会長挨拶

十倉会長

本年より、経団連会長に就任いたしました十倉雅和です。

昨年11月、経団連は「。新成長戦略」を公表し、サステイナブルな資本主義の確立を掲げました。冒頭の「。」は、これまでの成長戦略の路線にいったん終止符を打ち、もう一度、経済活動の目的を明確にしたうえで、そこから再出発するという思いが込められています。

自由で活発な競争環境の堅持が経済的繁栄にとって重要であることは、今も変わりません。しかし、行き過ぎた資本主義が、経済的格差の拡大と固定化、地球温暖化などの生態系の破壊をもたらしてきたことは、真摯に反省しなければなりません。さらに今回のパンデミックがこうした問題を深刻化させました。

デジタル化やグローバル化は押しとどめることのできない時代のうねりだとしても、これまでの資本主義の路線をこのまま継続して本当に幸せがもたらされるものなのか、将来世代に恵まれた世界を受け継いでいくことができるのかということを真剣に考えたとき、自ずと導き出される新たな方向性が、サステイナブルな資本主義の確立であります。

現在、経団連は、コロナへの取り組みを喫緊の最優先課題として、感染拡大の防止と経済活動の両立に全力で取り組んでおります。また、2050年カーボンニュートラルの実現ならびに2030年温室効果ガス46%削減というチャレンジングな目標の達成に向けて、従来から取り組んできた「低炭素社会実行計画」を「カーボンニュートラル行動計画」と発展的に改め、取り組みを強化しているところです。さらに、AIをはじめとするデジタル技術は、個人のWell-beingの実現と社会全体の最適化の両立を可能にするソリューションを導き出す手助けをしてくれます。Society 5.0 for SDGsが目指すオールインクルーシブな社会の実現に向けて、デジタルトランスフォーメーション(DX)は必要不可欠なツールです。こうしたSociety 5.0の実現こそが、資本主義をサステイナブルなものにする道であると考えます。

こうした観点に立ち、「。新成長戦略」では、「DXを通じた新たな成長」「働き方の変革」「地方創生」「国際経済秩序の再構築」「グリーン成長の実現」の5つの重要分野を柱に2030年に実現すべき未来像を描き、そこからバックキャストして各種施策を提言しております。

経団連は、政府との協調をはじめ、あらゆる機会を捉えてこうした考え方を発信してまいります。国民各層、多くの国や地域の理解と賛同を得て、サステイナブルな資本主義の確立に主体的に取り組んでいく決意です。引き続き、会員の皆さまからのご支援・ご協力を賜りますようお願い申し上げます。

経団連会長  十倉 雅和
(住友化学会長)