会長コメント/スピーチ 記者会見における会長発言  定時総会後の記者会見における十倉会長発言要旨

2021年6月1
一般社団法人 日本経済団体連合会

【抱負】

本日の定時総会で経団連会長に選任いただいた。重責に身の引き締まる思いだ。責務を全うすべく全力を傾注する覚悟である。まずは、コロナの一日も早い収束を目指し、感染拡大の防止と経済活動の両立に全力で取り組んでいきたい。

①社会性、②国際協調、③デジタルとグリーンを3つの柱に、Society 5.0 for SDGsの実現や、サステイナブルな資本主義の構築に向けた取り組みを進めていく。本日発足した新体制の下、19名の副会長をはじめ、会員の皆さまと緊密に連携・協力していく。

マルチステークホルダーの要請に応え、広く国民各層、社会全体から支持される経団連を目指し、メディアの方々とも、双方向で建設的なコミュニケーションを重ねていきたい。

【新型コロナウイルスワクチン接種に関する緊急提言】

本日の理事会で、新型コロナウイルスワクチン接種に関する緊急提言を取りまとめたので公表する。

現在、菅総理の強力なリーダーシップの下、ワクチン接種が進んでいることを高く評価したい。冬の到来までに国民の7~8割の接種を完了させ、集団免疫を確立するという明確なゴールを設定し、バックキャストしながら、より具体的なロードマップを描いていただきたい。

ワクチン接種を一気呵成に進めなければならない。経済界は協力を惜しまない。職域接種の実施や就業環境の整備に加え、産業医・看護師の派遣、接種会場の提供等、ワクチン接種の加速に資する取り組みを続けていく。ワクチン接種が進み社会経済活動が正常化する世界を見据え、ワクチンパスポートの発行・活用を政府に促したい。その際、職場において、ワクチン未接種の方々への差別や偏見が生じないようにすることは当然である。

【ワクチンの職域接種】

〔ワクチンの職域接種が6/21に開始することについて問われ〕各社で事情が様々であるため、会員企業の協力のあり方も一様ではない。重要なのは、冬場までに集団免疫を確立することであり、そのために経団連は迅速に取り組みを進めていく。

【サステイナブルな資本主義の構築】

近年、新自由主義や市場原理主義とグローバリズムが相まって、格差が拡大・固定化し、再生産されつつある。また、気候変動によって生態系の破壊が進み、新型感染症の発生等の問題が生じている。ここで一旦立ち止まってサステイナブルな資本主義を目指すべきであり、企業は常に social point of view(社会性の視座)を持って行動しなければならない。

サステイナブルな資本主義の構築に向けて、第一に注力すべきはSociety 5.0 for SDGsである。DX(デジタルトランスフォーメーション)を通じて、多様な価値観が尊重され、誰一人として取り残されることのない all inclusive な社会を実現したい。第二は、気候変動への対応である。行き過ぎた資本主義により地球が悲鳴をあげていると言っても過言ではない。将来世代にサステイナブルな生態系を残すのは我々の責務である。2050年カーボンニュートラルを達成するために必要な新しい要素技術の確立には15~20年かかる。時間的余裕はなく、今すぐ着手する必要がある。

【カーボンニュートラル行動計画】

2050年カーボンニュートラルという政策目標について、菅政権と経団連は一致している。経団連は62の業界団体の協力の下「低炭素社会実行計画」を推進し、CO2排出量を着実に削減してきた。今般、この取り組みをさらに強化すべく、「カーボンニュートラル行動計画」を策定し、実行に移していくことにした。

【東京オリンピック・パラリンピック】

オリンピック・パラリンピックには、様々な無形の重要性がある。ただし、開催にあたっては、アスリート、観客、大会関係者らの安心安全が確保されなければならない。

【経団連のあり方】

経団連の役割は、時代の要請に応じて変わる。企業は市民社会、地球市民の一員であり、経団連は社会全体の利益代弁者でなければならない。そのためにも、スタートアップ企業や地域社会はじめ様々なステークホルダーとの連携を強化していく。

以上