1. トップ
  2. 会長コメント/スピーチ
  3. 記者会見における会長発言
  4. 中国地方経済懇談会後の共同記者会見における十倉会長発言要旨

会長コメント/スピーチ 記者会見における会長発言 中国地方経済懇談会後の共同記者会見における十倉会長発言要旨

2023年2月16
一般社団法人 日本経済団体連合会

【春季労使交渉】

経団連は今年、物価動向を特に重視し、物価高に負けない賃金引上げを呼びかけている。インフレは生活に関わる問題なので、ベースアップでの対応が望ましいが、各社の事情により対応は異なるだろう。今回の物価上昇はコストプッシュ型ではあるが、賃金引上げが消費に回り、デマンドプル型による物価と賃金の持続的な好循環の実現に向けた起点の年としたい。

構造的な賃金引上げには、企業数の9割超、従業員の7割近くを占める中小企業を含むサプライチェーン全体での賃金引上げを実現する必要がある。そのためには、適正な価格転嫁が不可欠であり、パートナーシップ構築宣言への参画企業の拡大とその実効性の確保が求められる。さる1月には、経団連・日商・同友会の三団体長連名で各団体の会員企業に対し、パートナーシップ構築宣言への参画と着実な実行を呼びかけた。こうした取り組みを通じて、付加価値の増大とデフレマインドの払拭、賃金引上げのモメンタムの維持・強化につなげていきたい。

【G7広島サミット】

昨今の地政学的状況や経済情勢を踏まえると、民主主義、自由、法の支配等を普遍的価値として掲げる国々が、サミットという場を通じてその結束を国際社会に示すこと自体に意義がある。同時に、被爆地である広島において、いかなる場合においても核兵器の使用は絶対に許容できないというメッセージを強く訴える必要がある。さらに、グローバルサウス(途上国)にも手を差し伸べつつ気候変動や格差といった地球規模の課題にも取り組む姿勢が明確に示されることを期待したい。

経団連は、G7広島サミットに先立ち、G7加盟国・地域の主要経済団体が集うB7東京サミットを主催する。

【日本銀行関連】

〔日銀総裁人事について問われ、〕総裁候補の植田氏は、理論と実践の両方で卓越した能力を有する方である。欧米の中央銀行では、トップがアカデミアから起用されることは珍しくない。植田氏は、マクロ経済の分野で著名な学者であり、日銀の審議委員も務められており、的を射た人事ではないか。

〔今後の金融政策のあり方を問われ、〕現在の物価上昇は持続的なものではなく、当面は金融緩和を続けるというのが大方の見方だろう。一方、異次元の金融緩和は硬直性があるとの見方や、長年続けてきた弊害を指摘する声もある。今後の経済情勢や物価動向を見ながら、新体制が適切に判断されるだろう。

【鉄道路線の維持】

〔赤字ローカル鉄道のあり方について問われ、〕公共インフラである鉄道の維持・廃止は社会の便益に関わる問題であり、関係者が地域の実情も踏まえつつ最適な解を見出すべきである。

以上

「会長コメント/スピーチ」はこちら