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会長コメント/スピーチ 記者会見における会長発言 記者会見における榊原会長発言要旨

2018年2月13日
一般社団法人 日本経済団体連合会

【副会長人事】

本日の会長・副会長会議の審議により、5月31日の定時総会で選任する理事・副会長を内定した。定時総会をもって、中西宏明副会長、木村康副会長、鵜浦博夫副会長、古賀信行副会長が任期満了により退任する。新たな候補者として、隅修三東京海上ホールディングス会長、冨田哲郎東日本旅客鉄道社長、片野坂真哉ANAホールディングス社長、杉森務JXTGエネルギー社長を内定した。新たな副会長候補は、これまで経団連活動に参画・貢献してきた企業の方々である。人格・識見、経営手腕、各業界における実績などを総合的に判断し、いずれも優れた方々を人選した。この4名に加えて、2016年に選任され、今回再任される副会長を候補者として、5月7日の理事会を経て、定時総会に諮る。なお、再任、新任の副会長の方々の就任日は5月31日となる。

【経済情勢】

金融資本市場が大きく変動しているが、日本ならびに世界の経済状況、企業の業績は順調に推移している。経済のファンダメンタルズに変化があって金融資本市場が大きく動揺しているのではない。現時点で一喜一憂する必要はない。年明けから一本調子で上がり続けたことを受けた調整と冷静に捉えている。

こうした中、春季労使交渉が本格化するが、賃金改定交渉は、企業の業績の実績や見通しをベースに行われる。昨今の金融資本市場の動揺について冷静に受け止めている経営者は多く、賃金改定交渉に与える影響は極めて限定的と見ている。

【会社法改正】

会社法改正について、現在、法制審議会で中間試案が取りまとめられつつある。焦点の一つは株主提案議案数の上限を設けることである。現行制度では、議決権の1%以上または300個以上の議決権を保有すれば、いくつでも株主提案ができる。株主総会は株主から広く意見を聞く場であるが、極めて少数の議決権しか保有していない株主が膨大な数の議案を提出し、株主総会の時間の多くを費やさざるを得ない事例が生じている。株主提案権を合理化することは経団連としても望ましい方向であり、実現してほしい。パブリックコメントに応じ、意見を提出する予定である。他方、もう一つの焦点である社外取締役の義務付けについては、2015年に適用が開始されたコーポレート・ガバナンスコードを受けて、現在、東証一部上場企業のほぼ100%が社外取締役を設置している。これを踏まえれば、改めて法的に義務付ける状況ではない。

【プレミアムフライデー】

毎月月末金曜日がプレミアムフライデーであることは認知されつつあり、浸透は進んでいる。所期の目的はライフスタイルや働き方を変え、消費活性化につなげることであった。一部の大都市でプレミアムフライデー当日は消費が上向いているが、全国レベルではまだ効果は限定的である。開始から一年が経過するのを機に、より活動を強化しなければならない。経産省にしっかり旗振り役を担ってもらうとともに、経済界もさらに積極的に参画していきたい。月末の金曜日は休みにくいという声は根強くあるが、小売、百貨店などサービスの提供者は、給料日後の方が消費に直結するとして、月末金曜日の実施を希望している。開始から一年が経過するのを機に、この点についても議論する必要があるだろう。

【日米関係】

日米関係は最も重要な二国間関係であり、会長就任以来、経済外交を強化してきた。様々なレベルで日米間のパイプが細くなってきているという危機感を持って、パイプ作りに努めてきた。この3年間で7回の訪米ミッションを派遣し、今年5月にもミッションを派遣する。連邦政府のみならず、州政府との交流も重視しており、これまで14州を訪問した。5月に予定しているミッションでは、2州を訪問する予定である。

訪問先では次の3点を主張している。第1は、日米経済関係は摩擦の時代を乗り越えて、今やWIN-WINの協調関係を構築しているという点である。かつては日本から旺盛な対米輸出が行われていたが、今、日本企業は米国内で事業を展開し、良き企業市民として米国経済社会に貢献している。約3800(現地法人)の日本企業が進出し、累計の投資額は40数兆円、直接・間接を併せて160万人の雇用を創出している。日本企業がこのように大きな貢献をしていることについて、連邦政府、州政府に正しく理解してもらえるようになってきたと感じている。引き続き、繰り返し、重層的に情報発信していく。

第2は、自由貿易の重要性である。米国がTPPから離脱し、NAFTAの見直しを進めている中で、自由貿易の必要性を訴えていく。TPPが経済的・戦略的な意義を有すること、NAFTAが米国にとっても必要な枠組みであることを地道に訴えていく必要がある。

第3は、人脈の形成である。私が訪米した2015年と2017年のミッションでは、全米商工会議所や日米財界人会議の場で日本の経済界の考えや立場を発信し、理解を求めてきた。こうした取り組みを通じて、米国において様々なレベルで日本の理解者、支持者を増やし、その集積の上に強固な関係を構築していくことが重要である。

【北朝鮮情勢】

最重要課題は非核化の確実な実現である。このため、国際社会が連携して、引き続き強力な経済制裁を科していく必要がある。平昌オリンピックの場で南北統一チームの発足など緊張緩和に向けた外交が展開されていることは承知しているが、これと北朝鮮の非核化は別の問題と捉えなければならない。南北の同じ民族が融和し、統一することは誰もが希求することであるが、最も重要なことは北朝鮮の非核化である。この観点から、現在の日本政府の基本姿勢を支持している。

以上

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