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会長コメント/スピーチ  記者会見における会長発言 記者会見における榊原会長発言要旨

2015年10月13日
一般社団法人 日本経済団体連合会

【新内閣への要望】

本日午前、日本商工会議所の三村会頭、経済同友会の小林代表幹事とともに、官邸に安倍総理を訪問し、各団体の新内閣への要望書を手交した。経団連からは、震災復興の加速、財政健全化、規制改革や法人税改革の実現など総合的な経済対策の実行をはじめ10項目の重要政策課題を強力に推進してほしいと要望した。

また、TPP協定が大筋合意に至ったことについて、安倍総理のリーダーシップならびに甘利大臣のご努力に敬意を表するとともに、経済界として、TPPを成長戦略の要として最大限活用し、日本経済の成長・発展につなげていくと申し上げた。農業については、6次産業化、輸出促進、競争力強化、成長産業化など農業界との協力を積極的に進めていくとお伝えした。

さらに、アベノミクス第2ステージの新三本の矢については、安倍総理の強い決意の表れであり、経団連ビジョンと軌を一にしていることから、経団連としても大いに歓迎しており、具体化され、実現に移されることを期待していると申し上げた。とりわけ重要なことは、強い経済を築き、名目GDP600兆円を達成することであり、この実現に向けて消費と民間投資を促していく必要である。そのための環境整備として、法人実効税率の20%台への早期引下げ、さらなる規制改革の推進、消費や設備投資の喚起策の実施を要望した。加えて、経済界としても、企業こそが経済成長を担う原動力であるとの自覚のもとに、積極果敢な経営を進めていく旨お伝えした。

【政策評価】

本日の会長・副会長会議において「主要政党の政策評価」について審議し、了承を得た。政策評価の形式は、本年も昨年と同様、経団連の事業方針の項目に照らして政党の取組み、実績の評価を行った。その結果、自由民主党を中心とする与党の取組み、実績としては、法人実効税率の引下げ、安全性が確認された原発の再稼働、TPP協定の大筋合意など、わが国経済の再生にとって極めて重要な政策課題が大きく前進したと言える。

これを踏まえ、本年の政策評価として、自由民主党を中心とする与党は、日本経済の再生に向けて、強い政治的リーダーシップを発揮しつつ、経済成長戦略や外交・安全保障政策を遂行し成果を上げており、高く評価できるとした。今後の課題として、引き続きデフレ脱却と経済再生の確実な実現、財政の健全化、人口問題への対応など重要政策を強力に実行することを期待している。

経団連では、昨年9月、会員企業に対して、社会貢献の一環として、個社の判断で政治寄付を検討してもらいたいと呼びかけている。この方針を7月の夏季フォーラムでも確認し、今年も同じ方針で臨むことにした。経団連として、政治寄付の実施を呼びかけるが、どの政党に寄付するかは各企業の判断であり、その判断材料として各政党の政策評価を提供する。政策評価は経団連の事業方針に照らして、政党がどう取組み、どのような実績を残したかを示すものである。

具体的には、昨年9月に示した「政治との連携強化に関する見解」を必要に応じて修正し、改めて会員企業・団体に示して呼びかけていく。

見返りを求めて政治寄付をするという考えはまったくない。あくまで社会貢献の一環として行うものであり、政治寄付を通じて、具体的に何らかの利益を得ようという利益誘導のような考えはない。自由主義経済を堅持しつつ、成長戦略を推進し、日本経済の再生に取り組む政党を支援するという趣旨である。

今はデフレ脱却・経済再生の正念場である。こういうときだからこそ、政治と経済が車の両輪となって、同じ方向に向かって進んでいかなければならない。この基本認識・スタンスに変わりはない。車の両輪というのは、一定の距離感を保ちながら、同じ方向性を目指していくというものである。ようやく上向きになっている経済のモメンタムを継続していくためには、政治と経済が一体となって、経済再生を進めなければならない。

【企業の内部留保】

業績の拡大とともに、企業の内部留保が増大しているのは事実である。ただ、誤解があるのかもしれない。内部留保はすべて現預金だけで抱えているわけではなく、設備投資、M&Aなど様々な事業活動に活かされている。内部留保が増えているのは確かであり、経済界としても、事業拡大や成長投資により積極的に活用していくという問題意識は持っている。

【法人税】

法人実効税率の20%台への引下げについて、時期に係る具体的な議論はこれからである。ただ、昨年度の税制改正で2016年度までのスケジュールが決まっており、最も早いタイミングとして、2017年度に引下げられることを希望している。財源についても、議論はまさにこれからであるが、一般論としては、税収中立にこだわり過ぎず、ある程度の先行減税はあっても良いと思う。

【消費税】

経団連としては、10%への引上げ時は単一税率にすべきとの考えであり、複数税率には反対である。この理由は、税収が減るなど様々あるが、最大のものは中小事業者の事務負担が膨大になることである。低所得者対策としては、何らかの簡易な給付措置で対応するべきである。

【インフラ輸出】

インフラ輸出は成長戦略の大きな柱であり、安倍政権では政府を挙げて取り組んでいる。インドネシアの高速鉄道に係る受注はその試金石だっただけに、今回の結果は大変残念であった。ただ、現状の仕組みでは日本としてやれることの限界はあったと思う。これからインフラ輸出の案件が増えていく中、中国をはじめとする諸外国との競争は避けられない。今後の対応について、今まで以上に踏み込んだ検討をしていく必要がある。思い切った対応が必要である。

【中国経済】

中国は、広大な国土と莫大な人口を有しており、その経済を語るのは容易ではない。地域によって、業種によって、経済状況は良いところも悪いところもある。確かに中国経済は減速傾向にあるが、大きな傾向としてはニューノーマルの枠内で推移していると見ており、過度に悲観視する必要はない。

【日本・イラン関係】

7月に核協議が最終合意に至ったことは、望ましいことであった。日本・イラン投資協定については、詳細を承知していないが、一般論として言えば、二国間の投資協定は経済関係の拡大に貢献するものだと思う。イランとの二国間関係を良好にすることは国としても、また経済界としても重要な課題である。

以上

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