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会長コメント/スピーチ 記者会見における会長発言 東海地方経済懇談会後の共同会見における榊原会長発言要旨

2017年2月8日
一般社団法人 日本経済団体連合会

【東海地域の経済情勢】

東海地域の経済情勢について、景気は緩やかに拡大している。雇用者所得は増大し、個人消費は持ち直している。東海地域は日本のモノづくり産業の中核であり、自動車、航空機、産業機械、ロボットなどの一大産業集積地となっている。東海地域の企業には、引き続き日本経済を力強くけん引していってもらいたい。また、今年の春季労使交渉では、経団連は業績が改善した企業や中期的に収益が改善傾向にある企業に昨年同様、年収ベースでの賃金引上げを呼びかけており、経済の好循環をより多くの人々が実感できるよう、東海地域の企業には春季労使交渉においても良い流れを作っていってもらいたい。

【働き方改革】

経団連では、経営トップ自らが長時間労働の慣行を是正するよう、呼びかけている。長時間労働につながる商慣行を見直すためには、個社の対応も勿論重要であるが、一社だけの取り組みでは限界があり、取引先や物流などサプライチェーンを通じた取り組みにより、生産性を向上させ、働き方改革を進めていくことも必要である。例えば、取引企業間で技術協力を実施したり、共同配送のノウハウを活用したりといったことにより、サプライチェーン全体で生産性を向上することができれば、労働力不足への対応を図ることもできる。

【日米関係】

来る日米首脳会談は極めて重要であり、とりわけ次の3つの点を期待している。第1に、日米は民主主義、基本的人権の尊重、法の支配、市場経済など基本的な価値観・原則を共有しており、日米関係は政治、経済、外交、安全保障などすべての面において重要な関係であることが改めて確認されることである。第2に、国際社会が直面する様々な課題の解決に連携して取り組むことができるよう、両首脳間に個人的な信頼関係が構築されることである。第3に、通商問題などについて両首脳間で正しい情報が共有されることである。例えば、自動車分野で日本は公平に市場を開放しており、自動車関連の関税は無税である。また、日本の金融政策はデフレ脱却を実現するためのものである。

トランプ政権は発足したばかりであり、性急に判断する必要はない。トランプ大統領はさまざまな発言をしているが、具体的な政策の中身はこれからであり、引き続き注視していきたい。ただし、TPPからの離脱、NAFTAの見直しなど、保護主義的な通商政策には懸念を感じざるを得ない。TPPはわが国の重要な成長戦略であり、何としても成立させなければならない。その際、米国を巻き込む必要があり、TPPは米国にとっても経済的、戦略的な意義の大きい枠組みであることを、安倍総理からも粘り強く発信してほしい。経済界としてもこの重要性を訴え続け、TPPを引き続き推進していく。NAFTAについては、具体的にどのような形で見直されるのか、関心を持って注視していく。

経団連は、さまざまな形で日米関係強化に取り組んでいく。2015年の夏にミッションを派遣した際、ワシントンDCと全米10州をまわり、日本企業が4000億ドルにのぼる対米投資を行い、直接・間接合わせて170万人の雇用を米国で創出していることなどを説明したが、こうした日本企業の貢献を初めて知ったとの声も多く耳にした。昨年も訪米ミッションを派遣し、今年も春と秋にミッションを派遣したいと考えている。主要閣僚や州知事との懇談を通じて、改めて日本企業が米国経済へ貢献している実態を正確に伝え、相互理解を深めていく。

以上

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