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会長コメント/スピーチ 記者会見における会長発言 記者会見における榊原会長発言要旨

2018年4月23日
一般社団法人 日本経済団体連合会

【米国との通商問題】

先の日米首脳会談において、自由で公正かつ相互的な貿易取引のための協議の開始で合意したことを歓迎する。公正なルールに基づく、自由で開かれたインド太平洋地域の経済発展に向けて、日米の両首脳が合意したことは大きな進展である。日本はTPPを主張する一方、米国は二国間での交渉を優先する考えを示しており、意見に隔たりはあるが、今後、茂木担当大臣とライトハイザーUSTR代表の間で議論が進んでいくことを期待したい。ルールを作り上げることが重要である。

【コンテンツ産業の保護・振興】

政府の知的財産戦略本部が決定した「インターネット上の海賊版サイトに対する緊急対策」において、「『民間事業者による自主的な取組として』ブロッキングを行うことが適当である」との方針が示された。これは短期的、臨時的な緊急的措置であり、法改正までのつなぎとしてブロッキングを認めたものと認識している。クリエイターが大変な時間と労力をかけて作ったコンテンツを著作権を無視して、誰でも無料で閲覧できるようインターネットサイトに掲載し続けるのは明らかに知財に対する侵害行為である。これを看過すれば、わが国のコンテンツ産業に深刻な影響が生じる。今後、法改正を含めて効果的な対策を講じることが必要である。

【会社法】

現行の法制度では、株主が株主総会において無制限に株主提案を行うことが可能であり、実際に大量の提案がなされる事例もあると聞く。株主総会はできるだけ多くの株主との対話を行うべき場であり、株主にとって貴重な機会である。今回、経団連の意見では、株主が提案することができる議案数について、具体的な制限案を示している。また、一定数の株式を保有し、責任ある立場で会社に関与している株主が提案権を持つべきであるとの考えから、株主提案権の行使要件についても一定の基準を設けるよう提案している。

【北朝鮮問題】

今回、北朝鮮が核・ミサイル開発の実験中止、核実験場の廃棄を表明したことを前向きな動きとして評価したい。日米韓をはじめとする関係国による働きかけや制裁など様々な対応の成果だと思う。ただし、非核化への言及はなく、今回、実験中止を表明したことは第一歩ではあるものの、完全かつ検証可能で不可逆的な形での非核化を実現することが極めて重要である。核とICBM、中・短距離ミサイルを含めて全ての廃棄が確認できるまでは安心できない。最終的な目的はそこである。今後、南北首脳会談、米朝首脳会談が控えている。これに先立ち、先般の日米首脳会談において、北朝鮮問題を巡って意見が交わされたことは重要である。引き続き動向を注視していきたい。

【財務省を巡る不祥事】

公開された福田財務事務次官の言葉とされる内容は品位に欠けるものであり、国の舵取りを担う財務省の筆頭幹部の発言としてふさわしいものではない。財務省に対して国民の厳しい目が向けられている中で、こうした事態が起きること自体が不見識である。不祥事が続いているが、財務省には国民の信頼を勝ち取るために、説明責任をしっかりと果たしてもらいたい。国家公務員は本来、国民の範となるべきであり、襟を正して、セクハラの根絶も含め、組織の意識改革に全力で取り組んでほしい。

(麻生大臣の進退に関する質問については)ご自身が決めることであり、私から申しあげることではない。財務省が直面する厳しい状況に対処し正常化を図っていくことも大事な責務である。

他方、時は流れていくし、待ってはくれない。国際情勢が緊迫する中、国会の議論が不祥事の問題にばかり時間を割かれているのは異常事態である。こうした問題を横に置いて良いわけではないが、国の最重要課題を議論し、法案にしていくことが立法府の役割・責任である。働き方改革関連法案の審議、TPP11の批准など重要案件が山積している。不祥事への対処も無論、重要であるが、国会とは別の場で検証していくことが求められるのではないか。経済界としては、重要法案の審議が進み、今国会で成立することを切に願いたい。

以上

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