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会長コメント/スピーチ 記者会見における会長発言 定例記者会見における十倉会長発言要旨

2021年9月21
一般社団法人 日本経済団体連合会

【自民党総裁選】

候補者間の討論で、個別政策のみならず、各候補者の国家観や国家ビジョン、国の基本戦略といった骨太の議論も交わされることを期待したい。

岸田候補の「新しい日本型資本主義」というコンセプトは、経団連の目指すサステイナブルな資本主義と軌を一にする。河野候補は、現規制改革担当大臣として多くの実績をあげられるなど実行力がある。高市候補は、とりわけ国家ビジョンやエネルギー政策についてメリハリの利いた説明をされる方との印象を抱いている。野田候補は、ご自身の体験を踏まえて多様性を重視される方だ。

次期総裁には、しっかりとした国家像をお持ちで、その実現に向けリーダーシップを発揮される方に就任していただきたい。故小林陽太郎元富士ゼロックス会長は、「リーダーには一人ではなれない」と言われたと聞く。コミュニケーション能力に秀で、周りの人に理解、共感され、支えられるのがリーダーではないか。

〔各候補者のエネルギー政策について問われ〕2030年度GHG排出量2013年度比46%減ひいては2050年カーボンニュートラル(2050CN)の実現を成長戦略として推進すること等については、候補者全員の基本的な考えが一致している。現実的に、S+3Eを満たすエネルギー政策を考えると、原子力の継続的な利活用は不可欠である。さらに、2050年よりも先のエネルギー長期安定供給を考えると、核融合は重要なエネルギー源であり、その実用化に向けた取り組みを推進する必要がある。

【夏季フォーラム2021】

経団連が目指すのは、サステイナブルな資本主義の確立である。そのために必要なDXやGX、働き方改革、日本の構造的課題である人口減少について、副会長、審議員会議長・副議長と集中的に討議したい。加えて、地球温暖化や、自由で開かれた国際経済秩序の再構築など国際問題についても議論を深める予定である。議論の成果を文書に取りまとめ、経済界の意見を自民党新総裁や政府ほか関係各所に届けたい。

【株安】

各国が金融緩和策を採り、世界的に過剰流動性が高まる中、中国・恒大集団の経営不安が、一時的に株価に影響を及ぼしているのではないか。今後の状況を注視する必要がある。

【緊急事態宣言の解除と社会経済活動の再開】

全国的に新規感染者数は減少し医療体制の逼迫も解消されつつある現状を踏まえると、今月末での宣言解除を期待したい。

ワクチンと治療薬という二つの新しい科学の力を手にした今、宣言解除後、重症者数が十分抑えられ、医療崩壊の心配がなくなった時点で、入国制限の緩和など社会経済活動の段階的な再開を進めていくべきである。

【米国入国時のワクチン接種義務付け】

今回の米国の措置は、ワクチン接種証明書を活用した国際的な往来再開の第一歩として歓迎したい。一方、米国への入国にあたり有効とされるワクチンや証明書等の詳細は明らかにされておらず、注視する必要がある。日本政府にも、感染リスクがしっかり抑えられた暁には、ワクチン接種完了者等については、日本人に限らず、入国後の隔離免除を求めたい。まずは、最低限の措置として入国後の隔離期間を最長10日間に短縮していただきたい。

【中国のCPTPP加入申請】

CPTPPは、貿易投資の自由化とルールの両面で最も進んだハイスタンダードな21世紀型の協定である。その条件を中国がクリアできるかどうか、注視していく。他方、米国に早く戻ってきてもらいたいし、タイや台湾、韓国も加入に関心を示している。徒に人口やGDPのカバー率を上げるのではなく、ハイレベルな条件をクリアしたメンバーを迎え入れることで、CPTPP参加国・地域が増えるのは喜ばしい。

【労働市場の流動化】

新卒一括採用やメンバーシップ型雇用に象徴される日本型雇用システムにはメリットがある一方で、日本社会の均質性が強みを発揮できた頃と経営・労働環境が変わっていることから、時代にそぐわないことも生じてきている。各業種、企業に最も適した採用制度や雇用システムを、試行錯誤しながら作り上げていくことで労働市場の流動化を促し、多様性をもった社会の構築に寄与していける。こうした動きは歓迎である。2050CNに向けた産業構造の変化は人材の移動も伴う。労働市場の流動化を視野に、どのような支援等が必要か、できるだけポシティブな方向に持っていけるよう検討したい。

以上

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