時系列を示した上で必要となる原子力設備容量や基数の見通しを示されたことを、大いに歓迎したい。原子力発電所の建設・運転は、巨額の初期投資を長期にわたり回収するビジネスモデルであり、今般政府が示された見通し・将来像は、事業者の投資回収の予見可能性向上や、人材確保、技術継承、サプライチェーン維持における好循環創出にもつながり、大きな意義を持つ。今後、電力需要がさらに増していく可能性や、法定運転期限を待たずに廃止となる原子炉もあり得るという可能性等も念頭に置き、現在の見通し・将来像は最低ラインとして堅持しつつ、政府として、達成状況の管理とともに、今後の状況変化を踏まえた目標の適時更新を行っていただきたい。

(1)原子力を長期的に活用していく上での大前提

原子力を長期的に活用していくにあたって、安全性の確保を前提に、立地地域との共生、国民の理解の獲得を行うことは不可欠である。行動指針において、こうした点が原子力の長期活用に向けた大前提として整理されたことは、今後の政策遂行の実効性を担保するものとして評価したい。掲げられた三つの大前提のもと、政府が引き続き前面に立ち、関係省庁、規制当局、事業者、立地地域等の関係者とも連携の上、原子力政策を強力に推進いただくことを期待したい。

(2)再稼働の加速・既設炉の最大限活用

再稼働の加速および既設炉の最大限活用は、早期の脱炭素電源ならびに安価で安定的な電力供給の確保の観点から重要であり、掲げられた方針に賛同したい。政府においては、運用高度化による安全性向上、設備利用率の維持・向上等の掲げられた施策を含め、引き続き前面に立って取組を推進いただきたい。

また、再稼働の加速および既設炉の最大限活用には、事業者と規制当局の間で、透明性を確保した上で、技術課題、審査・検査対応等に係る共通理解を深めることが不可欠である。政府は、事業者と規制当局の健全な意見交換を一層促進するとともに、デジタル技術の活用や長期運転サイクル導入等の新たな取組に対応できる規制・審査・検査体系の構築を後押しいただきたい。

(3)新たな安全メカニズムを組み込んだ次世代革新炉の開発・設置

次世代革新炉の開発・設置は、わが国のエネルギー自給率向上のほか、将来にわたる脱炭素電源の確保ならびに原子力産業基盤の維持・発展に不可欠である。次世代革新炉を含む発電所の開発・設置には十数年から二十年程度の長期のリードタイムを要することから、早急に建替プロジェクトの創出を具体化する必要がある。政府として「次世代革新炉開発ロードマップ」の下、取組をさらに加速いただきたい。

また、次世代革新炉の規制基準策定に当たっては、炉型ごとの特性を踏まえることが重要である。政府においては、透明性を確保しつつ、リスクの大きさや重要度に応じて、講じるべき安全対策や規制の厳格さを調整するグレーデッドアプローチに則った合理的な規制基準の整備を進めることを求めたい。

(4)核燃料サイクル・廃炉・最終処分のプロセス加速化

核燃料サイクル、廃炉、最終処分を含むバックエンドの課題は、原子力を持続的に活用していく上で避けて通ることのできない重要課題である。足元では、既設発電所の再稼働が進む中、使用済燃料対策の緊迫度は一層高まっている。これらの課題に対する取組を着実に進めることは、原子力政策全体に対する国民の信頼確保にも直結する。そうしたなか、行動指針において、核燃料サイクルの推進、廃炉の円滑化、最終処分プロセスの加速化が明確に位置づけられたことを評価したい。長期的な視点として高速炉サイクルの確立も視野に、引き続き、バックエンド全体について、工程の遅延や不確実性が原子力の持続的活用に対する信頼を損なうことのないよう、国が前面に立って確実に推進いただきたい。

(5)事業環境の整備、サプライチェーン・人材基盤の維持・強化

原子力発電事業は、巨額の初期投資、長期の建設、投資回収期間、許認可等に係る不確実性を伴い、民間事業者のみで投資リスクを負担することには限界がある。原子力活用の観点からも、民間事業者による投資判断を可能とする事業環境整備を早急に具体化することが不可欠である。行動指針において掲げられた長期脱炭素電源オークションの枠組みの活用・改善、収入安定化に資する制度措置、海外事例を踏まえた対応、許認可の円滑化、原子力賠償制度の見直し等の内容について、具体的な制度設計に速やかに落とし込んでいただきたい。

また、国内サプライチェーン・人材基盤の維持・強化は、原子力の最大限活用を実現するための基盤である。フロントエンド・バックエンド双方において、関係会社への支援策を含め、産官学連携の下、引き続き取組を進めていただきたい。

(6)国際的な共通課題の解決への貢献

国際連携は、わが国の原子力産業基盤の維持・強化にも資する。国内での建て替え・新設の具体化と並行して、海外プロジェクトへの参画、国際共同研究、規格・基準面での連携等を進めることで、日本企業の技術・人材の活躍機会を拡大することが重要である。

以上

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