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会長コメント/スピーチ 記者会見における会長発言 東北地方経済懇談会後の共同記者会見における榊原会長発言要旨

2017年9月6日
一般社団法人 日本経済団体連合会

【東北経済】

東経連では、海輪会長のもと、今年1月に「東経連ビジョン2030」を公表した。ビジョンでは、人口減少や少子高齢化など東北地方が直面する課題を踏まえながら、東北の未来をいかに築いていくか、具体的な課題設定をするなど、非常に良く整理されている。東北経済の成長に向けて、ビジョンに示された課題を東北の産学官が連携して実行に移していくことが重要である。

具体的には、人口減少・少子高齢化に伴って、域内需要の縮小、労働力不足の深刻化が懸念される。女性やシニアはじめとする多様な人材の活躍に向けた環境を整備するとともに、高度外国人材の活用も進めるべきであろう。また、東北経済の強みは医療機器産業の集積である。本日、東北大学国際集積エレクトロニクスセンターを視察したが、国際的にもレベルの高い研究開発機能を備えている素晴らしいキャンパスであった。放射光施設や国際リニアコライダーなど国際的な研究拠点の誘致を進め、研究開発機能の集積を図ることも重要である。加えて、観光振興に向けても、東北は豊かな自然環境や農林水産資源を有し、特徴ある伝統文化にも恵まれている。インバウンドの推進と国内観光需要の取り込みが肝要である。その際、各県ごとにバラバラに行うのではなく、東北6県が連携して、プロモーションを行うことが鍵である。例えば、港湾、空港、高速道路などインフラの整備に際しても、東北6県が一体となって、広域的に進めることが重要である。

【東日本大震災からの復興】

東日本大震災からの復興に向けて、住民の生活基盤の再建は一定の目処がついてきたが、産業の再生は道半ばであり、風評被害が大きな足かせとなっている。消費者庁の調査によれば、一般消費者のうち、東北産品を買うことにためらうと回答した割合は、東北3県産については10%、福島産については15%となっており、震災から6年が経過した今も風評被害は根強く残っている。海外でも、韓国、台湾、香港などでは東北産の水産物の輸入がいまだに禁止されている実態がある。産業の再生のためには、この問題を解決しなければならない。経団連としても、国内外での風評被害の払拭に向けて、引き続き力を入れていく。今秋にも東北プロモーションキャンペーンを実施し、産業の再生、風評被害の払拭、東北産品の消費拡大に取り組んでいく。また、人材の派遣や起業の支援など個社による復興に向けた支援を広げられるよう、会員企業への呼びかけも行う。復興に向けて、経済界をあげて引き続き全力で取り組んでいく。

【エネルギー基本計画の見直し】

総合エネルギー調査会基本政策分科会において、エネルギー基本計画の見直しが始まった。経団連では資源エネルギー対策委員会で議論し、エネルギー基本計画の見直しに関する提言を年内を目途に取りまとめる予定である。国のエネルギー政策の基本はS+3Eのバランスを実現することであり、それはエネルギーのベストミックスを追及するということである。化石燃料、再生可能エネルギー、原子力など多様なエネルギー源を活用することが求められている。現行のエネルギー基本計画において、電源構成に占める原子力の割合は20~22%である。将来を見据えれば、原子力発電所のリプレイス・新設についても考える必要がある。

以上

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