会長コメント/スピーチ 記者会見における会長発言  記者会見における榊原会長発言要旨

2017年6月5日
一般社団法人 日本経済団体連合会

【財政再建】

経団連会長、経済財政諮問会議民間議員、財政制度等審議会会長のいずれの立場においても2020年度のPB黒字化は必ず達成しなければならない、この旗を降ろすべきではないと考えている。PBの赤字は今を生きる世代が将来世代に負担を付け回すことであり、PBの黒字化は将来世代に対する我々の責務である。また、PBの黒字化は国家ならびに国の経済について、国際社会からの信認を得るためにも達成しなければならない。本日の会長副会長会議でもこの考えについて改めて確認したところである。骨太方針に公的債務残高対GDP比を引き下げる目標が併記されたが、将来の金利や名目成長率に左右されず、公的債務残高対GDP比を確実に低下させるためにはPBの黒字化が不可欠である。財政再建に向けて、第一義的にはPBの黒字化を推進すべきである。

【米国のパリ協定からの離脱】

トランプ大統領が米国のパリ協定からの離脱を表明したが、米国の経済界は温室効果ガス低減に向けて独自の取り組みを進めていく考えを示している。日米両国は世界トップレベルの環境技術を有しており、両者が地球規模での温室効果ガス削減に向けて連携を模索していくことが求められている。再生可能エネルギー、原子力、石炭火力などの分野ですでに様々な連携が進められていると思うが、今後、業界・企業間での取り組みがより一層重要になってくると考えている。

【教育政策】

日本の教育に対する公的支出は、GDP比で見た場合、OECD諸国平均を下回っており、教育投資の拡大が課題となっている。また、教育費の負担の問題は少子化や消費停滞の原因の一つともなっている。さらに、親の所得状況によって、教育の選択の自由が狭められている現状は教育の機会均等という観点からも改善する必要がある。

現在、教育の財源を巡って様々な案が示されているが、経団連としては、教育財源は基本的には税財源で賄うべきであると主張している。とりわけ、子ども保険については、4月に示した経団連のスタンスにあるように、慎重に対応するべきだと考えている。今後、大いに議論されると思うので、経団連としてもよく検討し、しっかり対応していきたい。

教育の機会均等を確保するためには、低所得者層や多子世帯、母子世帯に対して、幼児教育・初等教育の段階で支援していくことが重要である。その際、所得制限を設けずに、バラマキ的にすべての世帯を対象にすべきではない。同様に、高等教育についても、希望者全員が無償で大学へ進学するのではなく、給付型奨学金の拡充など、本当に意欲と能力のある人を支援していく制度が求められる。

【加計学園を巡る問題】

加計学園を巡る問題について、国家戦略特区における獣医学部の新設はかなり前から中長期的に計画され、その中で今の姿となっている。

北朝鮮問題、テロ対策、米国のパリ協定からの離脱など、国会で集中的に議論すべき問題は多く、優先順位からいえば加計学園の問題ではない。山積する重要課題に国会の議論を集中してもらいたい。

以上